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2010-2011年度活動方針

Ⅰ 基調

1. 私たちをとりまく情勢

【国際情勢】

近年、地球の温暖化による影響で地球表面の大気や海水温が上昇するなど、世界各地で異常気象による自然災害が多発しています。世界規模での干ばつ、集中豪雨、豪雪などの災害や、サイクロン、ハリケーンによる大規模な水災害が発生し、大きな被害をもたらしています。また大規模な地震災害も多発しており、人的被害だけにとどまらず、世界規模で食料事情を悪化させるなど、将来に大きな不安要素をもたらすことが懸念されています。加えて、新型インフルエンザが世界各地で発生しています。2009年4月にはメキシコとアメリカでの発生が報告された後、日本を含む各国で発生し、6月11日にはWHOは世界的大流行を宣言しました。

一方、世界を取り巻く経済情勢は、2008年は急激な原油高に見舞われ、その秋にはアメリカにおけるサブプライムローン問題を引き金に世界同時不況が起こりました。この金融不安が急激に経済状況を悪化させ、世界各国はいまだ出口の見えない深刻な状況に置かれています。

【国内情勢】

日本では、地球の温暖化による影響からか近年頻繁に発生するゲリラ豪雨による被害が多発しており、2008年8月に東京では工事作業中の5人が命を奪われ、東海地方では名古屋市を中心に広範囲な記録的豪雨が発生するなど、多くの被災者を出しました。また、日本国内の経済状況は、世界同時不況が外需依存体質の強い自動車産業をはじめ国内のあらゆる業種にまで悪影響を及ぼし、国内経済は萎縮する一方で、いまだ不況克服の時期すら予想できない状況に置かれています。これにより都市部より地方が、強者より弱者が厳しい状況に追い込まれています。私たちの暮らしは1997年に始まった正社員削減、製造業における非正規雇用の切り替えにより格差社会が論じられるようになり、今日ではワーキングプアに象徴される貧困問題が急速に広がりを見せています。2006年の相対的貧困率は13.5パーセントで、OECD諸国で日本はアメリカに次いで2位となり、勤労者の平均所得は9年連続で減少しています。しかも、これらの貧困層の約9割が就労しており、それでも貧困している現状は、もはや格差社会より貧困社会と言われることが現実味を帯びるようになってきました。

【公務員・消防職場をとりまく情勢】

民間の夏季一時金が大幅に削減される状況の中で人事院から、国家公務員の夏季一時金の減額について、2009年5月に異例の勧告が出されました。これは、公務員の権利制約の「代償措置」として設けられている人事院の機能を自ら放棄するものです。この勧告が実施されることにより、すでに国より低い支給率の自治体や特例カットを実施している自治体などはダブルパンチの状況に追い込まれる恐れがあります。さらには、このことが民間の春闘や賃金交渉にまで悪影響を及ぼし、結果、国内の消費マインドをさらに冷え込ませることが予想され、地方経済に打撃を与えることとなります。

行政改革推進本部は2008年10月に、成績主義・人事評価制度を本格的に導入し非現業の国家公務員に労働協約締結権を認める一方で、第三者機関である人事院を廃止する方向を打ち出しています。新たに付与される労働協約締結権の適用範囲などをめぐり、連合・公務労協は政府との交渉を精力的に展開しており、その帰趨は消防職員の団結権の今後のあり方の議論に影響を与えることから、注視していく必要があります。

国は「消防体制の充実強化」を更なる「消防の広域化」により達成するため、2006年6月に消防組織法を改正し「市町村の消防の広域化に関する基本指針」を示しました。それに基づく都道府県による「推進計画」では、2009年4月現在41の都道府県で726の消防本部が226に、うち「都道府県全域を管轄とする1の消防本部」としている都道府県は12団体となっています。この計画通り広域化が行われた場合、一つの消防本部に関係する市町村は最大で49市町村となり、一部の大都市を除きほとんどの市町村が共同して消防行政を運営していくこととなります。関係する市町村が現在よりも多くなることから消防行政の内容がより見えにくくなり、その結果、住民との距離を隔てるおそれがあります。また、多くの自治体において財政基盤の脆弱性という問題は解決されておらず、先行き不透明な消防組織の運営が行われる可能性は否定できません。消防力の有効活用と強化という国の謳い文句とは逆に消防力の低下が懸念されます。

