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2014-2015年度活動方針

 

2014-2015年度活動方針

  Ⅰ 基     調

1. 私たちをとりまく情勢

【国内外の情勢】

近隣諸国との領有問題である竹島及び尖閣諸島はその実効支配をめぐって韓国、台湾そして中国と険悪な環境であり、北朝鮮に関してはミサイル発射などの強権悪辣な行為によって日本を始め緊張状態が続いています。欧州ユーロ圏の金融危機は未だ解消されずに深刻な経済不況に陥っています。リーマンショックを克服したアメリカの好景気を受け日銀の政策もあいまって日本国内の経済が回復傾向にあり、景気は上昇しているかのように見えます。しかし、その反面、円安・TPP等の動向も見据え難しい政策判断となっています。

東日本大震災発生から2年半が経過する中、いまだ福島第一原発事故の終息見通しは立っていません。周辺の自治体は組織機能そのものが崩壊し、住民は故郷を失いました。原発政策の破たんによって電力の安定供給を果たせない状況が続く中、政府は安全の保障のないまま原発の再稼働に踏み切ろうとしています。

野田前首相は党首討論で衆議院の解散を明言し、結果として選挙は自民党の圧勝に終わりました。公務員制度改革の法案提出日が衆議院の解散と同日であり、審議未了で廃案となりました。さらに、7月参議院選挙でも自公が圧勝し衆参のねじれ状態は解消されましたが、1党集中型の政局は国際外交をはじめ危惧される様相を呈しています。

【公務員・消防職場をとりまく情勢】

民主党政権から自民党政権に移り、公務員への締め付けは顕著であり、国家公務員の賃金削減は地方公務員へ地方交付税削減という形で賃金に振りかかって来ています。また、公務員制度改革において職員の身分保障も瓦解するような一方的に分限免職ができる勤務評価制度が導入される見通しです。

政府は2013年1月24日、給与関係閣僚会議及び閣議で地方公務員の給与について閣議決定し、地方交付税を減額したことは事実上、地方公務員給与削減の要請を意味しています。指導助言を常としてきた国と地方の関係において政府が一方的に地方自治体に給与削減を押し付けることは地方自治の本旨に反するものになっています。

消防の広域化は2012年9月消防審議会で市町村消防の広域化に関する中間答申を受け消防庁による告示が発出され、今後、広域化の取り組みを先行して重点的に取り組む必要があり、都道府県知事が指定することによって、国・都道府県の広域化支援を集中的に実施するとしています。また、期間については2018年4月1日の5年延長程度としています。特に、財政措置として総務省は消防署などの建設に対し地方交付税の措置率を70%に拡大するなど広域化の進展を促す措置を実施しています。

2. 運動の基本的方向

【団結権獲得に向けたこれまでの経緯と今後の方向性】

2009年9月に民主党中心の政権が発足し、労働基本権問題や労使関係制度の改革に向けて、本格的な作業が進められました。

2010年1月、「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」が発足し、検討がなされ同年12月に団結権を付与するとした報告書をまとめ、最終判断は政府に委ねるということになりました。

2012年5月、総務省は「地方公務員制度改革について(素案)」を提出し、人事委員会勧告制度を廃止して非現業地方公務員に協約締結権を付与し、団体交渉制度を整備するとしたこと、国家公務員では2007年の国公法一部改正ですでに措置されていた能力本位の任用制度の確立や退職管理を適正化するための地方公務員法の一部改正を行うことなどが主な内容でした。

この素案では、消防職員の労働基本権について、団結権だけではなく他の非現業地方公務員と同様に協約締結権を付与するとしていました。しかし、この素案に基づいて、第180回通常国会への提出作業が進められましたが、地方6団体の反対姿勢がさらに強まったことや、国家公務員制度改革4法案の審議が進捗しなかったことを理由に会期中の法案閣議決定は見送られました。衆議院解散前日の11月15日に地方公務員制度改革2法案が閣議決定(消防職員の労働基本権は団結権の付与のみに止まり)されましたが、翌日の衆議院解散によって、この法案は廃案となりました。

全消協は2006年にPSI(国際公務労連)に加盟するとともに、幾度と国際舞台で日本の消防職場の現状を訴えてきました。昨年の第29回世界大会では、全消協は日本の公務員制度改革について消防職員の現状を緊急決議案として提起し、世界各国の代議員から賛成多数で可決されました。

また、ILOでは2013年3月に「結社の自由委員会」で確認された公務員制度改革にかかわる「中間報告」を採択しました。委員会の勧告は2012年12月26日に発足した新政権がこれまでの経緯の総括も行ったうえで、国家・地方公務員制度改革の具体的内容を検討するよう日本政府の表明に留意し、委員会は日本政府に対し、批准済みの87号、98号条約に示された結社の自由原則を完全に適用させるため、公務員への労働基本権の付与や消防職員に団結権、団体交渉権の付与など異例ともいえる8度目の勧告が出されました。しかし、日本国内では、自民党を主体とする政権の復権に伴い、公務員制度改革の先行きは不透明な状況となってしまいました。これらの経緯を踏まえ、民主党消防政策議員懇談会を中心とする国会への要請活動など、PSIと連携しながら国際圧力を味方に、団結権獲得に向けて運動を継続していく必要があります。

【組織の強化拡大】

自治労は2010年5月、未組織消防の組織化に向けて取り組むことを運動方針化し、全消協も組織拡大に向けて同年9月に組織化基本計画を策定し、組織化の進捗状況や未組織消防職場での問題・課題を検討し議論してきたところです。全消協は当面の目標として会員3万人体制を掲げて活動してきましたが、現在の会員数は全国の消防職員の1割弱にとどまっています。消防職員協議会の活動のあり方を検証しつつ全消協の認知度を向上させる取り組みを継続していく必要があります。現在の組織化対策のあり方を検証し、自治労と全消協の関係をより強化し未組織消防職場の組織化に向けた取り組みを進めなければなりません。また、労働講座などの機会を活用し、ユース世代の人材育成と組織強化に努めます。女性連絡会の活動を強化し、女性が参画しやすい職場環境や男女平等の職場づくりを行います。

総務省は2006年7月には消防の広域化を消防組織法に明記し、管轄人口30万人を目途に推進するとしています。消防は、安心・安全を24時間365日フルタイムで、住民の付託に応えるために消防力の確保に努めなければなりません。したがって、安易な財政削減・執行効率の面だけを捉えた住民不在の消防の広域化は避けるべきだと考えます。

