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2006-2007年度活動方針(補強修正案)

補強・修正について(案)

1. 最新の情勢と今後一年間の取り組みに向けて

 近年、自然災害が世界各地で発生し、多くの人命と財産が失われています。特に開発途上国では、都市化が進む一方で、遅れた基盤整備が災害への脆弱性を高めています。これらの地域において被害は発災直後に留まらず、その後の復旧、復興の遅れから、事態を深刻化させているものが多くなっています。

 また、国内に目を向けると昨年を上回る記録的な風水害が発生し、多くの被害が出ています。特徴的なのは地方における高齢化が被害を増大させる様相を呈しています。さらに各地において地震が頻発しており、防災の一翼を担う消防に寄せられる期待は大きくなっています。

 このような状況下、国民保護法の施行や緊急消防援助隊の法制化、大規模災害時の消防庁長官の指示権の創設に加え、国と地方の役割が具現化され、消防作用の概念にテロ等武力攻撃事態への対応が求められています。また、新たに法による消防の広域化が明確化されるなど消防無線のデジタル化と併せ、消防を取り巻く環境は大きく変貌する時期に来ています。しかし、依然として国家財政は未だに改善せず、特に地方における財政力の低下が消防力の低下を招く状況が見受けられます。さらに公務員への総人件費削減計画による給与制度の見直し等が行われ、私たちの労働条件も大きく変化しました。

 全消協は大きく変化する情勢に消防のあるべき姿を的確に捉え、その社会的使命を果たしていかなければなりません。総務省消防庁は消防の広域化が地域の防災力を高める有効な手段として、その必要性を重視しています。また、「消防力の整備指針」についても相対的な消防力の充実と関係機関の連携強化とし、さらに今回の「市町村の消防の広域化」は消防の将来を見据えた整備として、通信業務の共同化とは別のものとして示しています。いずれにしても「消防力の整備指針」が消防行政の根幹であることに変化をもたらしているわけではなく、この指針を下回ることについての説明責任に言及していない部分が残されており、私たちが求める消防行政との隔たりは埋められていません。

 全消協はこれに対し「消防力の整備指針」を達成させる要求を行い、問題を精査し、地域住民の期待に応えられる、消防のあるべき姿を関係団体に向け、発信していかなければなりません。

 私たち消防職員をはじめ、公務員を取り巻く情勢が大きく変化してきています。日本政府はこれまでのILO勧告を無視し、労働基本権問題を棚上げした中で、査定昇給制度の導入を行いました。この制度を管理運営事項として導入したことで、公務員職場の権利関係が弱体化の恐れがあります。団結権すら認められず無権利状態に置かれている消防職場はさらに厳しい状況に置かれることが予想されます。団結権問題と併せ、これらの問題解決に向け、関係団体とのより強力な連携と運動が必要です。

 全消協は団結権獲得に向け第29回鹿児島定期総会において、この問題が最重要課題であると位置づけ、そのための組織拡大の必要性を確認しました。総会に参加された自治労はじめ関係者からも多くの励ましの言葉を頂き、会員全員が一丸となった取り組みを行うことで総会を締めくくっています。

 しかし、日本政府は未だILO勧告に向けた基本的解決への姿勢を見せていません。ILO第87号条約を批准している世界115カ国の中にあって、消防職員の団結権を否認しているのは今日では日本のみとなっています。

 2004年自治労人見委員長と麻生総務大臣による消防職員の権利問題に関する定期協議の場で確認した「消防職員委員会制度」の検証を行うことについて協議を重ね、2005年5月に「消防職員委員会の組織及び運営の基準」の一部が改正されました。その結果、(1)予算措置を勘案した開催時期(2)審議結果の職員周知(3)意見再提出(4)意見取りまとめ者の創設が盛り込まれました。この制度改正に、全消協は消防職員を代表する者として協議に加わり、多くの問題提起をしてきましたが、消防職員委員会で出された結論に対し、履行責任を担保させるまでには至りませんでした。全消協は「消防職員委員会制度」は団結権否認の代償措置として捉えていません。団結権問題は憲法が保障する「基本的人権」の問題であるとし、自治労・関係者と連携を強めILOの場を通じ、国内法改正に向けた環境整備を図る運動を展開しなければなりません。

 全消協の運動課題は、団結権の獲得とともに「拘束時間=労働時間」の実現です。2003年に示された「大星ビル管理事件」では仮眠時間も労働時間であると判断されました。

 消防職場には休憩時間に関する特例が存在するものの、その実態は双方共通するものであると言えます。全消協は無賃金拘束時間の解消に向けた作業部会を設け、過去2回の対策会議を行っています。この中では、勤務体制の研究まで踏み込んだ議論を行ってきています。また近年の地方財政の状況から時間外勤務に対する賃金未払いといった状況が見受けられ、佐世保市消協においては措置要求と併せ裁判闘争を視野に入れた取り組みを行っています。

 総務省消防庁は、急増する救急出動と消防職場の労働実態から、過重労働とならないための方法などについての通知を行いました。この中には消防職場の勤務体制の工夫例として新たに四日市消防のシフト制勤務が提示されています。全消協はこれからの勤務体制について、勤務する者が、その者の職場実態に応じ、健康に悪影響を及ぼさない範囲において工夫を加えることが必要と考えます。この問題についてあらゆる機会を捉え協議を重ねる必要があります。

 全国各地で消防職員の痛ましい事故が相次いで起こっています。消防職員は宿命として「被災現場が活動の場」であり、桑名市のRDF爆発現場では、私たち全消協の仲間である2名が命を落としています。また、別府市・神戸市の火災現場における死亡事故に続き、名古屋市でも住宅火災の消火活動において犠牲者が出ました。惨事ストレスを含めたメンタルな部分も無視できません。職場の安全衛生に関わる事故等に関し、有効な手段を講じることが喫緊の課題です。全消協は事故の検証を行い、災害現場での活動について、有効な安全対策を研究しなければなりません。

 公務職場において雇用と年金の連携のため、2001年にスタートした「高齢者再任用制度」は2007年から消防職場でも本格運用がされようとしています。しかし、消防職場において職域確保の困難性が予想されます。実効ある試行から、受け入れ体制の整備を図るとともに、自治労、関係団体との連携で適正な制度運用の確立を求めていかなければなりません。

 全消協は1977年結成以来、今日までの29年間「明るく魅力ある職場作りと、消防職員自らの権利と生活向上、住民のための消防行政を確立する」という目的に向け取り組んできました。結成時36組織2,500人から、現在182組織12,200人へと成長してきました。今日の社会情勢は安心・安全への関心が高まっており、消防に対する住民の期待は強いものがあります。公共緊急サービスに携わる私たち消防職員は、社会的対話を実践し、行政があるべき姿を求める研究が必要と考えます。全消協は今日までの運動で蓄積された施策と組織力で、さらに社会的存在感を高める運動を展開していかなければなりません。