さらに消防無線のデジタル化は今日では喫緊の課題とされ、広域化を推し進めるうえでのテコとして現場ニーズを無視して進められています。不感地帯も多く、中継基地が多数必要になるなど技術的な問題点が指摘されています。

2. 運動の基本的方向

【団結権の獲得】

全消協運動の最大の目標は団結権の獲得にあります。国主導で進められている「公務員制度改革」は2008年10月に「専門調査会」が、公務員の労働基本権のあり方について、行政改革推進本部に対し検討結果を報告しています。その中で消防職員及び刑事施設職員の団結権について、賛否両論があったとして併記されるに留まっており、消防職員の団結権については前進はありません。全消協は人事評価制度が導入される際、団結権付与は最低条件であるとし、自治労及び関係団体とその取り組み強化を図ってきたところです。しかし、団結権付与に関し日本政府は再三のILO勧告すら拒む姿勢を貫いており、なんら具体的措置を講じていません。団結権が否認され労使間で労働条件を協議する手段すら制約を受ける消防職員等に対し、同調査会は「なお、協約締結権を付与されない職員について、給与等勤務条件決定の仕組みをいかにすべきか、検討が必要である」と指摘するのみで、具体的な進展がないままに置かれています。

全消協は2007年には団結権獲得に向けた新たな取り組みとしてPSI(国際公務労連)への加盟を果たしました。今日では韓国をはじめアジア諸国の関係団体との交流を始めており、日本国内の16万消防職員の代表であるとの認識で迎えられています。国際労働運動の中で日本の消防職員の団結権問題を課題として運動を展開することは、国際世論で日本政府を包囲することであると同時に、世界各地で人権、労働組合権を踏みにじられている多くの労働者と連帯することでもあります。

団結権問題は極めて政治的な課題であり、政治を変える運動なくして有効な展望は開けません。麻生政権は未曾有の経済危機の中でなんら有効な政策を打ち出しえず、7月12日の東京都議選で大敗し、解散に追い込まれました。いまこそ、民主党を中心とする政権への交代を実現すべきであり、各種世論調査は国民がそれを期待していることを示しています。民主党はマニフェストの中で「公務員の労働基本権を回復し、民間と同様、労使交渉によって給与を決定する仕組みを作る」と明記する一方、全消協との対話の中ではこれまで何度も、消防職員への団結権の付与を明言しています。全消協は来る衆議院選挙では自治労と連携し、自治労の組織内協力候補をはじめとする候補者の当選をめざします。また2010年に行われる参議院選挙では、民主党から比例区に立候補を予定している江﨑孝さん(自治労労働局長)を推薦してたたかいます。また、自治労の推薦する社会民主党の候補者も支援してたたかいます。

【組織の強化と拡大】

全消協の組織を拡大することは、団結権が否認されている現状に消防職員自身が忍従していないことの何よりの証であり、団結権を含む諸権利の獲得への基本の筋道です。劣悪な労働条件と非民主的な職場で声をあげられないでいる未組織の仲間の起ちあがりを促し、ともに運動を進めるため、組織拡大は重要な課題です。消防の広域再編の進行の中で、既存の単協が未組織の消防本部に吸収され埋没することが懸念される一方、広域化をきっかけに未組織の職場を組織化できる可能性もあることから、広域化を組織拡大のチャンスとするような運動展開を図ります。

消防組織法に定められている職員委員会については、その機能の限界が指摘されていますが、自主組織である消防職員協議会が積極的に関与することで有効活用が可能となります。全国での改善事例などを集約し、活動に生かす取り組みを進めます。

労働講座などを通して人材育成と組織の強化に努めます。女性連絡会の活動を強化し、男女がともに協議会活動を担う運動作風を確立し、男女平等の職場と社会をつくります。

団結権獲得のたたかいと並行して団結権を持つ組織にふさわしいあり方を展望し、第2号議案で「全消協の組織・財政確立の中長期課題について(組織討議案)」を提案し、組織討議を深めます。