消防の広域化は団結権さえ否認されている消防職員にとって、働く条件等の決定に参画できず、賃金の抑制や特勤手当の廃止など、労働条件改悪という問題が浮き彫りになっています。また、全消協は広域再編の動きに対して組織拡大のチャンスであると捉え、自治労と共に取り組んで行きます。

【賃金・労働条件の改善】

全消協結成当初からの運動の柱である無賃金拘束時間の問題は、未だにほとんどの交替制勤務職場で解消できないまま現在に至っています。

2003年に総務省から出された206号通知を根拠に、いまだに恣意的な取り扱いにより、休憩中の労働に対して事後において休憩時間を繰り下げ、時間外勤務時間を正規の勤務時間とし、処理できない時間のみ時間外勤務として扱う職場もあります。

また、2011年の広島高裁判決では、消防職員に休憩時間自由利用の原則が排除されていることから、労働時間性を否定しました。全消協は、この裁判の結果も踏まえ、各消防職場の勤務時間等の実態を調査するとともに、無賃金拘束時間の解消に向け、現行の法制度上の矛盾を追及する運動を展開していきます。

緊急消防援助隊については出動に要した費用については国が負担するようになっています。しかし、東日本大震災では、被災地における活動に対して、各市町村の条例に基づいて職員に支払われることから、その労働に対する評価に大きな賃金に格差が生じました。酷いところでは、時間外勤務手当が支給されず、全て週休の振り替えで行われた職場もありました。大規模災害発生に伴い派遣される緊急消防援助隊は、国の政策で実施されている以上、国の責任において労働の対価の格差が生じることのないよう全消協は求めていかなければなりません。

また、被災地の消防本部では災害対応において連続過重労働にならざるを得ない状況ですが、超過勤務手当が未払いとなっている消防本部も確認されています。緊急消防援助隊の課題とともに、被災地消防本部の勤務のあり方を正常化するよう求める必要があります。

年金の支給年齢が65歳(特定消防職員は段階的に引き上げ)となりました。海外では、加齢にともなう就労が困難な職種によっては年金支給の早期な運用がされています。すでに年金制度はスタートしていますが、定年退職と年金支給開始との接続性を担保し、消防職員が安心して働き続けることができる職場づくりと、住民への消防サービスの低下を招かないよう取り組みを進めます。

【安全衛生体制の確立】

労働安全衛生法の理念である、労働者の健康と安全を守るため全消協は快適職場の形成をめざしてきました。

東日本大震災では、多くの派遣職員が現場の悲惨な現状を目のあたりにしたことや自身の無力感に陥るなどPTSD症状が危惧され、全消協はメンタル対策に専門家を交えながら取り組んできたところです。被災地の消防職場ではPTSD症状に陥った職員が自身の体験をもとに同僚にメンタルサポートを実施し効果をあげている事例が多々あります。今後も、全消協はメンタルヘルス対策を専門機関と協議しながら対策の強化に取り組みます。

【救急医療体制の確立】

近年、救急需要が増加し救急業務を取り巻く諸課題や、それに対する対応策を検討し、必要な制度の見直し等を行うことが求められています。総務省消防庁は救急業務の質の向上に向け、救急隊員の再教育制度を創設しましたが、実態に見合った人員・財政措置を講じなかったことから多くの消防本部で必要とされる研修が人員不足により実施できていない状況があります。また、病院前救護体制の確立が求められてきており、ドクターカーやドクターヘリ、救急ワークステーションの設置、通信指令課員の口答指導など、医療機関と密接な関係を構築していくことが重要になってきています。今後、自治労の衛生医療評議会や他の産別組織等との連携や情報交換により、今後の救急医療体制のあり方についても検討する必要があります。これらのことを国の責任においてしっかりと担保する仕組みも必要であると考えます。

Ⅱ 活 動 方 針

(1) 団結権回復にむけた取り組み

 2009年8月に政権交代し、国民主権の民主的な社会実現のため政権運営を行ってきた民主党政権も、国民からの支持を維持継続させることができず、2012年12月、第二次安倍内閣に政権運営を明け渡すこととなりました。

民主党政権下では、消防職員の団結権は着実に回復への道を辿っていました。これまでの間「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」で議論を重ね、そして有識者会議による「付与が妥当」との国民のコンセンサスを得ながら必要性と必然性に対する理解度を深めていった結果、閣議決定を経て国会へ地方公務員制度改革二法案と併せて2012年11月15日には議案提出されました。これで消防職員の団結権回復は最終局面までたどり着いたと思った矢先の翌日、11月16日に野田前首相による突然の「衆議院解散」宣言により提出された議案は審議未了のまま廃案となり、消防職員の団結権回復への道筋は一旦途切れることとなりました。

選挙の結果、国民は自公政権を選択し、消防職員の団結権は半年以上の間、何ら議論されることなく地方公務員の給与削減を強く求めた地方交付税削減による圧力と締め付けのみが強行され、旧自公政権時代以来まさに公務員にとっての氷河期が再来しています。全消協はこれで消防職員の団結権回復が消えてなくなったとは捉えてはいません。ただ、目前まできていた団結権回復がやや減速した感は否めません。

最終局面的には、政治判断に委ねざるを得ない訳ですが、全消協が発足して以来35年追い求め続けてきた団結権回復に対するこの3年半の取り組みについて、全消協が主体性を持って主張できたのか、国民のコンセンサスを得るため情報発信できたのかを検証する必要があります。

2012年11月第29回PSI世界大会において、全消協は、日本の公務職場を代表して消防職員の団結権を含む地方公務員制度改革二法案が審議未了のまま廃案となったことについて、法案成立を図る緊急決議案を提出し賛成多数で可決されました。また、2013年3月にはILO「結社の自由委員会」は日本政府に対して消防職員への団結権付与に関する8度目の勧告を行っています。

国際社会からの日本政府への圧力も、今や無視し続けることができない状況となっていることは確かです。全消協は今まで以上に連合、自治労とより強固な信頼・協力関係を構築し、グローバルスタンダードである公務労働者すべての労働基本権の確立にむけた取り組みを継続していきます。