2.基調

平和で安全・安心な社会をつくるために

2004年末、インドネシア・スマトラ沖で起こった大地震はインド洋全域に大津波を発生させ、周辺諸国に甚大な被害をもたらしました。今日の情報メディアで、災害発生の瞬間から悲惨な状況や深刻な事態が日本においても、その映像がリアルタイムで映し出され、自然の脅威と凄まじい破壊力が我々の目を釘付けにしました。
また、国内に目を向けると多くの台風が発生し、新潟・福島豪雨、及び福井豪雨といった水害が頻発し、各地に大規模な家屋の浸水や堤防決壊などによる被害が発生するなど、今後の自然災害の増加が憂慮されます。さらに、度重なる台風の上陸で地盤が緩んだところに発生した震度7の新潟県・中越地震は、その被害はもとより、その後の余震で災害復旧等をより困難なものにしています。それ以外にも日本各地において地震が頻発しており、まさに地震活動期に入ったとされています。さらに、JR西日本列車事故などの予期せぬ大規模災害なども発生しており、海外には国際緊急援助隊、国内では昨年、法制化された緊急消防援助隊がそれぞれの被災・災害現場に赴き、最先端で活躍しています。
このような状況下において、国民保護法の施行や緊急消防援助隊の法制化、大規模災害時の消防長長官の指示権の創設など、国と地方公共団体の役割が具体化され、これまでの消防作用の概念にテロ等武力攻撃事態への対応も加わりました。また、年々増加する救急需要対策、住宅防火への法整備など、消防を取り巻く社会情勢は大きく変化しています。
一方では、逼迫した財政状況のもと、国の三位一体改革で国と地方の財政は変革期にあり、併せて国指導の市町村合併と消防組織の再編と広域化がすすめられ、さらに、「消防力の基準」が「消防力の整備指針」に改められ、そのいずれも消防力の低下を招く危険性があります。
私たち全消協は、大きく変化する情勢に消防のあるべき姿を的確に捉え、消防に求められる社会的使命を果たしていかなければなりません。全消協は消防の広域再編が地域の防災力を高める有効的手段として、市町村合併を推進するスタンスでいますが、消防体制の根幹に関わる「消防力の整備指針」については、総務省消防庁側が示す、「総体的な方向を消防力の充実と関係機関との連携強化」としながら一方で、「市町村に対し整備目標に止め、地域の実情に即する」、と表現していること。さらに、市町村が果たすべき消防責任について、目標に達していない市町村について指針を下回ることの説明責任にまで言及していない部分など、私たちが求める消防行政と大きな隔たりがあります。
全消協はこのことに対し、この「消防力の整備指針」を目的達成させることに無理があり、住民サービスの低下を招くなど具体的な課題点があるのではないかと問題点の指摘を行ってきました。緊急消防援助隊の効果的運用、消防職員に求める能力の明示、兼務体制の概念の導入におけるあり方を含め、問題を精査し、地域住民の期待に応えられる、消防のあるべき姿を関係団体に向け発信していかなければなりません。
私たち消防職員をはじめ、公務員を取り巻く情勢が大きく変化しようとしています。日本政府はこれまでのILO勧告を再三無視し、労働基本権問題を棚上げにしたなかで、人事評価制度の導入を打ち出しました。人事評価制度を管理運営事項とされると、公務員職場で働く者の権利そのものの弱体化が危惧されます。まして消防職場において、人事評価制度の導入は労働基本権の保障なくしてあり得ないとする声が出ています。そういった意味では、消防職員の団結権問題は喫緊の課題であると考えます。これらの問題について、関係議員はもとより自治労関係者とのより強力な連携で取り組むべき課題と位置付けた活動を展開しなければなりません。
私たち全消協は、団結権の必要性の共有化と、さらに取り組みを強化するため、2005年5月12日「団結権確立を求める中央集会」を開催しました。集会は全消協第34回全国消防職員研究集会の第2日目・分科会終了後に行われ、冒頭、米田会長は、「労働基本権問題が国内的にどう変化しようが、団結権をわれわれが求め続けることが大切である」と主張し、来賓として出席した高嶋参議院議員・自治労植本書記長からは、それぞれに連帯の挨拶と激励を受け、山崎事務局長が今回の消防職員委員会制度の告示改正内容を活用した組織強化・拡大や、地域住民との社会的対話をもとにした国内世論の醸成への取り組みなどの提起を行い、単協代表者として春日大野城市消防協・村上春樹氏、川崎市消防協・谷内栄治氏が、非民主的な職場運営の実態から団結権の確立が喫緊の課題であるとした決意表明をしました。結びに、迫副会長が感動的な「消防職員の団結権確立を求める特別決議」を行い、さらなる全消協一丸となった熱い活動の展開が決意されました。
日本政府は消防職員の団結権問題について、ILO勧告で再三の指摘を受けたにもかかわらず、法改正を含めた基本的解決の姿勢を見せていません。ILO87号条約を批准している115カ国のなかで団結権を認めていない国は唯一日本だけです。2004年10月に行われた、麻生総務大臣と自治労人見実行委員長との定期協議の場で、麻生総務大臣は、「労働基本権に関する国民的コンセンサスが変化しているとは認識していない」とし、依然として解決に向けた姿勢を示していません。一方で、消防職員委員会制度の実務者レベルの検証を行うことを表明し、制度改善のための消防職員委員会懇談会が設けられました。1996年に団結権への過渡的制度として導入された「消防職員委員会制度」は、本年で10年を迎えようとしています。政府はこれまで、ILO勧告に象徴される国際世論を避けるために、消防職員委員会の開催実績をあげる行動を起こしています。 
全消協は2004年12月、総務大臣との定期協議の結論として設けられた消防職員委員会懇談会(以下懇談会)に臨むため自治労と協議し、団結権問題は労働者の基本的人権の問題であり、引き続き求めていくことを確認しました。今回の会懇談会については、消防職場の改善に唯一法的に保障された協議機関であることから、職場改善の手段として、制度の見直しに対応してきました。そのため、消防職員委員会が消防職場改善にどのように運営されているか知ることが必要であり、そのため未組織消防職場を含めた大規模な実態調査を行い、その結果から改善事例は加盟単協でも予算措置を伴うものはわずかで、委員会で「実施が適当」とされた事項に対し、履行責任が伴わないなどの制度の欠点が露呈してきました。
懇談会は実務者レベルで5回行われ、全消協も消防職員を代表する者として協議に加わり、結果として2005年総務省消防庁からの告示の改正に至っています。
今後、職場改善に向けた消防職員委員会の活用とともに、引き続き団結権獲得に向けて、自治労・関係者との連携を強めILOの場を通じて、国内法改正に向けた環境整備をはかるなど運動を展開しなければなりません。
全消協の運動課題は、団結権獲得とともに「拘束時間=労働時間」を運動の優先課題と位置づけ、様々な取り組みを行ってきています。2003年に示された大星ビル管理事件では、「仮眠時間も労働時間である」と判断されています。消防職場における休憩時間は特例が存在するものの、その実態は双方共通するものであると言えます。全消協は無賃金拘束時間解消に向けた作業部会を設け、第1回として自治労高知県本部において対策会議を開催しました。会議では消防職場の24時間勤務制そのものの諸課題を検討し、24時間勤務体制ではない消防職場の勤務実態と不合理な時間管理に置かれている状況を確認し、今後の方向性を模索しました。
総務省消防庁は2003年11月、曖昧な勤務時間運用が多く見られる実態から全国の消防本部に向けて「消防職員の勤務時間等の適正な運用と管理について」の通知を行いました。これにより、消防職場の勤務時間に関する見解が明確に示されました。しかし、全国の消防職場では消防当局による恣意的な運用が行われる実態があり、全消協は加盟単協に向け適正な運用を行うよう取り組んできましたが、未だ消防当局の不誠実な対応の見られるところが存在しています。消防職場の時間管理、特に休憩時間のあり方について2004・2005年度の研究集会で議論展開してきているところです。
消防職員は被災災害現場が活動の場であり、全国各地で消防職員の重大事故が多発しています。2002年の大阪市鉄道事故現場、別府市・神戸市における火災現場での死亡事故、さらに、桑名市でのRDF爆発事故現場で殉職した2人は全消協会員であり、まさに衝撃的な事故でした。また、事故以外にも近年のストレス社会を背景とした、メンタルな部分も無視できません。職場の安全衛生に関わる事件・事故に対し有効な手段を講じなければなりません。
雇用と年金の連携のため、2001年に発足した高齢者再任用制度は、消防職場では2007年から本格的に運用が開始されますが、消防職場のみでの運用は職域確保における困難性が予想されます。実効ある試行から受入れ体制を模索しなければなりません。引き続き自治労・関係団体との連携を強化し、適正な制度を確立する運動の展開が必要です。
全消協は1977年結成以来、今日までの28年間「明るく魅力ある消防職場づくりと消防職員自らの権利と生活向上、住民のための消防行政を確立する」という目的に向け取り組んできました。結成時、36組織2,500人から現在182組織12,200人へと成長してきました。今日の社会情勢は、安心・安全への関心が高まっており、消防に対する住民の期待は強いものがあります。公共緊急サービスに携わる私たち消防職員は、社会的対話を実践し行政があるべき姿を求める研究が必要であると考えます。全消協は今日までの運動で蓄積された施策と組織力で、さらに社会的存在感を高める運動を展開していかなければなりません。そのため、次の課題に向け運動強化をすすめていきます。

  第1  団結権獲得に向け主体的運動を強め、連合・自治労・関係団体との連携強化を進めます
  第2  消防職員委員会制度の実効ある活用をもって、組織拡大を進めます。
  第3  未組織職消防職場の自主組織づくりを支援し、3万人体制の早期実現をめざします。
  第4  会員間の交流、参画を通じ、魅力ある全消協づくりと組織強化を進めます。
  第5  労働条件、労働安全衛生、及び職場環境の改善をめざした取り組みを進めます。
  第6  地域住民と連携し、消防職員の提言による消防行政の改善を進めます。

3.消防職員をとりまく情勢と活動の基本的方向

(1) 1961年に制定された「消防力の基準」は、最小限度の必要な基準として整備され10年経過した1971年に消防需要を考慮して最初の一部改正が行われました。
 この時点では市町村における常備消防化はまだ過渡期であり、小規模自治体において一部事務組合による常備化が進められましたが、全国的にもこの基準に合致する消防職場はありませんでした。
 1975年の一部改正においては、救急業務、および救助業務について規定し、予防業務の重要性を鑑み予防業務担当者を単独で算定し、事務強化をはかりました。また、1976年には石油コンビナート所在市町村に3点セットである大型化学消防車などの配置基準が追加されました。
 この時期、単独自治体の消防本部は消防力の整備が進められましたが、依然として一部事務組合消防は職場組織の確立さえできていない状況にあり、人員・装備ともに不十分でした。
 その後、10年の経過を経て1986年の一部改正となりますが、消防力の基準を達成する消防本部はなく、自治体の消防力整備への限界が露呈されました。1986年、および1990年の一部改正においては、救助隊や化学消防車の算定基準などの付加措置を行いました。1975年以降消防の常備化が進展するなか、全国で90%以上の地域を網羅できたことは評価に値しますが、市町村消防における「消防力の基準」の充足率は70%程度に過ぎず、未だ住民にとって消防力の普及は完全ではなかったのです。
 総務省消防庁は、主体性を持った消防力の整備を推し進める環境になく、結果としてこの基準の矛盾と本質を無視して、全国の消防本部のずさんな現状を地方分権・市町村合併を機に消防職場の広域化を推進し、その合理化と併せて「消防力の整備指針」として問題解決を図ろうとしています。
これは住民にとって消防行政のサービス低下につながると同時に、消防職員に過酷な労務負担を強いることとなり、全消協は各単協に活動の強化を示していかなければなりません。
 見直しの方針のなかで、救急行政は国際世論の非難を受け、その高度化にむけて新ガイドラインに則って、教育研修を受けた救急隊の専任化などを政策形成してきたものですが、今回「兼務」という制度転換を加え、単位消防における無知無策な消防当局の責任を肯定させ、無理に現状と合致させようとしています。
 総務省消防庁は、さきの勤務時間の実態についても予想外の法令違反消防本部が存在するなど、その実態は自らの調査そのものが実効性のないものとして認知する必要があり、今回の「消防力の基準」に関する地方公共団体意向調査(2003年10・11月)も消防当局の一方的な見解であり、調査システムのあり方を検討し、実態に則したデータ把握に努めるべきことと思われます。
 また指揮隊の創設・救急2名対応・予防技術主任者などの制度は、その顕著な現れであり、現場の声を無視しているといっても過言ではありません。
 「消防力の基準」から「消防力の整備指針」と名を変え、ただ単に人員・装備の「最低基準」から「整備目標」としていますが、現場実態の状況把握なしに運用されるべきものではありません。 
 半世紀を経過した現在の消防行政の質・量、および費用対効果を精査しつつ、大規模小規模にかかわらず単位消防としてのあり方を検討すべきであり、また、どのような目的意思を持って災害対応を行なうか、国は通常業務と非通常業務を論理的に説明し、国の責務として明確な意思と判断をもって、消防力を規定すべきと考えます。
 いま、国民保護法の制定を受けて、消防の任務がどう変化していくのか定かではありません。災害現場にいち早く初動体制を取るのは消防であり、警察(県)、および自衛隊(国)よりも住民にとって身近な存在であることを、改めて認識する必要があります。
 全消協は、全国の消防職場をモニタリングして組織機構の検討を行い、公共緊急サービスの担い手として規模に応じた具体的な職場制度の策定にむけて取り組み、消防職員自らの提言として発信していく必要があります。
 また地方財政の悪化にともない、この「消防力の整備指針」において自治体消防がどのような方向性を堅持していくのか、その点について国は弾力的な運用の文言が多く用いられています。しかしながら全消協は、自治体消防の基本理念に則して、消防作用における国家責任の所在を明確にしながら、消防体制の研究を行ないつつ住民の期待に応えうる活動を推進していかなければなりません。