【賃金・労働条件の改善】

生活の水準と質を向上させ、労働が公正に評価される賃金、人間らしく安全・快適に勤務し質の高い公共サービスを提供できる労働時間、職場環境の確保を求めます。消防職員は自治体労働者として、条例により賃金・労働時間を決定されるシステムのもと、労働基本権を厳しく制約されており、交渉による課題解決の途は法的に否定されています。交渉権を有する自治労の取り組みと連携するとともに、職場の課題をひとつでも多く消防本部・自治体当局との協議を通して解決できるよう取り組みます。

消防職場に存在する「無賃金拘束時間」問題の解決に向け、判例や法改正の研究、社会的なアピールなどを行います。訴訟の検討を進めている単協については、提訴に至った時点でカンパによる財政支援を行います。

「雇用と年金の接続」を図ることを目的とした「高齢者再任用制度」は、2008年10月1日現在の総務省消防庁調査では807消防本部のうち条例化済みが664本部(82.2%)ですが、採用状況をみると採用実績がないと回答しているのが646本部(条例化済みの80%)であり、大きな課題を残しています。加えて、再任用を希望した協議会役員を務めた元職員の任用を拒否する事件も起きています。制度の趣旨の徹底と差別的運用を許さない取り組みをはかるとともに、再任用先の職域拡大、高齢者の負荷を軽減するための業務の改善などを図り、研究や総務省消防庁への対策を行います。

【質の高い消防行政の実現】

今日、社会的に「安心・安全」への関心が非常に高まってきており、特に早急な救急医療体制の確立が必要です。2009年5月には消防法と消防組織法が改正され、消防本部には救急搬送を義務づけし、医療機関は受け入れ体制を作る努力義務を課されることになりました。私たち消防職員は多くの救急現場で、国民は救急医療に何を求めているかの声を聞いています。全消協はこういった「救急現場からの声」を集約し救急と医療体制のあり方について、政策提言を行います。このため自治労の衛生医療評議会とも連携し政策研究活動を展開します。民主党消防政策議員懇談会と連携し、国の消防行政の改革に取り組みます。自治労の自治研活動と連携し、地域・自治体の消防行政、安心・安全の地域づくり、市民への防災教育など幅広い政策分野で消防職員の専門知識と技術を発揮します。

消防行政の広域再編は、2009年4月現在、41県が計画を策定しています。これらの計画の策定過程では、市民と消防職員への十分な情報提供や計画作りへの参加があったとは言えず、特に過疎地を抱える地方において深刻な消防力の低下が懸念されます。全消協は、不必要な広域化を行わないこと、広域化にあたっては消防力が低下することがないこと、職員の雇用が確保されることなどを基本に、今後も対応を強化します。また地域の消防の抱える課題について市民に情報を開示し、消防団や町内会、自主防災組織、各種の市民団体と協力して「地域の安心・安全」を考える活動の中心を担います。地域でのボランティア活動や自治体行政の市民サービスの一部を担う業務など、会員のアイデアと自発的意思を生かし、単協ごとの特色ある活動を展開します。

Ⅱ 活動方針

(1) 団結権獲得の取り組み

2008年3月、ILO条約勧告適用専門家委員会報告は、2007年10月の行政改革推進本部専門調査会報告書に関する「連合情報に留意する」とし、日本政府に見解を要請し、「消防職員の団結権の否認」を挙げ、ILOは、日本の消防職員に団結権を付与することを否認し続ける日本政府に対するさらなる疑問を示しています。

ILOは、日本政府が「消防職員は、警察職員と同様な職種である」としながら警察職員には無い職員委員会制度を消防職員に与えた点に着目し、この制度が総務大臣と自治労委員長との間で合意され運営されてきたことを一定程度評価してきました。しかし、ILOは自治労と全消協が行った消防職員委員会制度の実態報告を検証した結果、消防職員の団結権に関して実質的に前進していないことに、結果として「消防職員委員会の役割には、制約があることが明らかになった」としています。このため、ILOは日本政府に対して、消防職員の職務がその性格において、ILO条約第9条で規定する適用範囲の除外を認める職務にはあたらないとの立場から、「この種の労働者に団結権を保障するための適切な措置を講じるよう希望を表明したことを再び想起する」とし、「消防職員に対する団結権を確実に保障するために、すでに行われているか、検討されている法的追加措置について次回報告で示すこと」を再度要求するとしています。