【労働基本権回復のための政治活動の強化】

1. 連合、自治労との連携・協力関係を今まで以上に深め、粘り強く国に対して働きかけを行います。また、今後も民主党消防政策議員懇談会に対して支援と協力を求めるとともに、消防職員への労働基本権回復及び地方公務員制度改革関連法案早期成立に向けた働きかけを要請します。

【労働基本権回復にむけた国際連帯の強化】

2. 日本政府に対して、公務職場の労働基本権確立のための国際圧力を強めるため、PSIを通じてILOへの働きかけを要請します。

3. PSIに加盟するアジア・太平洋地域の消防職員等との情報交換を通じ、消防職員の労働基本権の確立に向け、国際連帯を更に強化して行きます。

4. PSI-JCの活動をとおし、産別交流を深めます。

(2) 組織強化・拡大の取り組み

 第140回自治労中央委員会で決定された消防組織化方針に基づき、未組織消防の組織化については自治労と共に組織拡大運動を推進してきました。この3年計画の実績は2010年に1単協、2012年に3単協、2013年に6単協と10単協の組織化となっていますが、組織化の見込める職場がいくつか報告されています。徐々にではありますがこの間の組織化の努力が浸透してきたものと考えられます。今後、私たちが目指す団結権回復に向けて再び行動するためには、これまでの組織化運動を検証し、その反省を踏まえて組織化運動を継続する必要があります。アクションプランを継続するとともに、より有効な手段を講じ未組織消防職場に協議会活動の必要性を訴えるとともに、消防職場の問題と課題の克服にむけたオルグを展開します。

そのために全消協はもとより、各県消協、各単協が一丸となってこれまで以上に活動を強化・拡大し、世論に向けて積極的に発信することが不可欠です。

これからの全消協活動を推進し組織化を強化・拡大するためには、これまで以上に若年層や女性会員の協議会活動への積極的参加を進める運動も重要です。リーダーセミナーや労働講座、研究集会の内容を充実させるとともに、会員が参加しやすい環境作りも進めていきます。

【自治労本部との連携】

1. 自治労本部の消防組織化対策本部と連携し全国の状況を把握し、合同で組織化を進めます。

2. 全消協執行部と自治労本部組織担当役員で定期協議を実施し、組織化にむけた議論を実施します。

3. 消防職員の団結権回復のためにインターネットやマスメディア等を通じ積極的な情報発信をしていきます。

【自治労各県本部・単組との連携】

4. 県消協及び単協は、自治労各県本部に設置されている消防組織化対策委員会に積極的に参画し、消防職場の勤務実態や状況などを説明しながら、未組織消防職場へのアプローチ方法や組織化にむけた具体的取り組みを行います。

5. 県消協及び単協は、自治労各県本部及び単組に対し、消防職場の喫緊の諸課題や組織化に必要な情報提供を行います。

6. 自治労各県本部および単組と連携し、議員や首長、消防長に対し組織化への理解を求めます。

【協議会活動を担う人材の育成】

7. 消防職場における労働問題の自主的解決能力の向上や職場環境の改善などに役立ち、将来における各単協及び全消協運動を活性化、さらに中心的役割を担っていく人材育成のために、労働講座及びリーダーセミナーを引き続き開催します。とりわけ、女性・ユース世代の積極的な参画を促します。

8. 全消協は各県消協や各単協に対し、若年層及び女性の協議会活動への積極的な参画を促すため、ユース部及び女性連絡会の設置を促します。

(3) これからの組織のあり方

 全消協は2009年の第33回定期総会で、団結権回復後の組織のあり方を「自治労に合流することを前提とし、課題整理していく」ことを提起し、その取り組みについて承認されました。

そして、全消協は近い将来、団結権が回復し消防職場に労働組合の結成が認められることを前提に、自治労と定期的に組織合流後の組織のあり方について検討を重ねてきました。

また、自治労が2010年5月の第140回中央委員会で「消防職員の組織化方針」に基づいて3年間集中して消防職員の組織化に取り組んできたことにより、組織化はもとより自治労各道府県本部及び単組と県消協・単協との関係はより強固となり、更に消防職場に対する支援・協力体制の輪が広がってきています。

今回の政権交代により、現在の自公政権は4年前に当時の自公政権が打ち出していた「公務員制度改革」すら進めようとしていません。当然のことながら、民主党政権時の制度改革案に対して理解を示していないのは明白です。地方公務員制度改革二法案は審議未了で廃案となり、消防職員の団結権回復を盛り込んだ地方公務員法改正案も廃案となっていますが、近い将来、国家公務員制度改革に併せて議論を再開することは間違いありません。その時に、今まで醸成してきた公務職場への労働基本権保障の必然性をしっかりと発信し、確実なものとするために、この間積み上げてきた全消協と連合・自治労との関係を更に強固にしなければなりません。

そのためにも、これからの組織のあり方について今まで同様に自治労と議論を重ね、地方公共団体に働く同じ労働者として、共通した問題意識を持ちながら共にたたかう体制づくりを構築します。

【自治労への合流】

1. 全消協は、引き続き団結権回復を見据え自治労に組織合流することを前提に具体的協議を重ねていきます。特に、自治労本部と全消協において組織合流のあり方について共通認識を深めます。

2. 県消協と各県本部についても連携と協力関係強化を図り、各県における組織合流の準備を進めます。

(4) 賃金・労働条件改善の取り組み

 全消協は結成以来、数々の賃金・労働条件について問題解決に向け取り組んでいますが、現状は厳しく課題は山積みです。特に休憩時間の取り扱いについては昭和23年の消防組織法施行により常備化が進められた時代と未だ変わらず、結成当初からの活動の柱である無賃金拘束時間の解消には至っていません。1日8時間未満とする勤務時間ですが、交替制の消防職場においては、24時間拘束の職場実態は変わらないまま勤務時間の短縮が行われ、毎日勤務者の勤務条件改善に反して、交替制職場の消防職員は無賃金拘束時間の延長という実態があります。

最近の労働裁判では、消防職場と類似する職種の「仮眠・休憩」などの無賃金拘束に対して労働時間性を認める判例が相次いで示されています。しかし、消防職場では、通信指令課員の休憩時間中の業務命令に対し時間外の支払いを求めた地裁判決においては勝訴しましたが、高裁において逆転敗訴となり最高裁に上告しましたが、棄却される結果となりました。また、休憩時間の取り扱いで、平成15年消防庁206号通知は、消防職場に大きな影響を与え、とりわけ「休憩時間の繰り上げ・繰り下げ」は、労働基準法の労働条件明示義務に反する違法性の高い運用になっています。これらのことから全消協は消防職場の休憩時間のあり方について、各消防職場の状況を調査するとともに、あらゆる機関に働きかけ改善を求めます。