(2) 消防組織法の改正により、すべての消防本部に「消防職員委員会制度」が導入・設置され、10年が経過しようとしています。この消防職員委員会は、消防職員が意見を提出し、職員の代表者が協議を行い消防長に意見を述べ、消防職員間の意思疎通をはかるとともに、消防事務の運用に職員の意見を反映しやすくすることにより、職員の士気を高め、もって消防事務の円滑な運営に資することを目的としています。
 私たち全消協は、職員委員会の運営に関与することにより、委員会制度を向上させ、職場を活性化させることに繋がる重要な制度であると位置づけ、積極的に取り組むとともに、この職員委員会を媒介にした未組織消防との交流が全消協の組織拡大に結びつくものとして、オルグ活動を展開してきました。
 しかし、この制度を理解しない消防当局の恣意的な運用や制度的な限界が露呈し、形骸化している職員委員会が多く存在し、現行の勤務条件等を向上させるためには制度改正を望む声が実態調査によりあがっていました。
 一方、総務省消防庁はこれまで「消防職員委員会の運営に関する留意事項について」の通知をするなどして、職員委員会を開催することや円滑な運用を各消防本部に求めていました。結果、2003年度には職員委員会の開催が100%であったことを含め円滑に機能していることを発表しましたが、明らかに私たちの実態調査とは異なる内容のものが明記されていました。
 こういった状況のもと、2004年10月自治労人見委員長と麻生総務大臣の定期協議の場において、実務者レベルの検討会=消防職員委員会懇談会が設置され、自治労(山口労働局長・松永組織局長が代表委員を構成)と、総務省消防庁・公務員課の間で、検証作業を進めることとなりました。これを受け、自治労と全消協はプロジェクトを組み、事前協議、および全国の消防本部を対象とした調査を行い実態を把握し、問題点を抽出し対応してきました。そして、5回にわたる懇談会のなかで論議を重ね、論点の整理を行いました。とりわけ、第3回懇談会の場に消防労働者の代表として全消協、および川崎市消防職員協議会が公式にヒアリングを受けたことは、これまで活動を続けてきたなかで、画期的なことでした。
 そして、2005年5月9日「消防職員委員会の組織および運営の基準の一部改正等について」が通知されました。今回の告示改正では、その趣旨として、予算編成作業を勘案したものや職員委員会の公正性・透明性をより向上させるもの、同一意見を再度審議する道を開くなど、私たちにとって一定の意義ある成果を勝ち取りました。とりわけ「意見とりまとめ者」の創設には注目する必要があり、いわば、職員側の事務局であり、職員委員会をチェックする職務として、消防協(自主組織)の積極的な関与が必要不可欠です。
 私たち全消協は、「意見取りまとめ者」、および改正された「消防職員委員会制度」を有効活用し、私たち消防職員の勤務条件の向上や安全で快適な職場環境づくりに取り組むとともに、実効性ある職員委員会の形成につとめ、その成果をもとに、未組織職場との交流を深め組織拡大につなげ、早期に3万人体制を確立し、発言力を高めていかなければなりません。この改正された職員委員会制度がより有効に活用されているか、注視する必要があると考えます。
 また、地域住民と社会的な対話を行い、地域住民の声を意見として取り入れ、消防行政に反映させ、よりよい消防サービスを確立していくことも大切です。こういった活動を地域住民にアピールし、理解を得ることが団結権の確立につながるものと考えます。

(3) 2003年6月に「安全保障会議設置法」「自衛隊法」の改正とともに、「武力攻撃事態法」の三法が成立し、2004年6月「国民保護」法制を含む有事7法案、3協定・条約が成立し、「国民保護法」が具現化されました。国は本法に基づき国民の保護に関する基本指針を策定し、2005年度内に指定行政機関、および都道府県に国民保護計画を策定させ、指定公共機関に国民保護業務計画の作成を推進しています。
 国民保護法の基本的な構成は、①総則、②住民の避難に関する措置、③避難住民などの救援に関する措置、④武力攻撃災害への対処に関する措置、⑤国民生活の安定に関する措置、⑥その他となっています。このなかで、市町村消防における事務は避難住民の誘導を行うとされていますが、武力攻撃事態の内容は、①着上陸侵攻、②航空機における攻撃、③弾道ミサイル攻撃、④ゲリラ・コマンドなどの想定で、避難誘導を警察・消防団・自治体職員と連携するとされており、消防職員の安全確保をはじめとして、諸課題の解明が必要です。
 2005年3月31日総務省消防庁は、都道府県における国民の保護に関する計画の作成を支援するため「都道府県国民保護モデル計画について」を通知しました。これに基づき、都道府県は2005年度中、市町村は2006年度中を目途に国民保護計画の作成をするようになっています。県消協・単協は、各都道府県と協議のテーブルに着く必要があると考えます。全消協は、2005年3月29日に「消防行政の改善に関する要請書」を消防庁長官に提出し、国民保護計画の策定について次の三点を要請しました。
①モデル計画の策定にあたっては、消防職員の安全確保を明記されたい。
②体制整備・強化にむけて人員・予算を十分確保されたい。
③都道府県段階の計画策定にあたっては、消防職員の意見が反映されるよう配慮されたい。
こうした観点を基本におき、今後の取り組みを進めます。

(4) 全消協は、1977年8月、長崎市の出島会館において結成され、全国の消防職員の生活と権利の向上、自主組織運動の相互交流、明るい魅力ある職場づくり、消防行政の改善、団結権の獲得をめざしています。また、すべての消防職員が、自立した活動ができるための支援や連帯の輪を拡げるための運動を行っている組織です。
 結成当初は36組織2,500人にすぎませんでしたが、「職場で様々な問題を抱えている全国の消防職場の仲間に、私たちとともに行動を起こしてほしい」と考えこれまで運動してきた結果、現在では182組織12,200人を超える組織になっています。
 とくに、結成当初からの課題である団結権の獲得のために、ともに行動する仲間を一人でも多く結集し、当面の目標である3万人体制を早期に実現し、問題解決への国内世論形成の原動力につなげるため、組織拡大にむけた取り組みを積極的に展開しています。
 その一つとして、団結権問題解決への第一歩として位置づけてきた消防職員委員会制度を機能・定着させるため、未組織職場に自主組織(消防職員協議会)結成が必要と訴えてきました。
 しかし、2002年1~2月、および2004年11月~2005年1月の全消協と自治労合同で全消防本部を対象に実施した消防職員委員会の運営に関する実態調査では、未組織の消防職場で消防職員委員会の機能が十分果たしていないこと、また全国の消防職員協議会の存在を知らない消防職員が多数存在することが改めて認識されました。
 また、2004年10月総務大臣と自治労委員長の会談を受け、総務省と自治労の間で消防職員委員会懇談会が設置されました。5回開催された懇談会のなかで、自治労側は全消協四役・川崎市消協、総務省側は京都市消防局・横浜市消防局を招聘しました。全消協はこの懇談会にあわせ消防職員委員会の実態調査を実施し、消防職員委員会懇談会であらためて消防職員委員会が開催されていない実態と機能が十分果たされていないことを報告しました。
 総務省は消防職員委員会制度の問題点を整理し、制度上の改善を目的とした「消防職員委員会制度の検証結果を踏まえた措置ついて」告示改正案を示しました。自治労は改正案について消防職員の適正な勤務条件の確保などをはかるための措置として有効かつ有意義なものと評価し、さらに改正案の実施により消防職員の団結権問題にかかる立場、現状と団結権付与の距離、総務大臣と自治労委員長との定期協議による論議の継続の変更のないことを確認しています。
 全消協活動を紹介する一環として全国の消防職員に、「組織拡大リーフレット」と「消防職場改善事例集」を作成するとともに、自治労と連携して学習会の開催や公務員制度改革1000万人署名活動など幅広い取り組みを行ってきました。
 その結果、宮崎県では県内すべての消防本部に協議会が結成され、これからの組織拡大に対し大きな目標となっています。また、毎年開催している組織強化拡大対策委員会では、各地域の取り組みを踏まえた組織拡大のための有効な手段について議論・総括し、地域に合致したきめ細かな運動の展開がはかられています。
 2002年8月、第26回定期総会では、これまでの組織強化拡大対策委員会などの議論を踏まえ、組織強化拡大5ヵ年計画を決定しました。また、2003年1月の組織強化拡大対策委員会では、組織強化拡大5ヵ年計画に関する具体的推進体制を確立し、組織全体で組織強化拡大に取り組むことを確認しました。
 組織強化拡大には、全消協組織全体の取り組みとあわせて自治労の協力が不可欠です。全消協幹事会は、自治労主催の「消防セミナー」、「消防対策県本部・重点単組担当者会議」に参加し、未組織消防職場での消防職員委員会制度の詳細な点検など組織拡大への協力を要請してきました。また、協力要請とあわせて、自治労各県本部との連携のもと、定期的に組織強化拡大対策委員会を開催し、各県の実情に応じて組織強化拡大アクションプログラムなど具体的行動計画を作成するとともに、その計画に基づいて、未組織職場に対して全消協結集を働きかけることが必要です。
 さらに、急速に進む進んだ市町村合併に対しては、直面する単協の賃金労働条件などの実態調査を通じて現状を把握するとともに、自治労各県本部市町村合併対策委員会への働きかけを通じて、自治体当局への意見反映を行うことが必要ですあると訴えてきました。消防組織法改正に伴い今後急速に進む広域化に対しても、市町村合併と同様自治体当局への意見反映を行うことが必要です。このように市町村合併や広域化を契機として、未組織職場に対して自主組織結成の利点を最大限アピールし、組織拡大を強力に推し進める必要があります。
 未組織消防本部の職員に対しては、自治労との連携のもと全消協に参画している会員自らが力と知恵を結集し、消防職員が主体的に行動できる自主組織を結成することの重要性について呼びかけることが、働きがいのある職場づくりにつながるものと考えます。