全消協にとって団結権獲得は、結成当初からの悲願であり、質の高い消防サービスを確立するためにも労働基本権は必要不可欠なものです。PSI(国際公務労連)への積極的な参加を通しILOへの働きかけを行います。日本国内の関連団体との協力関係を構築し、国民のコンセンサス獲得をめざすとともに、政治への働きかけを強め団結権を保障する法改正を実現します。

【団結権獲得に向けた国際連帯の強化】

  • 1.PSIの活動を通して、世界の公共サービス労働者と連携し、ILOに訴える活動を強化します。
  • 2.PSIに加盟するアジア・太平洋地域の消防職員との交流を深め、消防職員の権利獲得の前進を図ります。
  • 3.PSI-JC(加盟組合日本協議会)に加盟する組織との連携を強化し、公務員の労働基本権の獲得に向け取り組みます。

【団結権獲得のための政治活動の強化】

  • 4.消防職員の団結権を認めない自公政権に終止符を打ち、政権交代をめざします。
  • 5.民主党消防政策議員懇談会に対し団結権付与に向けた取り組みの強化を要請します。社会民主党に対し団結権問題への取り組みを要請します。
  • 6.民主党のマニフェストでは「公務員の労働基本権の回復」が明記され、そこには消防職員への団結権付与は含まれるとしていることから、次期衆議院選挙ではより多くの民主党国会議員を国会に送るための活動を展開します。社会民主党も支援します。
  • 7.2010年に行われる参議院選挙では民主党から比例区に立候補を予定している江﨑孝さん(自治労労働局長)を推薦し当選に向け取り組みます。

【団結権獲得後の活動に向けた取り組み】

  • 8.団結権を獲得した場合の組織活動の移行がスムーズに出来るように中長期的な観点から規約の整備を含めた検討を行います。

(2) 組織強化・拡大の取り組み

全消協は1977年8月に結成し36組織2,500人にすぎませんでしたが、「明るく魅力ある消防職場づくりと消防職員自らの権利と向上、住民のための消防行政を確立する」ことを目的に掲げこれまで活動してきた結果、2008年11月現在では187組織13,055人を数える組織になっています。

とくに、結成当初からの課題である団結権の獲得のために、ともに行動する仲間を一人でも多く結集し、当面の目標である3万人体制を早期に実現し、問題解決への国内世論形成の原動力につなげるため、組織拡大にむけた取り組みが必要です。組織強化・拡大対策委員会で各地域の取り組みを踏まえた組織拡大のための有効な手段について議論・総括し、地域に合致したきめ細かな活動の展開を図ります。

消防広域化問題を重要課題として位置づけ、今後も消防広域化への取り組みを通して組織拡大を図ります。広域化に伴い、未組織の消防組織の統合によって既存の単協が少数派になるなど、組織的課題が起こる場合には、県消協・ブロックが支援します。

組織拡大には、全消協全体での取り組みとあわせて自治労の協力が不可欠です。全消協は、自治労主催の「自治労消防セミナー」に参加し組織拡大への協力を要請してきました。協力要請とあわせて、自治労各県本部との連携のもと、定期的に組織強化・拡大対策委員会を開催し、各県の実情に応じて組織拡大の具体的行動計画を作成するとともに、その計画に基づいて、未組織消防に対して全消協への結集を働きかけます。

強い活動を進めていく体制がなければ、全消協活動への魅力が失われることになります。単協自身が社会情勢を十分に確認しながら、住民に密着し、信頼される活動を行っていくことが重要です。「団塊の世代」の大量退職による会員の減少や新規採用職員の未加入問題などの克服に努めます。各単協活動の後継者育成については、喫緊の課題であるとの認識が必要です。また、社会の急激な変化を鋭敏に察知し、活動が継承・発展するよう組織の改革と充実を図るなど、環境整備に努める必要があります。協議会活動を担う人材の育成に計画的に取り組みます。また、裁判闘争などをたたかう単協への支援を行います。