新たな評価システムでは、分限免職も可能な制度設計となっており、この人事評価制度について適正な運用と公正・公平で的確な評価をさせる取り組みを行います。

公務員の定年延長が2013年度から実施予定でしたが、2012年4月政府は定年の延長ではなく「再任用の義務化」を導入し、定年延長実施を見送りました。使用資機材や装備品の軽量化がいくら進んでも過酷な災害現場では強靭な体力が一番に求められる職場です。会員が安全に安心して働ける再任用制度をめざすとともに、従来の制度で起きている問題を検証し業務内容、人事のあり方、賃金および福利厚生等について研究を行い、関係団体と協議し、年金支給開始年齢まで健康に勤務できる体制をとれるよう国に働きかけます。

東日本大震災では、全国の消防から緊急消防援助隊として派遣総数30,684人・部隊総数8,854隊が2011年3月11日から6月6日まで派遣され被災地で現場活動を行いましたが、災害派遣について不均衡な取り扱いが発生しました。緊急消防援助隊に関する経費については国に請求しますが、請求については自治体の条例に基づき請求するため、派遣元が財政基盤の脆弱な自治体で特殊勤務手当の削減や凍結、給与の削減を行っているところも多数あり、複数消防本部で混成運用している部隊では同じ業務を行いながら全く違う扱いが発生しました。この問題を全消協が提起した結果、沖縄・北海道の議会で取り上げられ管内の自治体に対し派遣特殊勤務手当新設についての通知文が発文され複数の自治体で派遣特殊勤務手当が新設されました。しかし、不均衡な取り扱いの根本的な解決にはつながりません。国は「緊急消防援助隊広域総合進出拠点施設に係る検討会」を開催し活動拠点と後方支援体制を決めました。しかし、派遣に関する経費については検討の対象にはなっていません。全消協は緊急消防援助隊での活動に対して、不均衡な勤務取り扱いにならないよう引き続き国へ働き掛けていきます。

全消協は、消防業務の特殊性を考慮した基本賃金のあり方、その他の労働条件に関しても、活力あふれる職場をつくるための環境整備と、仕事に対する「正当な評価」を求め、加盟単協と一体となって、次の運動を進めていきます。

【賃金・労働条件の改善】

1. 消防職員の賃金・労働条件改善に自治労と連携して取り組みます。

2. 消防職員の基本賃金および諸手当のあり方について研究を進めます。賃金・諸手当の改善事例を収集し、その情報提供に努めます。

3. 一般職員との賃金格差が生じないよう積極的に情報交換を行い、昇給・昇格が不利益のないよう制度の整備を求めます。

4. 勤務時間や休日数などでの日勤者との格差、交替制勤務者間での格差が生じないよう制度の整備を求めます。勤務形態・労働時間の改善事例を収集し、その情報提供に努めます。

【無賃金拘束時間への取り組み】

5. 国に対し、休憩時間にかかる基本原則適用除外を定める労働基準法施行規則の見直しと深夜を含む労働の総量と深夜勤務の回数制限を設けるよう求めます。

6. 自治労と連携し、自治労委員長と総務大臣との勤務時間等に関する定期協議などを通じた行政対策や、協力国会議員と問題共有化をはかるなど国会対策に取り組みます。

7. 人事委員会・公平委員会に対する措置要求、また、訴訟等の動きがある単協の情報収集に努め、支援協力体制の確立をはかります。

8. 単協はシフト制の導入など勤務制度の研究を行い、無賃金拘束時間を可能な限り短縮するよう求めます。

【勤務時間制度の改善】

9. 変形労働時間制の期間は「1ヵ月以内」を原則とし、使用者による恣意的な週休の振替運用については是正を求めます。

10. 労働時間配分の明確化をはかり、休憩時間内の労働(出動など)に対して時間外勤務手当の支払いを求めます。

11. 時間外勤務の縮減を求めるとともに、恒常的なサービス残業を廃止するよう求めます。

12. 勤務時間外における恒常的・定期的な業務命令(予防査察・救命講習・訓練など)を撤廃し、これらの業務が、適正な人員配置のもと通常勤務のなかで円滑に遂行できる体制を求めます。

【人事評価制度への取り組み】

13. 新たな人事評価制度の導入にあたっては、制度設計段階から関与・参画し、納得できるシステムづくりを求めます。

【再任用制度・定年延長への取り組み】

14. すでに再任用制度が運用されている消防職場の実態の収集と情報の共有化をはかります。

15. 希望者全員の採用にむけて関係団体と協議しながら職場の確保をはかります。

16. 現職時における再任用にむけた研修制度の充実について研究を行います。

17. 消防職員の「再任用の義務化」について新規採用を妨げず消防職場の現状を鑑みた制度構築にむけて国に対する申し入れを行います。

18. 消防職員の定年延長について引き続き研究します。

【災害派遣勤務への取り組み】

19. 東日本大震災における加盟単協の派遣時の処遇について調査研究します。

20. 派遣特殊勤務手当の新設状況と内容を調査研究します。

21. 国に対し、派遣時の勤務の取り扱いが不均衡に取り扱われないような基準を設けることを求めます。

(5) 労働安全衛生の確立

 労働安全衛生法には尊い命の犠牲がこめられ、二度と犠牲者を出さない信念が込められています。

労働者の健康と安全を守り、快適職場の形成をめざすために労働安全衛生活動を広く普及してきた結果、最良最善の改善だけにこだわることなく、ちょっとした創意と工夫で改善できたもの、年次計画的に改善した事例や、東日本大震災においてもメンタルサポートによって効果をあげている事例などが報告されています。

消防業務は長時間拘束や交替制勤務、深夜勤務などの過重労働をともない、常に相手の状況に合わせて働くケア労働です。この労働条件下で質の高い公共サービスを提供するためには、これまで以上に職場の安全衛生体制の確立と労働安全衛生活動の強化をするとともに、労働安全衛生法を活用し、安全で快適な職場環境を整備することが必要です。