(5) 組織の強化は、組織拡大とともに消防協運動の大きな柱です。組織が拡大しても全消協自身に力強い運動を進めていく体制がなければ、消防協運動への魅力が失われることになります。
 今後さらに全消協が発展し、永年の課題である団結権の獲得をめざして活動を行っていくためには、組織拡大とともに、単協自身が社会情勢を十分に認識しながら、住民に密着し、信頼される組織に変わっていくことが重要となっています。団結権獲得後の全消協の活動も視野に入れながら、活動しなければなりません。
 一方で、団塊の世代の大量退職による会員の減少や新入職員をはじめとする未加入問題などが危惧されます。各単協の運動の後継者育成については、喫緊の課題であるとの認識を持つ必要があります。
 全消協は、会員の力と知恵を結集することによって、活力を得られる組織です。組織を強化するには、人的資源を生かして地域社会に共感を得られる運動を単協内外に積極的に発信するなど会員にとって魅力ある運動を展開し、会員の参加意欲を高めることが不可欠です。また、社会の急激な変化を鋭敏に察知し、運動が継承・発展されるよう組織の改革と充実をはかるなど、環境整備に努める必要があります。

(6) 労働時間や賃金に関する問題は労働者にとって、最も基本的なものです。消防はその業務の性格上、24時間フルタイムでサービスを提供することが社会的にも要請されていることから、全国ほとんどの職場で一昼夜交替勤務制が採用されています。この勤務制は、消防職員の団結権が否認され続けるなか、労働基準法の重要な部分である休憩時間の基本原則が適用除外されていること、休憩時間に上限設定がないということといった条件のもとで成り立っています。
 私たちは、消防職場における無賃金拘束時間の解消の実現にむけて、時短の推進、諸休暇・休業制度などの諸権利行使が実質保障される職場環境を確立することが必要です。
 全消協は毎年加盟単協に実施している労働条件基本調査等の取り組みを通じて、1.長時間の無賃金拘束が存在する勤務制、2.変形労働時間制の期間を無視した勤務サイクル、3.制度を無視した振替制の濫用などの職場実態について明らかにしてきました。そして、その結果をもとに、無賃金拘束時間の解消にむけて、隔日勤務制からの脱却や深夜を含む労働の総量規制の新設を求めることなどの、各職場に合った運動の方向性についての提起を行ってきました。
 2002年2月28日の「大星ビル管理事件」最高裁判決では、「何事もなければ眠っていることができる時間帯といっても、労働からの解放が保障された休憩時間であるということは到底できず、本件仮眠時間は実作業のない時間も含め、全体として指揮命令下にある労働時間というべきである。」との判断が示されました。
 2000年「三菱重工業長崎造船所事件」最高裁判決、2001年「関西警備保障事件」大阪地裁などでも同様の趣旨の判決がされています。
 2002年3月、全消協は代表をILOの派遣とあわせて、ヨーロッパ(フランス・イギリス・ドイツ)消防行政実態調査を実施しました。調査の結果、イギリス・ドイツの消防職員の労働時間についても同様に取り扱われていることが明らかになりました。
 全消協は2003年1月に開催された公共緊急サービスに関する合同会議に参加しました。会議で採択された≪公共緊急サービスを取り巻く環境が変化するなかでの社会的対話に関するガイドライン≫には、「勤務中の公共緊急サービス労働者の休息時間(待機する時間という訳もある)は労働時間として勘定されるべきである。」と示されています。しかしながら、総務省消防庁は2003年4月1日の参議院総務委員会において「消防職場においては、指令係員を配置し休憩時間の出動に備える一方、労働基準法第33条3項で定めるように民間企業とは実態が異なる」との見解に終始し、現行の休憩時間の長さを含む法規制を改正する動きは見せていません。
 法改正を待つのではなく、無賃金拘束時間の労働時間性が高いということを実証したうえで拘束時間が労働時間であるという主張を行い、1.隔日勤務制からの脱却や地域に応じた別の交替勤務制等への移行、2.長時間拘束勤務に対する特殊勤務手当等の支給、3.仮眠休憩時における出動実態調査の実施による勤務状況の分析などを通じた多様な取り組みによって、労働時間の短縮・諸手当支給を実現する必要があります。また、政府・自治体当局・人事委員会・公平委員会などへの対策、国会、司法対策をはかるなどあらゆる取り組みを講じる必要があります。
 2005年6月7日「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(案)が出されました、同年11月14日に経済財政諮問会議において、公務員の総人件費削減が「総人件費改革基本指針」として、その取り組みが協力に進められることになりました。公務員の総人件費削減については、国・地方ともに明確な目標を掲げるとし、地方公務員の給与等については、その適正化を強力に推進するとともに、地域の民間給与の状況をより的確に反映し決定できるよう人事委員会機能の強化をするとされました。
 さらに、各種手当て見直しの一環として特殊勤務手当ての廃止及び引下げが行われていますが、これは今日の多種多様な消防・救急現場の特殊性を無視した削減であり、受け入れられるものではありません。

また、「市場化テスト」の本格導入による官業の徹底的な民間開放、さらに地方分権のモデル的な取り組みとして「道州制特区」が推進されました。
消防行政は、住民の安心・安全に深く関係していることから安易な地方財政の悪化を根拠に消防職員の人員削減または予算の削減を行うことは住民サービスの低下を招かないのか検証する必要があります。
私たち公務員は労働基本権の制約のもと代償措置として人事院制度が設けられています。そのなかで現在、地域調整給や評価制度が検討され私たち地方公務員にも適用されようとしています。また、その一方では三位一体の改革に伴い税源移譲を行い地方公共団体の独自性を重視するとした制度改革も進められています。
このような行政改革のなか、給与制度等において、地方分権の流れに沿って地域の独自性を拡大する考え方と、給与原則に則った適正な給与制度、運用の担保とをどうバランスさせるか、また、財政的自立との関係をどう考えるか検証します。
2003年11月11日「消防職員の勤務時間等の適正な運用と管理について」が消防庁消防課長から通知されました。この通知は、私たち消防職場に多大な影響を与え、現在もこの通知のもと運用されている職場が存在します。そのなかでも休憩時間の繰上げ繰り下げは、私たち消防職場の1ヶ月変形労働時間制において、労働基準法の趣旨に馴染むものではなく、改善をしていく必要があります。

 2006年3月31日の旧合併特例法の特例措置期限切れにより、全国の自治体は、1999年の3,232自治体から1,821自治体となりました。合併後の賃金・労働条件等の課題を積み残したままの単協も多く、関係自治労単組と緊密に連携しながら問題解決に向け引き続き取り組みます。
2010年前後には一部事務組合発足当時の採用者が定年退職の時期を迎えるなど、退職者が一時的に増大することへの対応のため、職員の計画的前倒し採用が各地の職場で取り組まれ始めています。他方、女性職員の採用については、消防白書・消防現勢調査などによると、2004年4月1日現在、全国の消防職員153,978人中、女性職員は1,918人(1.25%)に過ぎません。
組合消防においては、構成自治体の違いによる職員の身分の違いや賃金格差も存在しています。消防職員の賃金について、消防業務の特殊性を考慮した基本賃金のあり方、中途採用者の前歴換算・年齢別最低保障制度などを含め、昇給・昇格について研究を進めていく必要があります。一部事務組合職員の身分保障の取り扱いについては、2003年3月25日の参議院総務委員会で「合併特例法第9条第1項の趣旨を踏まえて対応することが望ましい。」との政府答弁を活用し、関係自治労単組と連携のうえ不利益を被ることのないよう取り組みを進める必要があります。

(7) 本格的な高齢化社会の到来に対応し、職員が長年培った知識・経験を社会において有効活用していくとともに、公的年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、60歳代前半の生活を雇用と年金の連携により支えていくことが官民共通の課題となっています。
 このため、国においては、高齢職員の雇用を促進するため、60歳代前半に公務内で働く意欲と能力のある者を再任用することが出来ることとし、国家公務員法、および地方公務員法等の改正が行われました。
 しかしながら、再任用された職員は条例で定められている定数に数えられるため、新規採用の抑制や職員の年齢構成に歪みが生じるなど、今後の組織や人事のあり方に影響を及ぼすものであり、また、現在の厳しい経済、雇用環境のなかでは住民の理解が得にくい状況にもあり十分な準備が必要となります。
 さらに、少子・高齢化社会と同時に長引く不況により、若年層の雇用悪化が進み年金制度自体が破綻するという事態が訪れようとしています。2004年6月、年金制度改革法案が与党の強行採決により可決されましたが、内容は決して納得の行くものではありません。
 消防職場では、年金の支給年齢の引き上げが6年遅く(司令長以上は一般行政職と同じ扱い)なるものの、2007年度からの制度施行を前に受け入れ体制を確立していかなければなりません。しかし、消防における組織や職域、業務などの実態から再任用制度導入に対して多くの問題を抱えています。また、一方で総務省消防庁の考えている消防職員の65歳定年延長について注視していく必要があります。
 全消協では、消防職場において65歳まで第一線の災害現場で活動することが可能か(フルタイム、パートタイムを含め)、高齢職員が長年培ってきた知識・経験を生かせる職種にはどのようなものがあるか、また、一般行政職との人事交流等を通して他の職種への配置転換は可能か、などの課題について検討を重ね、2002年の制度施行と同時に、消防職場における受け入れ体制を確立するための運動を展開してきました。
 各地において、関係団体・部門との間で交流し、再任用についての準備や消防職員委員会などを通じてプロジェクトをつくるなどの取り組みを行い、制度を円滑に運営できるよう活動をしているところもあります。
全消協の2005年度労働条件等調査結果では、高齢者再任用制度を円滑に活用するとうたいながらまだ手つかずとなっている組織があり、これは2006年度の調査でも進展は見受けられず、消防職員の職場への制度施行を前に早急に取り組みを進めていく必要があります。

(8) 消防職員の公務中における死者や負傷者の発生する割合は、その職務の特殊性からか、他の行政職員と比較しても高い水準となっています。
 本来ならば、十分な安全管理のもとで行われるべきである訓練時において、災害時の負傷者数を上回る現象がここ数年続いており、また、長期的な不況のあおりを受けて地方財政の縮小や業務の多様化により人員増が望めない結果、災害現場活動で多くの仲間の命が危険にさらされています。