男女がともに協議会活動を担う運動作風を確立し、男女平等の職場と社会を創造するため、女性連絡会の活動を強めます。女性連絡会が実施したアンケートでは、男性が多数を占める職場で勤務する中で、周囲の理解の不充分さや施設面での未整備、セクシュアル・ハラスメントや人間関係の難しさに直面しながら、少数であるが故に声を上げにくい現状が明らかになりました。女性自身が発言することで職場を変え、協議会運動を変えるために、女性会員の情報交換・交流の場を設け、活動を強めます。

団結権獲得を求める運動と一体の取り組みとして、団結権を有する組織(労働組合)にふさわしい組織体制の整理と財政確立を図るため、組織討議を進めます。

【組織強化・拡大対策委員会の設置と取り組み】

  • 1.全消協新組織強化・拡大計画に基づき推進体制を確立し、各県に全消協組織強化・拡大対策委員を置き、年1回組織強化・拡大対策委員会を開催します。
  • 2.各ブロックに組織強化・拡大対策委員会を設置します。
  • 3.各ブロックに対し組織強化・拡大対策費を交付します。
  • 4.ホームページ・広報紙などを通じて未組織消防へアピールします。
  • 5.未組織消防職員に対して、研究集会・労働講座や各地域で開催される交流会、学習会、セミナーの参加を呼びかけます。
  • 6.消防職員委員会の運営実態に関する調査を継続し、自主組織の必要性を未組織消防へ呼びかけます。
  • 7.空白県の解消のため、1県1組織の結成に取り組みます。空白県のあるブロックはブロック幹事が中心となり、今年度の重点消防本部を選定し、同一ブロック内の組織強化・拡大対策委員と連携するなど、オルグ活動を集中します。
  • 8.1県1組織の県では、「年度内に一単協の結成」を目標に、ブロック幹事が中心となり、ブロック全体の協力でオルグ活動を集中します。
  • 9.各単協が未組織・未加入の消防職員を対象として、個別に組織拡大リーフレットや広報物などの配布を行うことを支援します。
  • 10.政令指定都市については、自治労の大都市共闘に消防職員の組織化に関する集会・会合を開催するよう働きかけます。
  • 11.定期的に組織拡大計画の実施状況について、幹事会で検証を行います。
  • 12.消防広域化問題で未組織消防職員との交流を通じて組織拡大を進めます。
  • 13.新規加盟単協については、組織強化・拡大対策委員が中心となって定期的に相談を受ける機会を設けるなどのフォローを行います。また、新規加盟単協の全消協加盟時の会費納入については、6ヵ月の猶予期間を置きます。
  • 14.消防行政問題や職場環境改善について研究し、消防当局とルールのある話し合いを確立することで単協の強化を促進します。

【自治労単組との連携】

  • 15.未組織消防のある自治労単組に対して次のことを要請します。
    • .消防職員組織化対策委員会などを設置すること。
    • .組合機関紙、各種ニュースなどを消防職場に配布すること。単組が主催するスポーツ、レクリエーション活動に消防職員の参加を呼びかけること。
    • .自治労組織と協力関係にある消防職場、あるいは、自主組織を結成しているところは、全消協への加入をめざすこと。
    • .円滑な消防職員委員会の運営を促進するため、消防職員への研修と組織化を一体として取り組むこと。
    • .組織化にあたっては、地方議員の支援体制を確立すること。
    • .自治労共済・労働金庫などの活用を推進すること。

【自治労各県本部・地連との連携】

  • 16.自治労各県本部・地連に対して次のことを要請します。
    • .消防対策委員会などの設置と機能強化をはかること。
    • .県消協の結成などを含め、県内消防職場の情報収集などについて積極的な取り組みを行うこと。
    • .消防職員委員会の実態把握および円滑な運営のための都道府県に対する窓口となること。