消防職員の公務中における死者や負傷者の発生する割合は、その職務の特殊性から他の行政職員と比較しても高い水準となっています。訓練時において、災害時の負傷者数を上回る現象がここ数年続いています。また災害現場活動で多くの仲間の命が危険にさらされています。労働災害が起こらないよう安全管理体制の確立に取り組むとともに業務に起因して発生した死亡・傷病については、公務災害の認定を求めます。また、定年まで「健康」で働ける職場づくり、定年後も家族と「老後」を楽しめる職場環境づくりをめざします。

阪神・淡路大震災や東日本大震災等、近年大規模な災害が発生しているなか、今一度メンタルヘルスの重要性を認識し、惨事ストレスの「犠牲者」を出さない取り組みを行います。

【労働安全衛生法の活用】

1. 厚生労働省に対し、消防業務を労働安全衛生法施行令の中で明確に位置づけるため、第3条(安全管理者を選任すべき事業所)、第8条(安全委員会を設けるべき事業所)の改正を求めます。

2. 労働安全衛生法の趣旨を活かし、民主的で職員一人ひとりが積極的に参画できる労働安全衛生活動を推進します。

3. 消防職場の労働安全衛生については、その職場で働く職員の意見や経験を尊重するとともに、医師、有識者、自治労関係者など、広範囲な専門家の参画により基準の見直しを行うよう求めます。

4. 現場活動は、あらゆる危険性が潜在しています。訓練中の安全管理にも細心の注意を払うとともに、健康で働きやすい職場の環境整備の適正化をはかるため、必要な情報の提供・安全衛生教育の徹底・資器材の整備充実を図ります。また、開発された機械・器具が早期に消防職場に導入されるよう求めます。

5. 深夜業務に従事する職員の健康診断については、労働安全衛生法に基づいた適正な健康診断を行わせるとともに、その実施についても業務の一環として受診させるよう活動を進めます。また、結果分析と事後措置などの改善対応を求めます。

6. 労働安全衛生委員会への女性の参画を促進し、「男女がともに担う安全衛生活動」を確立します。

7. 消防職員が24時間職場に拘束されるなかで、福利厚生の充実は必要不可欠であるとの認識に立ち、食堂やリラックスできる休養室の整備、個人のプライバシーが守られる仮眠室の個室化などを求めます。

【労働災害・公務災害対策】

8. 労働災害が発生しないよう職場の安全管理体制を確立します。

9. 業務中や業務に起因して発生したと思われる死亡・傷病などについては、すべて公務災害認定請求及び保障を行うよう活動を進めます。

10. 職員が療養する必要が生じた場合、安心して治療に専念できる体制づくりを求めます。また、職場復帰時からフルタイムで働くことが困難な場合、就業場所や業務内容の変更、規則の制定による段階的な職場復帰ができるよう、健康に配慮した体制づくりを研究します。

11. 原子力施設や危険物施設などが管轄内にある消防本部の災害対応体制の充実、また、関係機関との情報を共有、さらには、災害発生時に出動する消防職員の安全を確保する装備の充実や教育・訓練を国の責任において実施・徹底するよう働きかけます。

【メンタルヘルス対策】

12. メンタルヘルス対策として次のとおり取り組みます。

① 一次予防(職場の民主化・活性化、参加型安全衛生活動によるストレス・過労対策・快適職場づくり、厚生施設の整備・充実やサークル支援など福利厚生活動の充実、地域社会活動の推進と支援、基礎教育による予防対策)

② 二次予防(早期対策・早期治療のための利用しやすい相談体制の工夫・改善、リスナー・カウンセリングマインド研修等実践的な研修の実施)

③ 三次予防(療養休職の保障及びケア、リハビリ勤務、慣らし勤務等による復帰のための猶予期間の保障、カウンセリング体制の継続など職場復帰・再発防止対策)

13. メンタルヘルス問題を職場内で気軽に話し合える環境づくりを進めます。人権の尊重・プライバシーの保護を基本として、人事管理とは完全に切り離したカウンセリング体制の充実を求めます。

14. 本人や家族が惨事ストレスについて理解し、心身の変化を早期に察知できるよう、研修・担当職員の養成などに努めます。

15. メンタルヘルス専門家を活用できるよう関係機関などと協力関係を築きます。

【自治体労働安全衛生研究会との連携】

16. 消防職場で労働安全衛生活動を推進するため自治体労働安全衛生研究会の活動に積極的に参加し、単協での活動に活かせるように取り組みます。

17. 各地で発生した公務災害について、その実態を明らかにするよう取り組みます。また、その情報を全国に発信し共有化をはかるとともに、その防止策について研究します。

(6) 男女共同参画社会実現の取り組み

 内閣府は2011年4月より第3次男女共同参画基本計画に基づき、様々な施策を進めており、男女間の賃金格差の改善や女性の労働力率にあらわれるM字カーブの底上げ等も見られ、大震災の災害対応と復興・復旧に向けた取り組みの中で、被災地や地域における男女共同参画の重要性が改めて認識され、男女共同参画社会の実現が災害に強い社会づくりであるともいわれています。

一方「世界経済フォーラム(WEF)」がまとめた男女格差報告(2012年版)の調査によると調査対象国135ヶ国中、日本は101位であり国際社会の中でまだまだ男女格差があり、女性にとって働きやすい社会であるとはいえない状況です。総務省消防庁の調べによると、女性消防職員は2012年4月1日現在3,952人で消防職員全体の2.5%にすぎません。消防職場への女性の採用や職域の拡大を推進すること、施設や資機材など女性の働くことができる職場環境を整え、職場への男女平等の啓発や各ハラスメントの防止などの教育を実施し、今も続く「男職場」である消防職場を改革することが求められています。

男女共同参画は組織の活性化の要であり、経済・社会を持続させる基盤であることを基本に男女共同参画は女性のみの課題ではなく「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」の観点からも男性や基本組織の課題であることを認識し、組織全体で意識改革の必要があります。職場や地域、協議会活動において男女を問わず、一人ひとりが消防職員としてその能力を十分に発揮し、生き生きと活躍できる場の実現にむけ全力で取り組みます。