 全消協の2005年度労働条件等調査結果によると、安全と衛生に関する条例・規則はあるものの、十分に機能していない職場が多数存在しており、また、深夜業務従事者の定期健康診断についても、本来ならば6ヶ月ごとに実施されるべき健康診断が年1回のみの実施という状況が未だ多数見受けられます。私たちの「命と健康」を守るためには、執務環境や生活環境のみならず、訓練内容や業務内容、さらには現場活動の実態を再点検し、安全・健康対策の具体的な改善と、理想的な職場環境の実現を求めていく必要があります。
 そのためには、安全衛生委員会をフルに活用した運動に取り組み必要があり、また、委員会の設置がなされていない職場においては、安全衛生推進者を中心とする安全衛生対策委員会を設置するなどして、積極的な取り組みが求められます。
 一方、近年の社会構造の変革は、当然のことながら消防業務の活動内容にも、さまざまな影響を与えています。最近の傾向として、犯罪の低年齢化や過去に類を見ない凶悪な事件なども多数発生しており、人々の心にストレスを与えています。また、消防職員も多くの悲惨な現場を経験し、職場の人間関係などによりストレスを溜め込み、PTSD(心的外傷後ストレス)・CIS(非常事態ストレス)といった「心の傷」や、うつ病などの「心の風邪」により、心筋梗塞などの循環器系の疾患、脳内出血などの脳血管障害のほか、神経性の病気に罹患する職員も多数存在しており、そのため、長期休職者や最悪の結末である自殺を誘発させる要因となっています。
 この問題に対しては、労働安全衛生活動のなかでも、環境整備だけではなく、PTSD対策などメンタルヘルス対策の充実が強く求められます。全消協は、現状分析と今後の対応策をはかるため、協議会会員を対象とした「消防職員のメンタルヘルスに関するアンケート」を実施し、その調査結果を2005年発表しました。その結果、当初、PTSDやCISは消防・救急・救助業務など災害現場で受けるストレスが大きいと考えられていましたが、通信業務いわゆる指令課員のストレスが大きいことが判明しました。相手(住民)が見えないなか、声だけで災害対応を行わなければなりません。さらには救急の高度化に伴い応急手当やCPRなどの口頭指導、関係機関との調整などがストレスの要因にあると考えられます。また、その他の結果として、自覚症状で「判断力、思考力が低下している」、「普段よりイライラしている」、「夜よく眠れない」、「理由もなく疲れる」という項目がどの業務も共通して高く、PTSDやCISといった職業的ストレスも大きな要因であるが、日常業務のなかで受けるストレスも見逃すことができません。今後、全消協としてストレス対策のさらなる研究と普及啓発活動に取り組むとともに、当局に対しては、使用者責任として取り組み強化を求めていくこととします。
 現在、女性消防職員の採用比率は増加傾向にありますが、職員全体に対する構成比率はやっと1%を超えた程度です。そうしたなか、執務環境については、これまでのように男性を中心とした環境整備だけでは不十分であり、整備が遅れていることを理由に女性消防職員の採用が抑制されたり、採用されても職域が限定されるなど、女性の消防職場への進出が阻害されています。これらは、男女協同参画社会における不適当な環境となっています。
 全消協は2004年4月「女性セミナー」を開催し、11県から14人の女性協議会会員の参加を得るなかで、消防職場は女性職員にとってどのような問題や課題があるのかを、率直に話し合ってもらいました。参加者からは、「同じ条件で採用され同じ訓練を受けているのに、“女性だから”と業務が制限されるのはおかしい」「女性職員ではなく“消防職員”として認められ働きたい」「いったん結婚や出産で業務を離れると、もとの職域に復帰することが望めず、結果として婚期や出産を考えてしまう」といった、切実な問題が判明しました。これら女性消防職員の問題解決をはかる組織は、現状、全消協だけです。また、全消協幹事会は2004年11月16日の幹事会で、自治労の福祉局長を講師に招き、女性職員の採用や課題について認識を深めるため講演を受け、これからの活動に反映させることを確認しています。職場環境も含め、男女がともに協力し合い、質の高い消防サービスが展開できるよう、今後も女性消防職員の現場の声を反映させ、消防行政に役立てる取り組みを展開します。
 このように、私たちの消防職場には、「現場活動や日常業務上での職員の安全と、心と身体の健康をいかに守っていくのか」、「職場の環境整備をいかにして実施していくのか」といった、労働安全衛生に関する課題が多数存在しています。したがって、全ての消防職員の命と健康を守ることができる快適職場づくりのために、具体的な対策の提起と実現を求める運動を展開していく必要があります。

(9) わが国における救急業務は1930年代に始まり、1963年救急業務の法制化、1991年救急救命士制度発足を経て現在に至っています。「いつでも、どこでも、誰でも」が享受でき、救急救命処置を主眼とした救急業務の高度化は、地域住民サービスに定着しています。
 消防救急を取り巻く環境は、災害の複雑多様化、急速する高齢化、及び景気低迷による税収不足から自治体の苦しい財政事情などにより、年々厳しさを増しています。重症・軽症の区別なく住民からの救急要請は消防機関として対応しなければなりませんが、出場件数の増加に伴い、救急車の不足を招き、救急事案が連続で発生し現場到着に遅延したり、住民に不利益となる事態が懸念されます。住民に対し、救急車の適正利用を周知してもらうため、情報メディアなどを使った広報活動がなお一層必要と思われますが、一部地域では、救急搬送有料化が現実味を帯びてきました。救急搬送有料化は住民への負担が増え、本来の救急業務のあり方から外れてしまう恐れがあります。「傷病者が料金を支払う事により権利意識を増大させ、高度なサービスを要求されるのでは」、「管轄範囲を超えた遠距離搬送になるのでは」、「料金徴収などで問題が発生し現場でのトラブルが救命を遅らせることにつながらないか」、「救急車を必要とする傷病者が要請をためらわないか」など、救急業務を一層困難にする要因として現場で働く救急隊員が不安、危惧するところです。
 昼夜を問わず出場する救急隊員は人命の救護・応急処置・病院搬送の任務を遂行する重責を担っており、労務管理上において出場件数の増加は救急隊員の身体的負担を招き、蓄積した疲労は予見せぬ災害を引き起こすことにもなりかねません。出動回数、走行距離などを考慮した救急隊員の交代要員の配置が急務です。
 近年、凄惨を極める事故が多発しています。その現場に従事した救急隊員の精神的負担も計り知れず、PTSDやCISなど身体的症状を訴える救急隊員も少なくありません。消防職場は、「我慢が美徳」、「心身的な相談をすることは恥」と考える風潮がまだまだ蔓延しています。消防職場でメンタルヘルスについて気軽に語れるような雰囲気が必要であり、また、必要に応じて専門医のカウンセリングが受けられる対策が必要です。
 救急救命士制度発足から救急救命士、及び救急隊員の養成、処置拡大に伴う専門教育・研修が長期にわたり行われることにより、高度な知識・手技を取得した救急隊員を効果的に運用することが必要不可欠ですが、消防職場では、慢性的に勤務人員が不足している現状があります。2005年4月に示された「消防力の整備指針」では、地域事情を考慮して、専従化から消防隊との兼務が可能とされましたが、兼務による救急サービスの低下が懸念されます。
 救急救命士の救急救命処置範囲拡大は年々高度化が進み、2003年「包括指示下での除細動」、2004年「具体的指示下による気管挿管」、2005年「救急隊員・一般消防職員によるAED(自動体外式除細動器)の使用」が可能となりました。また、2006年4月からは救急救命士による医師の具体的指示下での薬剤投与(1剤「エピネフリン」)の処置が行われています。しかし、気管挿管・薬剤投与については未だ運用開始されていな地域もあり、運用前の病院実習には患者の同意が必要なうえ、地域によっては責任問題を敬遠する病院側の受け入れ体制が遅れています。救急救命処置を有効に機能させるためには、消防救急と地域医療機関との連携、具体的には救急救命士・救急隊員と医師・看護師など医療関係者との連携・相互理解が必要です。また、医学的観点から救急隊員が行う応急処置の質を保証するメディカルコントロール(MC)体制が各都道府県、各医療圏・各地域と構築され機能を発揮していますが、さらなる充実・強化が必要です。
 一般住民による応急手当の普及は2003年中に応急手当講習会の受講者が全国で114万人を超えました。さらにAEDが公共施設などに設置され始め、同時に一般使用に向け応急手当講習会で普及啓発が進められている状況ですが、機器を配備される施設などの職員からは、「使用基準を示すガイドラインもなく使用は不安」の声があり、不安解消に向けた普及啓発が必要です。
 全消協では、消防救急の抱える問題点を明確化し、救急救命士制度の効果的な運用と救急隊員の質的向上をめざし、地域住民、地域医療、及び消防救急が一体となり、さらなる消防救急の充実に向け関係各省庁に対して働きかけます。

(10) 自治体消防は、1970年代に入ってから、自治省(現・総務省)消防庁の指導により、単独で消防本部を持てないところに一部事務組合方式、及び広域連合の消防本部を数多く設置することで、常備化が急速に進められてきました。2004年の消防白書では、山間部や離島にある町村の一部を除き、全国市町村の99.8%の住民が、消防行政のサービスを受けています。
しかし、同時に消防行政の広域化・常備化は、制度・運営・人事・財政などにおいて、さまざまな問題を生み出してきています。
 1994年に動き出した消防の「広域再編計画」は、小規模消防本部を、周辺の消防本部と再編しながら強化をはかることを目的としています。総務省消防庁は、この広域再編計画は消防行政の効率性、すなわち、「火災等の災害の頻度と消防に対する投資とが全体として均衡のとれる地域と規模に再編成する」として位置づけ、消防行政に災害発生頻度とそれに対する投資とのバランスが必要であるとして、火災や救急などの災害事案が少ない市町村を周辺自治体とセットした形で担わそうとしていました。
 総務省消防庁は、2001年3月には、一部事務組合や広域連合について、「一般的に責任の明確性、意思決定の迅速性、人材確保等の観点から問題もあり」とするとともに、小規模消防本部の広域再編については、「最も効果的な方法は市町村合併によることであると考えられ」、今後の広域再編にあたっては、「市町村合併の推進との整合性」が必要であるとしていました。
 総務省は2002年3月に合併特例法の期限(2005年3月)にあわせて、2003年度中に「合併重点支援地域の指定」の拡大と「法定合併協議会の設置」を求める「市町村合併の協議の進展を踏まえた今後の取組(指針)」を通知しました。また、2003年6月に発表した第27次地方制度調査会の中間報告では、一定規模の目標人口規模に基づいて基礎自治体を再編成する(中間報告では明示について両論併記)との方向性が示されました。
 2002年12月に「新時代にふさわしい常備消防体制の在り方研究会」の最終報告が出され、市町村合併と共同処理方式の総合的な活用として、「合併後の市町村の間において共同処理を検討すべきである。」としています。
 2003年10月に総務省消防庁が各都道府県知事宛てに「市町村合併に伴う消防本部の広域再編の推進について」通知を出し、管轄人口が概ね10万人以上となることを基本として、合併後の市町村が単一で消防本部などを設置することなどにより、結果として従来の消防本部より一層の小規模化を招くことは適当でないとし、共同処理方式を活用した広域化を推進していく必要があるとしていました。
 2004年4月から市町村合併新法が施行され、都道府県が市町村の合併の推進に関する構想を策定し、構想に基づき市町村に合併協議会設置の勧告を行うことができるとしていました。
 現行の事務組合方式を継続した広域化は、消防行政の内容がより見えにくくなり、住民との距離を隔てるものといえます。小規模消防の対応力を強化するには、安易な広域再編では根本的解決にはなりません。
 2006年2月には消防審議会から「市町村消防の広域化の推進に関する答申」が出され、消防の広域化の目安となる管轄人口が30万人以上とされ、広域化再編は多様化・大規模化する災害・事故や高度化・複雑化する社会における消防業務に対する住民のニーズに的確な対応をするためとしています。
また、同年6月の第164回国会で消防組織法の一部改正が決議され、自主的な市町村の消防広域化を推進するために、消防庁長官が定める基本指針にもとづき、都道府県が推進計画を立て、広域化を実施する市町村が広域消防運営計画を作成し広域化を進めていくとしています。
 一部事務組合・広域連合、そして市町村合併にしても、行政の広域化の是非は、住民の人口動向・生活圏・地形・交通などの事情による広域化の必要性の有無が明らかにされ、住民の自主的な意志に基づいて判断される必要があります。そして、現に存する広域消防にあっては、各構成自治体の消防責任を明確にさせたうえで、消防の業務内容や実態を住民に公表するなど透明性を向上させる必要があります。さらに、地域実情に合った消防サービスのあり方について、自治労との連携を通じて、合併協議会で協議されるように求めていかなければなりません。
 一方、2003年通常国会において、消防法・消防組織法の一部改正案の成立にともない、常備消防の設置義務制度・救急業務の実施義務制度(政令指定)が廃止されたことによって、今後、小規模町村において消防サービスの低下が懸念されます。
 全消協では、1990年5月のILO「消防職員の雇用および労働条件に関する合同会議」の結論である、「消防事業はその他の公共サービスと同様に……経費削減によって地域社会全体、あるいは一部から必要な保護を奪ったり、また、あまりに広範囲を担当しすぎたり、人員が少なすぎたりして、消防士自身の生命をより大きな危険に置くようなことがあってはならない。」との指摘を基本に、消防庁に対して、1.広域再編を進めるにあたっては不必要な広域化は進めるべきではない、2.住民サービスが現状より低下しない、3.職員の削減や労働条件の悪化を伴わないといった事項について、自治労を通じ、申し入れを行ってきました。
 2003年1月に開催されたILO「公共緊急サービス部門合同会議」においては、「使用者と労働者、そして住民による効果的な社会的対話のメカニズムは、公共緊急サービスの提供におけるあらゆるニーズと制約に関する重要な決定に関して、関係者全員の意見表明を確保する重要な手段である。」との理念に基づくガイドラインが採択されました。
現在、消防無線のデジタル化に伴い各消防本部の財政的事情から通信指令業務における広域化が全国で検討されています。

 私たちは、これらの情勢を十分に認識したうえで、消防行政を担う私たち消防職員自身が、社会的使命を実感でき、そして働きがいのある消防職場にしていくためには、消防の広域化問題に主体的に対応していく必要があります。

(11)  少子高齢社会・分権型行政への移行、多様化する住民ニーズの変化により消防行政には、火災・救急・救助といった従来の災害対応型の活動内容に加えて、よりきめの細かい効率のよいサービスが求められるようになってきました。しかし、近年の消防行政においては分権型行政ではなく、国主体型になりつつあります。国民保護法については国および各都道府県の策定が終わり,現在各市町村レベルでの協議となっています。このことからも見てとれるように市町村消防の原則を破棄し、武力攻撃事態を想定した広域応援体制の確立、緊急消防援助隊登録のみに対する庫補助金、市町村合併、及び広域再編のための消防無線のデジタル化への移行を機に、さらなる消防広域再編につながる動きが加速し、住民サービスの低下を招こうとしています。広域再編・地域の財政危機などの理由により、市町村消防の原則が消防事務の委託などによて、崩れるのではないかという危機感を感じている単協があります。そこに消防本部が必要か否かを決めるのは、各自治体当局ではなく、その地域に暮らす住民でなければなりません。
 消防機関は、24時間フルタイム稼動の体制を活かし、住民のもっとも身近にあって安全と安心を提供している行政機関のひとつです。地域に暮らす住民の要であり、急激に変化する社会情勢や住民ニーズの多様化に的確に対応できる機関として、従来の固定概念にとらわれない「地域安全・安心センター」構想を、全消協は1994年度全国懇談会(現研究集会)において提起し、その実現に取り組んできました。
 「地域安全・安心センター」は、現行の消防力で、できることを実施していくということだけにこだわらず、未来の消防行政の姿を考えるものです。これを実現するためには、地域の実情に応じ、住民の視点に立って考えるとともに、地域の行政機関はもとより福祉・保健・医療機関などと連携を強化し、総合的に情報やサービスを提供できる行政機関をめざしていくことが必要です。住民ニーズを調査することも含め、アンケートを実施しようとする先進的な単協があります。このようなデータ結果を組織全体で共有化し、研究することで消防サービスの改善をめざします。

(12) 今日の消防行政は、国民生活の基盤である「安全と安心」の確立に大きな役割を果たし、さらには相次ぐ大規模災害などの業務の需要と責務は高まっています。現場に従事する消防職員の立場で、住民の付託に応える組織がいかにあるべきかを研究・協議しています。しかし、自治体の防災体制や消防職員の労働環境など、まだまだ整備すべき多くの課題があります。自治労委員長と全消協会長による連名で初めて消防長長官に消防行政の改善に関する次の項目について要請を行いました。

  1. 消防力の充実について
  2. 救急業務の充実・強化について
  3. 職場環境の改善について
  4. 国民保護計画の策定について

 今後も引き続き、地域のニーズに対応できる常備消防体制の実現にむけて、的確な課題認識を持つとともに、政府・自治体当局に対してさらなる市町村消防への充実・強化がはかられるよう求めていきます。
 消防救急無線のデジタル化は、総務省から移行時期を2016年5月までとされ、2011年5月以降は新規アナログ無線機の申請はできなくなります。
 この消防救急デジタル無線の周波数、および方式は、260Mhz帯、SCPC・TDMA方式とし、消防本部によって選択できますが、全国共通波についてはSCPC方式で決定しました。また、周波数割り当てでは、260Mhz帯の約8割がTDMA方式で、残り2割がSCPC方式となっています。
 消防救急デジタル無線(TDMA)に移行した場合、現行アナログ無線との違いは、伝送内容については、①音声通信は秘匿性がある、②文字データ・静止画・FAXなどがアナログ無線より高速で混信が無いとなっています。通信形態では、個別通信、グループ通信、PBX通信、通信統制などに利点がありますが、果たして消防救急無線でそこまでの機能が必要なのか、また、全国共通波は、SCPC方式を整備しなければならないため、SCPC方式での周波数割り当てをもっと増やした方が、各消防本部の負担も少なく有効ではないかと考えられます。
 各自治体の多くが財政難であり、中小規模の消防本部については、指令システムを更新することさえままならない状況であるにもかかわらず、2016年5月以降アナログ無線は使用できません。
 防災行政無線についても2005年、2006年の状況を見ながらデジタル化への移行時期を決定する動きが総務省にあります。無線設備の変更だけで多大な費用を投資できない自治体にとっては、地域住民を守るべき消防無線でありながら、災害時に使用できなくなります。それを防ぐためにも、国が各自治体に補助金ではなく、設備設置費用負担をするべきであります。
 今後の国と市町村相互の対等の立場だけではなく、都道府県もその中に入り、国、都道府県、市町村相互の対等の立場からの財政負担を行うことが求められます。
 全消協消防総合研究委員会は、「消防職場のQ&A賃金・勤務時間編」の編集を行い発刊しました。今年度は「消防職員委員会の手引き」(改訂版)の発刊を予定しており、組織拡大、及び強化運動の支援になると考えています。今後も、消防に関する多種多様な問題の解説をQ&A方式のブックレットとして随時発刊していきます。消防職場独自の「なぜ?」がまとめてあり、運動の支援になると考えます。また、消防行政に関わる諸問題の調査・研究を進めます。

具体的活動方針

消防力の整備指針

  1. 消防力の整備目標に対して市町村長に説明責任を問うことが必要です。
  2. 国民保護法における武力攻撃災害対応に対して弾力的財政施策を求めていきます。

(2)消防職員委員会制度

1.   委員会制度の民主的な運営を求めるとともに、実態調査を行い問題点を抽出し、自治労を通じて、総務省消防庁・全国消防長会に協議の場を求めます。また、自治労・連合を通じ国際労働機関への働きかけを引き続き行います。
2.   告示改正された内容をもとにさらに取り組みを強化します。この告示内容は、取り組んでこそ、その力を発揮するものであり、全消協会員の理解と力量が問われているといっても過言ではありません。
  新しく改訂された全消協発行の「消防職員委員会の手引き」を広く配布します。
  改正された「消防職員委員会の組織及び運営の基準」について学習会を開催し、取り組みを強化します。
  改正内容について活用方法などをもとに未組織職場と交流を行い、積極的にオルグを実施し、委員会の定着をはかるとともに組織拡大をはかります。
  円滑な委員会運営のため、多くの単協会員を意見取りまとめ者および委員に選出します。
  改正された内容が適正に運用されたか実態調査を行います。
3.   積極的に地域住民や地域の自主防災組織・ボランティア団体・青年会議所などとの交流を行い、今、消防行政に住民が何を望んでいるのかを把握し、課題点の共有化をはかるとともに、委員会の意見として消防行政に反映させていきます。