【雇用における男女平等の推進】

1. 男女共同参画社会基本法を踏まえ、あらゆる社会制度・慣行をジェンダー中立のものにするため、男女平等政策および職場における雇用平等推進に向けて取り組みます。

2. 女性職員の更なる積極的な採用と職域の拡大等を推進するため、男女平等の受験機会の提供や女性職員のための施設や資機材の改善など環境整備を求めます。また男女間の処遇上の格差を是正し、雇用の全ステージにおける男女平等の職場づくりを推進します。

3. 人事院の「育児・介護を行う職員の仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針」の改正等を参考に、育児・介護を行う職員の両立支援制度を活用します。

4. 育児・介護を行う職員の超過勤務の制限を徹底します。また、育児のための短時間勤務制度について、条例化を進めるとともに実効性を高める取り組みを進め、男性職員の積極的な育児参加を奨励します。さらに、介護を行う職員のための短時間勤務制度の実現に取り組みます。

5. 地方公務員共済制度・事業について、性とライフスタイルに中立な制度設計を前提として、両立支援策や福祉事業などを充実するよう対策を進めます。具体的には、介護休暇全期間に関わる掛金の免除、育児休業・介護休暇に関わる休業給付金の支給水準・期間の改善、出産費・出産手当の増額などを求めます。

6. 安全衛生委員会への女性の参画を促進し、男女がともに担う安全衛生活動を確立します。

7. セクシュアル・ハラスメントをはじめ、すべてのハラスメントやいじめ対策など、使用者責任を明確にしつつ、情報提供や予防対策、被害者救済対策に取り組みます。

【男女がともに担う全消協づくり】

8. 全消協の活動のすべての領域で女性の参加を促進します。また女性連絡会の活動を強化し、男女がともに担う運動作風をつくります。労働講座、リーダーセミナー、研究集会には女性枠を設け参加を保障します。

9. 全消協の主催する会議・集会でセクシュアル・ハラスメントの起こることがないよう「すべてのハラスメント一掃宣言」に取り組みます。

【国際的な活動における男女平等の推進】

10. ワークルールの改善、男女平等、均等待遇の推進などILO条約等国際条約の批准および遵守の取り組みを強めます。

11. PSI規約に基づき、あらゆる活動での男女平等参画(ジェンダー・メーンストリーミング)を目指します。女性の協議会活動への積極的な参画、雇用における男女間格差の解消にむけて、同一価値労働・同一賃金と均等待遇の実現に取り組みます。

(7) 救急医療体制の確立

 近年の救急需要は引き続き増加傾向にあり、医療の日進月歩に伴って、救急隊員に必要となる知識や技術などが高度化してきていることから、これらに対応するため、救急隊員の資質を一段と向上させ、十分な知識や熟練した技術を有する救急隊員の養成が重要な課題となっています。

傷病者を受け入れる医療機関では、ドクターヘリの導入やドクターカーの運用など、ハード面が充実し急性期の傷病者に対するシステムは着実に前進して救命率の向上に付与しています。しかし、通常の救急搬送では、傷病者を受け入れる医療機関が救急部門の一時休止や医師不足等により、受け入れ困難な状況が常態化し、いわゆる「たらい回し」といわれる救急搬送受け入れ拒否問題が後を絶ちません。

現在、関係省庁が主体となり、救急救命士の処置範囲拡大や救急業務のあり方に関する検討会、総務省消防庁の緊急度判定体系実証検証事業において、国民の救急ニーズに応えるべく様々な議論が進められています。しかし、現場で活動する私たち救急隊員に課せられた使命、責務はこれまで以上に重くのしかかり、個人レベルで到底支えきれるものではありません。さらに近年は、大規模な自然災害や多数傷病者が発生する事件・事故が多発し、最先着隊として活動する救急隊員がPTSDなどの心的症状を訴える例が多く報告されています。また、救急救命士の処置範囲拡大に伴う追加講習や病院実習等により、職場では人員不足が常態化しているため、消防職員の充足率を高める必要があります。

全消協は、消防救急の抱える問題点を明確化し、救急救命士制度の効果的な運用と救急隊員の質的向上を目指すため、地域住民、地域医療を担う労働者、消防救急が一体となり消防救急の充実にむけ関係省庁に対して働きかけます。

【改正消防法への対応】

1. 国に対し次のことを求めます。

① 都道府県協議会の運営状況を把握するとともに、十分機能するよう指導および支援を行うこと。

② 厚生労働省は国民が平等に医療を受けられ、また搬送時間が長時間にならないよう、適正な病院の配置と医師・看護師の確保をすること。

③ 制度改正にともない、都道府県や市町村に人員確保に必要な財政措置を行うこと。

2. 都道府県に対し次のことを求めます。

① 協議会に現場で活動している消防職員の意見を反映させること。

② 都道府県は協議会を設置するにあたって各地域MCと連携し、医療機関と消防機関との合意をはかること。

【救急業務の充実】

3. 消防救急の充実、救急隊員の労働安全の確立をはかるため、適正な職員配置を求めます。

4. コールトリアージ、フィールドトリアージのあり方の研究を進めます。

5. MC体制の地域間格差を解消するよう国に求めます。

6. NBC災害や新型インフルエンザ等の特異的事象に対応するための情報の提供や装備の充実をはかるよう求めます。

【地域医療との関わり】

7. 地域の救急医療の拡充のため、自治労衛生医療評議会との連携を強めます。

(8) 消防の広域化への対応

 2012年9月の広域化に関する中間答申を受け、2013年4月「市町村の消防の広域化に関する基本指針(通知)」で、消防広域化に伴う各自治体に対する財政支援強化策が告示されました。これは消防広域に伴う消防庁舎の建設、高機能通信指令室の整備及び車両の購入など地方交付税の措置率を一律70%まで引き上げるといった内容が含まれ、広域化推進期間については5年延長となりました。

広域化は地域の実情や実態、職員の労働条件の統一化など諸課題が山積しており、安易にハード面での支援策のみで実施できるものではありません。全消協としては1990年5月のILO「消防職員の雇用及び労働条件に関する合同会議」の結論に基づき、総務省消防庁に対して、①広域再編を進めるにあたっては不必要な広域化は進めるべきではない、②住民サービスを現状より低下させない、③職員の削減や労働条件の悪化を伴わない、の3項目について自治労を通じ申し入れを行ってきました。しかし今回の発表で各自治体が財政的メリットのみを追求し、住民サービスを低下させる恐れがあります。