(3)国民保護法

1. 国民保護法について調査研究を行ないます。
2. 都道府県、および市町村モデルの策定については、消防として参画するよう求めます。
3. 武力攻撃災害、およびNBCテロに対応できる資機材の充実をはかります。

(4)組織拡大

1. 組織強化拡大5ヵ年計画に基づき、次のことに取り組みます。
  組織強化拡大5ヵ年計画に基づき運動展開をはかります。
  全消協は、各県に全消協全国組織強化拡大対策委員を置き、年2回組織強化拡大対策委員会を開催します。
  各県単位においては、2ヵ月に1回組織強化拡大対策委員会を開催し、自治労県本部の消防対策担当者とともに、組織化にむけた取り組みを検証し、具体的対応の強化をはかります。
  全消協の中期的目標を全国消防職員の過半数に置き、各県に組織強化拡大対策委員会を設置し、組織強化拡大アクションプログラムに基づき、組織強化拡大対策委員のもとに具体的行動を推進し、当面3万人体制をめざします。
  全消協のコンセプトをより明確にし、広報紙・インターネットなどを通じて未組織職場へのアピールを強化します。
  未組織職場に対して、全消協や各地域で開催される交流会、学習会、セミナーへの参加を呼びかけます。
  消防職員委員会の運営実態に関する調査を継続し、自主組織の必要性を未組織職場へ呼びかけます
  1県1組織の結成にむけ、重点消防本部を選定し、空白県解消の取り組みを強化します。
  1県1組織のところについては、全消協幹事、組織強化拡大対策委員が組織化にむけた取り組みを推進します。また、必要に応じて、当該ブロック内の隣接県の組織強化拡大対策委員についても組織化にむけた取り組みの支援を積極的に行います。
  各単協が未組織・未加入の消防職員を対象として、個別に組織拡大リーフレットとともに地域にあった広報物などの配布ができるよう推進します。
  政令指定都市については、自治労の大都市共闘に消防職員の組織化に関する集会・会合を開催するよう働きかけます。
  毎年組織拡大5ヵ年計画の実施状況について検証を行います。
2. 未組織職場の自治労市町村単組に対して、次のことを要請します。
単組に消防職員組織化対策委員会などを設置し機能化すること
  組合機関紙、各種ニュースなどを消防職場に配布すること。
  単組が主催するスポーツ、レク活動に消防職員の参加を呼びかけること。
  自治労組織と協力関係にある消防職場、あるいは、自主組織を結成しているところは、全消協への加入をめざすこと。
  円滑な消防職員委員会の運営を促進するための消防職員への指導と、組織化を一本化して取り組むこと。
  組織化にあたっては、地方議員の支援体制を確立すること。
  自治労共済・労働金庫などの活用を推進すること。
  全消協加盟が当面困難な職場については、全消協賛助会員制度を利用すること。
  ※ 賛助会員=自主組織結成の意志のある消防職員3人以上を単位として、全消協に登録、情報の提供、組織化にむけての援助が受けられる。年会費1人3,000円。
  ※ 賛助会員制度は、過渡的なものであるから、早期に自主組織結成の方策を講じることが求められる。
3. 自治労各県本部・地連に対して、次のことを要請します。
  消防対策委員会などの設置と機能強化をはかること。
  県消協の結成などを含め、県内消防職場の情報収集などについて積極的な取り組みを行うこと。
  消防職員委員会の実態把握および円滑な運営のための県に対する窓口となること。
4. 市町村合併の対応をはかるため、次のことに取り組みます。
  「市町村合併組織対策対象消防本部」の未組織消防職員に対して、組織化による当局への影響力をアピールし、100%組織化にむけて取り組みます。
  市町村合併に関する現状把握と今後の効果的な対応をはかるため、市町村合併調査を行います
  市町村合併の対象となる消防本部の賃金労働条件や人員資機材に関する情報収集を行い、自治労各県本部市町村合併対策委員会の取り組みに参画できるよう体制整備をはかります。
5. 広域化への対応に向け、市町村合併と同様の対応をはかるとともに、都道府県が策定する「推進計画」について、県消協・単協と協力して進捗状況の把握や問題点の抽出を行い、意見反映に向け取り組みます。
6. 自治労の横断的組織とも連携強化をはかり、消防に関する情報提供と組織化に対する支援を求めます。

組織強化

1.
  定期総会は事業内容の実効性を高めるため、「活動方針提起総会」と「活動方針補強総会」に区分し、隔年ごとに開催します。
2.
  全消協は、各県に全消協全国組織強化拡大委員を置き、年2回組織強化拡大対策委員会を開催します。
3.
  各県単位においては、2ヵ月に1回組織強化拡大対策委員会を開催します。
4.
  全国消防職員研究集会を開催し、労働条件や消防行政、消防職員委員会、女性消防職員の労働環境などの取り組みについて、会員相互の情報交換や交流の場とします。
5.
  労働講座については、全消協運動を進める上での基本的な学習の場と位置づけ、より適切な受講者層・プログラムにより引き続き複数回開催し、学習会への参加しやすい環境づくりに努めます。
6.
  消防を取り巻く社会情勢の変化および高度情報化社会の進展に即応するため、広域行政問題・消防職員委員会・高齢者再任用問題・職場環境改善事例など単協活動の参考となる情報の提供・収集など情報機能のあり方について検討を行い、情報機能の整備と強化をめざします。
7.
  組織規模、地域事情などにより、各単協で共有できる問題について解決にむけ情報交換を進めます。
8.
  ブロック連絡協議会は、各県消協・単協間の連絡調整などを行います。
9.
  県消協は、県下単協の活動の推進をはかります。その機能強化のため、引き続き交付金として会費納入の5%還元を継続します。
10.
  オルグ・組織対策費として、各県単位ごとの組織強化・拡大活動の最低保障金額10万円と交付金相当額の合計金額を上限として財政負担を行います。
11.
  新規加盟単協については、組織拡大委員が中心となって定期的に相談を受ける機会を設けるなどのフォローを行います。また、新規加盟単協の全消協加盟時の会費納入については、6ヵ月の猶予期間をおくこととします。
12.
  単協の組織強化をはかるために、各単協は、次の取り組みを行います。
未加入者や新規採用者の組織加入を積極的に行い、組織の強化に努めます。
これからの時代を担う活動家の人材育成をしながら、幅広く各世代からの意見収集を行い、社会変化に対応できる組織づくりに努めます。
ほかの消防の仲間、自治労、関係団体との日常交流や情報交換を行うとともに、積極的に学習会の開催、参加をします。
消防行政問題や職場環境改善について研究し、問題点について消防当局とルールのある話し合いを確立することで単協の強化を促進するとともに、消防職員委員会の適正な運用を促します。
住民に対して、協議会活動について理解を広めるための活動を行います。
全消協主催の労働講座、研究集会などに積極的に参加し、活動家を養成します。
充実した活動を支えるため、安定した財政基盤の確立を求めます。

(6)労働時間など

1.   休憩時間特例のある現状をふまえ、無賃金拘束時間を解消するため、以下の取り組みを行います。
  全消協として次の取り組みを強化します。
a 休憩時間に係る基本原則適用除外を定める労働基準法施行規則の見直しを求めるとともに、深夜を含む労働の総量と深夜勤務の回数制限を設けるよう求めます。
b 消防職員の仮眠休憩時間の出動実態調査を実施します。
c 調査結果については、加盟単協と逐一情報の共有化をはかれるよう努めます。
d 自治労と連携して、自治労委員長と総務大臣との勤務時間等に関する定期協議などを通じた行政対策や、民主党消防政策議員懇談会に対する課題提起と意見反映をはかるなど国会対策に取り組みます。
e 消防職員委員会での審議結果を集約、総括します。
f 仮眠休憩時間の出動実態調査結果、消防職員委員会での審議結果集約をふまえ、自治労と連携・協議しながら、人事委員会・公平委員会に対する措置要求、さらには司法対策をも視野に入れた支援協力体制の確立をはかります。
  各単協は次の取り組みを強化します。
a 無賃金拘束時間を可能な限り短縮するよう求めます。
b 週休2日、及び諸権利行使が保障されるよう職員定数の増加を求めます。
c 変形労働時間制の期限として「1ヵ月以内」を遵守すること。また、週休日を割り振る基準として「4週間」を原則とし、使用者による恣意的な週休の振替運用については是正を求めます。
d 労働時間配分の明確化をはかり、休憩時間内の労働(出動など)に対して超過勤務手当の支払いを求めます。
e 長時間拘束勤務に対する特殊勤務手当の支給を求めます。
f シフト制の導入など、隔日勤務制の改善をはかります。
g 消防職員委員会に対して、消防職場の勤務条件の改善をはかることを求めて、意見の提出を実施します。
2.   時間外勤務の縮減を求めるとともに、恒常的なサービス残業に対しては、超過勤務手当
3.   明番・週休日などの勤務時間外における恒常的・定期的な業務命令(予防査察・救命講習・訓練など)を撤廃し、適正な人員配置のもと、これらの業務が通常勤務のなかで円滑に遂行できる体制を求めます。
4.   勤務形態・労働時間の改善事例を収集し、各単協へ情報提供に努めます。

賃金・労働条件の改善

1.
  明番・週休日などのやむを得ない勤務従事には、身体的に拘束する全時間を対象に超過勤務手当の支給を求めます。
2.
  消防職員の給与実態について引き続き調査を実施し、基本賃金、及び諸手当のあり方についてさらに研究を進めます。
3.
  組合消防内における賃金格差解消をめざして、積極的に構成市町村での情報交換を行い、消防職員委員会などを通じ、高水準の自治体の賃金に準ずるよう改善に取り組みます。
4.
  同一自治体職場での一般行政職員との賃金格差が生じないよう積極的に情報交換を行い、昇給・昇格制度の整備に努めます。
5.
  賃金・諸手当の改善事例を収集し、その情報の提供に努めます。
6.
  広域化にともなう労働条件については、一方的改悪が行われないよう取り組みます。
7.
  職員の業務上必要となる資格取得については、公費で資格が取得できるよう求めます。
8.
  諸休暇を取得する権利が制限されないようにします。
9.
  退職者が一時的に増加することへの対応のため、各単協に合った職員採用の平準化や定数外採用といった計画的前倒し採用が行なわれるよう求めます。
10.
  女性消防職員の採用がさらに推進されるよう労働条件の整備を求めます。