また、これまで消防広域化と消防・救急無線のデジタル化は別だと国は主張してきました。しかし、今回の告示にもあるように、やはり広域化と消防・救急無線のデジタル化をリンクさせ推進していく方向性がはっきり出てきました。

我々は公共緊急サービスである消防行政を担う消防職員として、社会的使命を再確認したうえで、地域実情に即した消防サービスのあり方を求める必要があります。自治労・関係議員・各種団体との連携を通じ、各都道府県が定める広域消防運営計画策定に積極的に関与し、広域化が地域住民サービス向上に繋がる有効手段となるよう提言し、対応していく必要があります。

【国に対する取り組み】

1. 広域化の推進にあたっては、地域実情に即した広域化であるよう提言します。

【自治体に対する取り組み】

2. 広域化の推進にあたっては、管轄人口規模や財政効率化のみを主とした判断基準ではなく、地域実情を踏まえ住民サービス向上を主とした計画を進めるよう提言していきます。

3. 地域住民と現場職員の情報を開示し、意見反映を図ることを求めます。

4. 消防職員の雇用、賃金、労働条件など処遇が不利益とならないよう求めます。

【広域化対策委員会の取り組み】

5. 都道府県が定める広域推進計画及び広域化対象市町村が定める広域消防運営計画への対応については、県消協及び広域化該当単協に対策委員会を設置し、次の通り取り組みます。

① 県消協及び単協と、広域化に関する情報の収集・提供を行います。

② 地域住民・各種団体・未組織消防に対し、広域化に関する情報の収集・提供を行います。

③ 広域消防運営計画策定に際し、自治労各県本部・単組・組織内議員・協力議員と連携して各自治体当局に意見反映を行います。

④ 自治労県本部、単組と連携し、広域化を契機に未組織消防への組織拡大を図るよう取り組みます。また広域化により単協が多数派の未組織職場に埋没することがないよう取り組みます。

(9) 質の高い消防サービスの実現

 全消協は、PSIの「質の高い公共サービス(QPSキャンペーン)」の一環として質の高い消防サービスの実現に向け消防力の地域格差の解消に自治労や民主党消防政策議員懇談会と連携し取り組んできました。PSIは、「質の高い公共サービスとは、質の高い労働条件下で働く質の高い労働者が提供するものであり、人間として尊厳を保つことのできる社会をつくり出すための必須要件に他ならない」と定義し、「質の高いサービスは人権である。さらに質の高いサービスは、質の高い労働者(良く教育され、公共部門の倫理観を備えた)が質の高い労働条件の下で、そしてサービス利用者が常に質の高さを望めるような財源を伴ってこそ初めて提供が可能になる」ことをゆるぎない信念としています。これは全消協の方針と同質であり、全消協活動を推進することが、質の高い消防サービスに繋がります。

質の高い消防サービスの基礎となるのは消防力であり、その基本となるのが人材育成です。人員が充足され、平等に高い教育を受ける機会を持つこと、その力が遺憾なく発揮できる車両や資機材、システムおよび組織体制、消防予算が必要です。しかし、各自治体消防が整備すべき基準値は、「消防力の基準」から「消防力の整備指針」と改正され、「最低基準」から「整備すべき目標」となりました。地方財政悪化の影響により、十分な消防予算が担保されず、条例定数の削減や最低人員の切り下げが平然と行われています。全消協は、根本的問題である消防予算の確保、住民本位の消防行政の確立をめざし「質の高い消防サービス」の実現への取り組みを推進します。

【質の高い消防サービスの実現への取り組み】

1. 県消協・単協は、住民ニーズの把握に努め地域住民と協働した活動を推進します。

2. 県消協・単協は、積極的に地域住民との交流の機会を設け、消防行政について検証・評価し、課題を共有します。

3. 県消協・単協は、大規模災害時における自助・共助の重要性について協議を行い、地域における防災コミュニティーづくりに取り組みます。

4. 県消協・単協は、医療、福祉、保健、教育機関などと連携・協力し質の高い消防サービス実現に取り組みます。

【消防力の整備指針への取り組み】

5. 単協は、消防当局および各自治体首長に現在の消防力および整備すべき目標について住民に対し十分に情報公開することを求めます。

6. 県消協は、県内すべての消防本部の消防力の整備状況を把握し、消防力の地域間格差が拡大しないよう各自治体および消防長会に要望します。

7. 全消協は、総務省消防庁に対し、自治労や民主党消防政策議員懇談会と連携し、全国的な消防力に関する課題提起を行います。消防力整備における国の責任を明確にさせるとともに、相応の予算措置を求めます。

【自治研活動への参画】

8. 県消協・単協は、自治労単組や県本部と連携し、自治研活動に積極的に参画します。

9. 全消協は、先進的事例を収集し、分析・検討を行うとともに、研究集会において政策提起します。また、自治労の主催する自治研集会に積極的に参画し連携・共有をはかります。

10. 全消協は、会員をはじめ各方面から幅広く、消防行政の将来的展望について意見の提供を求めます。

(10) 国際連帯活動の推進

 全消協は日本の消防職員の団結権回復など目標達成には至っていないことから2012年11月第29回PSI世界大会において、消防職員の団結権を含む地方公務員制度改革二法案が審議未了のまま廃案となったことについて、法案成立を図る緊急決議案を提出し賛成多数で可決されました。国際社会のなかで共通の課題や諸問題解決のために連帯し、世界から日本に対して訴えていくことは全消協の目標達成には必要不可欠で、幅の広い活動となります。全消協はPSIの活動を通して、消防職員の団結権回復や世界の公共部門労働者との連携をはかり、権利獲得や労働問題解決への取り組みの一翼を担います。

PSIは基礎的公共サービスが人間らしい生活を営む上で必要であり、貧困の解決と社会格差の解消に有効であることを再評価し、「質の高い公共サービス」グローバル・キャンペーンを展開しています。全消協も市民の安心・安全を保障する消防行政の実現をはかるための取り組みを、権利獲得と労働条件改善の取り組みと一体のものとして推進します。また、PSIが重視しているジェンダー平等の取り組みや若年層の参画を、全消協の活動のあらゆる領域に適用するとともに、男女平等の働きやすい消防職場づくりを推進します。

全消協は、世界およびアジア諸国から注目されているとともに大きな期待が寄せられています。これらの期待に応えるため全消協は団結権回復をめざし、その活動が各国に波及していくよう国際連帯の活性化をはかります。