(8)高齢者再任用制度の確立

  全消協は、条例で既に運用されている自治体の情報の収集と共有化に努めます。また、制度の実効が上がるように次のような取り組みを求めます。
1.
  該当者にアンケートを実施するなど制度化に必要な基礎的データを整理する。
2.
  希望者全員の再任用にむけて関係団体・部門と協議し、職域の研究と拡大・職場の確保をはかる。
3.
  希望者が自分の能力を充分に発揮でき、希望する業務に就労し、安心して働き続けられる環境づくりを行う。
4.
  再任用者全員が現職時と同様の福利厚生が受けられるように進める。
5.
  消防職員委員会などを通じ、プロジェクトをつくるなど円滑な運営ができるよう万全の準備を進める。
6.
  制度の適切な運用に向けて、再任用職員および配置された職場に対して、フォローアップのための調査を実施し、実態把握に努める。

(9)労働安全衛生対策

1.
  消防業務を労働安全衛生法(以下,安衛法)のなかで明確な職種として位置付け、「安全管理者を選任すべき・安全委員会を設けるべき」事業所として指定するよう求めます。
2.
  安衛法の趣旨を活かし、民主的で職員一人ひとりが積極的に参画できる労働安全衛生活動を推進します。
3.
  消防職場の労働安全衛生については、その職場で働く職員の意見や経験を尊重するとともに、医師・有識者・自治労関係者・技術者など、広範囲な専門家の参画により基準の見直しを行うよう求めます。
4.
  私たちが従事する現場活動には、あらゆる危険性が潜在しています。現場活動時の安全管理はもとより、訓練中の安全管理にも細心の注意を払うとともに、健康で働きやすい職場の環境整備をはかるため、必要な情報の提供・安全衛生教育の徹底・資器材の整備充実を、消防当局に求めます。また、開発された機械・器具が遅滞なく消防職場に導入されるよう求めます。
5.
  業務中や業務に起因して発生したと思われる傷病などについては、すべて公務災害認定請求を行うよう運動を進めます。また、未組織職場において発生したものについても調査を行い、泣き寝入りに終わらせないよう働きかけます。
6.
  各地で発生した公務災害について、その実態を明らかにするよう取り組みます。また、その情報をホームページなどで全国に発信し、情報の共有化をはかるとともに、その防止策について研究します。
7.
  メンタルヘルス問題に対応するため、職場内で気軽に話し合える「快適職場づくり」を進めます。また、すべての職員がメンタルヘルスに対する正しい知識を持ち、人権の尊重・プライバシーの保護を基本として、労務管理・人事管理とは完全に切り離したカウンセリング体制の充実を求めます。
8.
  職員が療養する必要が生じた場合、安心して治療に専念できる体制づくりを求めます。また、職場復帰時からフルタイムで働くことが困難な場合、就業場所や業務内容の変更、規則の制定による段階的な職場復帰が出来るよう、健康に配慮した体制づくりを研究します。
9.
  深夜業務に従事する職員の健康診断については、安衛法に基づいた適正な健康診断を行うよう働きかけを強化するとともに、その実施についても業務の一環として受診出来るよう運動を進めます。
10.
  原子力施設や他国の施設などが管轄内にある消防本部の災害対応体制の充実、また、関係機関との情報を共有し、さらには、災害発生時に出動する消防職員の安全を確保する装備の充実や教育・訓練の徹底などをはかるよう働きかけます。
11.
  女性消防職員の採用にあたっては、男女雇用機会均等法に違反することなく公平に採用をはかり、採用後の職場配置においても男女の区別なく業務を行わせるよう運動を進めます。
12.
  女性消防職員の業務従事にあたっては、災害出動を制限することなく、適正な業務の遂行がはかられるよう求めます。また、女性専用の浴室・トイレ・仮眠室・休養室・更衣室を設け、そのすべての施設が完全に男性と分離し施錠できるなど、性別に考慮した職場環境の改善をはかるよう働きかけます。
13.
  男女共同参画社会基本法の趣旨に基づき、セクシュアルハラスメントに関する学習会や、女性協議会会員が自由に発言し、現状の問題や課題が提議される女性セミナーなどを開催し、女性消防職員の意見を消防行政に反映させるよう取り組みます。
14.
  消防職員が24時間職場に拘束されるなかで、福利厚生の充実は必要不可欠であるとの認識に立ち、食堂やリラックスできる休養室の整備、個人のプライバシーが守られる仮眠室の個室化などを求めます。
15.
  全消協は、消防職場で労働安全衛生活動を推進するため「自治体労働安全衛生研究会」の活動に参画しています。各会員が同研究会の活動に積極的に参加し、単協での活動に活かせるように取り組みます。

(10)救急業務の充実

1.
  急増する救急出動について、救急車の適正利用を第一に働きかけ、救急搬送有料化については十分かつ慎重な議論を求めます。
2.
  消防機関の救急出動件数を減少させるため、民間救急等の活用を含めた議論が十分に行われるように求めます。
3.
  昼夜を問わず出動する救急隊員の精神的・身体的労務管理の配慮を求めます。
4.
  救急救命士・救急隊員の専門教育・研修受講で生じる勤務人員不足を解消するため、適切な増員・採用を求めます。
5.
  救急救命処置範囲拡大については、地域格差が生じることのないように整備を求めます。
6.
  AEDが公共施設などに配備が進められていますが、施設職員が機材の使用にあたって、ハード面とソフト面を一対にした普及啓発をすることを求めます。
7.
  全消協は消防救急の抱える問題点の改善に取り組み、救急業務の充実に向けて各関係機関に対して働きかけます。

(11)広域化対策

1.
  広域化にあたっては、次のことを求めます。
消防本部の規模のみを判断材料とするのではなく、住民の生活圏・消防需要の動向・サービスの水準・住民の意思などを総合的に検討すること。
人員及び財政の削減を主たる目的に置くのではなく、あくまで住民の消防に対する行政需要と市町村の消防責任との均衡をはかること。
防災対策について消防機関と関係市町村との密接な連携強化策を講じること。
署所の統廃合などにより住民に対する消防行政サービスの低下を招くことなく、総合的に向上すること。
計画的職員採用、円滑な人事ローテーション、専門家の養成ができる職員規模、必要資機材の購入ができる財政規模を有する組織であること。
構成自治体の経費負担方法については、いわゆる6・4方式のような不適切なあり方ではなく地域住民に対する行政サービスと財政負担の均衡が取れるよう適切な措置を講ずること。
消防職員の身分・賃金など処遇が不利益とならないようにすること。
2.
  社会的対話を通じて住民の意思が消防行政に反映できるようなシステムづくりを求めます。
3.
  法定及び任意合併協議会が設置されている地域の単協は、早急に地域実情にあった消防行政サービスのあり方について研究し、自治労県本部・単組と連携して専門部会に政策要求を行います。
4.
  財政運営のあり方について調査を行い、実態把握に努めます。
5.
  自治体の主体性や、住民参加システムの制度化、設立目的、権限と財政負担の均衡などの観点から「広域連合制度」を導入した場合の検討を行います。
6.
  市町村合併の対応については、次の通り取り組みます。
「自治労各県本部市町村合併対策委員会」の取り組みに参画できるよう自治労各県本部に要請するとともに、合併協議会や各自治体当局に意見反映を行います。
既存単協周辺に「市町村合併の対象となる」消防本部がある場合、合併を契機として既存単協に及ぼす組織拡大・縮小両方の観点から「市町村合併組織対策消防本部」として選定し、組織化の取り組みを具体的に進めていくこと。
合併した新自治体および「新設合併」や「編入合併」にともない再編された一部事務組合・広域連合における消防職員協議会については、既存の単協を活用して、対象全消防本部の組織化を進めること。
7.
  消防無線のデジタル化に伴い、通信指令業務における広域化についての検討を行います。

(12)地域安全・安心センター構想の推進

1.
  「地域安全・安心センター」構想に関して各地域の実情に応じた消防行政のあり方を、各単協で主体的に分析・検討します。
2.
  住民アンケートの集計によって得られたデータなどをもとに、今、地域住民が消防行政に何を求めているのかについて、調査・研究します。
3.
  会員をはじめ各方面から、消防行政の将来的展望について幅広い議論の素材の提供を求めます。
4.
  具体的行政実例を収集し、分析・検討を行うとともに、その情報を提供し、各地域での議論の活性化に努めます。
5.
  「地域安全・安心センター」構想と、「高齢者再任用制度」、「広域再編・市町村合併問題」の接点について検討します。
6.
  医療・福祉・保健・教育機関など、ほかの関係機関との連携について、さらに検討します。

(13)時代に対応するシステムづくり

1.
  消防財政に関する調査研究を進めます。
2.
  国庫補助金などに関する過重手続きを解消するため、申請・交付・報告などの手続きについて簡素化・迅速化をはかるよう求めます。
3.
  基準財政需要額の算定方法については、地域の実情を反映するシステムを構築するとともに、簡素化をはかるよう求めます。
4.
  消防法の一部改正により予防行政の責務が増大し、その積極的推進のため、予防担当職員の増員・研修・育成の充実をはかるよう求めます。
5.
  消防無線のデジタル化については、導入にともなう費用を国が応分の負担をするよう求めます。
6.
  「消防力の整備指針」の矛盾点を指摘し、財政面・人員および装備も含めた広域応援体制のあり方を検討します。
7.
  大規模災害の発生に備え各自治体で地域防災計画の見直しが行われ、消防においても広域応援体制の整備などが推進されています。私たちは、視点を変え、「災害に強い人づくり」を進めるため、行政として何をすべきか、その担うべき役割などについて研究します。
8.
  各単協においても、地域の実情に沿った消防行政の確立にむけて、次のことに取り組みます。
地域の消防行政について、各県自治労・自治研センターとともに、行財政の問題点の調査・分析など地方自治・行財政の研究活動を進めます。
地域の防災計画、消防行政の改善のため、住民や有識者を中心としたシンポジウムの開催を計画するなど世論の喚起に努めます。
各地域の消防責任を果たすための消防力体制を研究します。
9.
  消防の広域化にともなう費用は、国が相応の負担をするよう求めます。
10.
  消防総合研究委員会は消防に関わる各種問題を調査・研究します。
消防に関する多種多用な問題を随時出版物にまとめていきます。
消防行政の情勢、法令や消防職員委員会などの研究をすすめます。
各種の講座・集会に講師を派遣します。
消防に関する学識経験者との交流を深めます。

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