【国際公務公共サービス労働運動の発展・強化の取り組み】

1. 日本の消防職員の団結権問題について、PSIの諸活動の場において訴え、国際労働運動の注目と国際世論の喚起に努めます。

2. PSI-JCの活動を積極的に担い、日本におけるPSI加盟組合の拡大など組織強化に寄与します。

3. 連合が重点とする、ILO94号条約(公契約)、105号条約(強制労働廃止)、111号条約(差別待遇禁止)、149号条約(看護労働)、183号条約(母性保護)など未批准条約の批准促進にむけ、連合、自治労とともに取り組みます。

【「質の高い公共サービス」実現の取り組み】

4. 「PSI2013-2017行動プログラム」が示され、平等で公正な社会の基礎となる質の高い公共サービスの実現を目標に、社会格差の解消、貧困撲滅、公共サービス労働者の労働基本権確立、公共サービスの市場化反対、男女平等や若年層の参画など運動の活性化をはかります。

【アジア・太平洋地域を中心とする国際連帯の取り組み】

5. 2008年10月に設立されたPSIアジア太平洋地域「消防・救急労働者ネットワーク」に参加します。全消協からコーディネーターを選任し積極的に活動を担います。

6. 毎年、韓国で開催される「日韓労働組合交流会」に参加し、問題解決にむけともに活動します。

7. PSIアジア太平洋地域の消防職員との情報や意見交換をはかり、「消防・救急労働者ネットワーク」を拡大します。

8. 全消協は、質の高い消防サービスの優れた事例についてPSIに情報発信し、国際的なネットワークづくり・国際連帯を推進します。

9. PSI「質の高い公共サービス・グローバル・キャンペーン」と連携し消防職場のQPS活動を展開します。

(11) 女性連絡会の取り組み

 全国の女性消防職員は3,952人で、全消防職員の2.5%とまだまだ少数であり、残念ながら女性の進出が遅れている職場だと言わざるをえません。

少数であるが故に女性が声をあげることが難しく、消防当局や全消協執行部に意見が届きにくいという状況であったため、全消協では2007年第31回定期総会において全消協女性連絡会を創設し、女性の意見を積極的に求める体制づくりをスタートさせました。

男性が多数を占める職場で、女性職員が周囲の理解の不十分さや施設面での未整備、職域の壁、セクシュアル・ハラスメントや人間関係の難しさに直面しており、また、結婚・出産・育児など、将来への不安を抱えながら働いている現状があります。

これらの課題は女性職員にのみ該当するのではなく、男女がともに共有するべき課題だと考え、解決していくためには、女性会員も協議会活動に積極的に参加し、対等に発言していくことが不可欠です。女性連絡会では、男女問わず会員から広く意見を募り、継続的に女性職員の勤務状況の把握に努め、協力しつつ、協議会の枠にとらわれずに未組織の女性職員のサポートはもちろん、これから採用される職員のためにも、今まで以上に女性の意見に耳を傾け、それを反映していくことができる組織づくりを進めていき、男女がともに特性を発揮しながら働ける職場づくりをめざします。

【活動強化】

1. 男女がともに協議会活動を担う体制を確立し、男女平等の職場と社会を創造するため、女性連絡会の活動を強めます。

2. 女性同士の情報交換・ネットワーク作りのため、各ブロックの女性連絡会を強化します。また、全消協総会にあわせて、女性連絡会総会を開催し、全国の女性会員の意思統一を図ります。

【掲示板の活用】

3. 全消協HPにある女性連絡会の掲示板を活用し、女性を取り巻く環境の実態把握に努めます。

4. 女性連絡会の活動報告、学習会などの情報を発信します。

5. 会員からの意見・要望について、女性連絡会で検討し、全消協幹事会に対し問題提起を行います。

【職場改善】

6. 仮眠室や浴室、更衣室等の施設や被服等の個人装備及び各ハラスメントについてアンケートを用いた実態調査を行い、問題と課題を共有化し、男女がともに働きやすい職場環境をめざします。

【国際連帯活動の取り組み】

7. PSI-JC女性委員会およびユースネットワークの交流活動に参加します。

8. PSI規約に基づく、あらゆる活動での男女平等参画をめざし、女性の協議会活動への積極的な参画に取り組みます。

(12) ユース世代活動の推進

 全消協ユース部は、次世代への協議会活動の継承を基本とし、リーダー育成等を目的に2011年に設置されました。設置後においては、研究集会や労働講座に対して積極的な参加を推進し、基礎的な事項を中心に学習してきました。また、労働講座においてユース部枠を設け、ユース世代における協議会活動に対する考え方やリーダーとは何かを議論する活動を行うとともにユース世代の協議会活動に対する意識の現状を把握するため、アンケートを実施しました。

設置から2年が経過し、ユース部の認知度が上がるとともに、各種学習会等においても、ユース世代の参加率増加が認められ、次世代のリーダー育成を念頭に置いた活動を行うことがますます重要になっています。

このことから、ユース世代の意識改革をはかることが今後の協議会活動における原動力となっていくことは明確であり、全消協ユース部としては実施したアンケート結果を精査及び活用し、先達の築き上げてきた協議会活動を継承、また発展するようユース世代における活動の強化に取り組みます。

【ユース部活動の推進】

1. 全消協ニュース、ホームページ等を活用し情報発信の強化に取り組みます。

2. ユース世代が積極的に地域活動(ボランティア等)へ参加し全消協の知名度向上に努めます。

3. PSI-JCに設置されているユースネットワークに参加し、東アジア地域における消防組織を中心にPSI加盟諸国のユース世代との連携の強化を図ります。

4. 次世代のリーダー育成を念頭に置いた活動として、ユース世代の各種学習会への参加率向上を目的とし、ユース枠の新設等を検討します。

5. 各種学習会においてユース部主体の講座等を担い、ユース世代の意識向上及び改革に努めます。

6. アンケート結果から出た課題を分析し改善を図ります。

7. 各単協にユース世代の窓口を設け連絡体制を確立します。

8. ユース世代の活動の場を広めるため県消協や各単協にユース部設置を推奨するとともに、ユース世代のさらなる連携強化のため意見交換、交流を推奨します。

9. ユース世代の活動の現状を把握するため実態の調査を継続的に実施します。

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