【自治労本部の消防対策委員会との連携】

  • 17.消防に関する情報提供と組織化に対する支援を求めます。また、団結権獲得後の組織のあり方、消防職員の組織の自立について、意見交換を深めます。

【消防職員委員会の活用】

  • 18.消防職員委員会制度を活用し、次のことに取り組みます。
    • .消防職員委員会制度の実態調査を継続し、民主的な消防職員委員会が実施され、実効力のある制度になるよう自治労と協力しながら総務省消防庁に働きかけます。
    • .積極的に地域住民や地域の各種団体などとの交流を行い、住民が望む消防行政サービスを把握し、課題点の共有化をはかるとともに、消防職員委員会の意見として消防行政に反映させていきます。
    • .消防職員委員会制度と全消協が求める団結権付与とは明らかに違うことを内外にアピールし、政府が消防職員委員会を盾に団結権を認めないことの逃げ道にしないようILOに対し継続的に訴えていきます。
    • .未組織消防本部へ積極的にオルグ活動を行い、消防職員委員会をより有効に活用するためにも、自主組織の発足を促します。

【協議会活動を担う人材の育成】

  • 19.消防職場における労働問題の自主的解決能力の向上や職場環境の改善などに役立ち、将来においての各単協及び全消協運動を活性化し、中心的役割を担っていく人材を育成するために労働講座を開催します。
  • 20.現在、年2回開催している労働講座は、12月を従来同様の労働講座(初心者向け)とし、3月には「リーダーセミナー」(単協の会長・事務局長クラスを対象)を開催します。

【訴訟支援体制の強化】

  • 21.賃金・労働条件、安全衛生や労災など各種の訴訟を単協が取り組む場合は、当該単協の主体的な取り組みを前提に、具体的な支援について幹事会で決定し提起します。
  • 22.松戸市消協の取り組んでいるパワーハラスメント損害賠償請求訴訟についてはカンパによる財政支援を予定し、取り組みの開始時期・目標額などは幹事会の決定に委ねるものとします。無賃金拘束時間問題での訴訟を準備している四日市市消協に対しては、提訴時点でカンパ等の支援を幹事会で決定します。

【ユース部の設置】

  • 23.全消協に「ユース部」(35歳までの男女会員で構成)を設置することを検討し、若年会員の交流機会の提供を図ります。単協・県消協レベルでは自治労単組青年部との交流に取り組みます。
  • 24.PSI-JCに設置されるユースネットワークに参加します。ユース代表を選出し、幹事会の特別幹事に位置付けます。

【女性連絡会の活動強化】

  • 25.女性連絡会を設置し、女性会員の主体的な活動を進めるとともに、男女がともに担う協議会活動と男女平等の職場・社会をつくる取り組みを進めます。女性連絡会の代表者を幹事会の特別幹事に位置付け、女性連絡会の活動を全体化します。
  • 26.2009年5月に実施した女性会員アンケートを活用し、女性職員の積極的採用とそのための職場改善、セクシュアル・ハラスメント防止の徹底などに取り組みます。
  • 27.男性が多数を占める職場に働く女性消防職員の情報交換、交流を進めるため、メーリングリストを開設します。

【団結権獲得を展望した組織・財政の確立】

  • 28.団結権の獲得は全消協の最大の運動目標ですが、法的に団結権が認められている労働組合には、組織運営のルールの面で「自主組織」より厳しい要件が課されており、財政もより強固なものとすることが求められます。政権交代が実現すれば団結権獲得が現実のものとなると言われていることから、必要な組織的整理を進めます。このため、第2号議案「全消協の組織・財政確立の中長期課題について(組織討議案)」の組織討議を進めます。
  • 29.単協の財政基盤を強化するため、近隣自治労単組の組合費水準を基本目標に単協会費の見直しを検討します。
  • 30.全消協会費は当面現行水準を維持し、会費節減と効率的財政執行、会計の透明化と監査機能の強化を進めます。

【機関運営の改革】

  • 31.活動サイクルを2年とし、定期総会は活動方針と役員改選を行う「基本年総会」(暦年奇数年)と活動方針の補強を行う「中間年総会」(暦年偶数年)に区分します。

(3) 賃金・労働条件改善の取り組み

労働基本権制約の「代償措置」とされる人事院勧告制度が廃止されようとしているなか、自治体労働者の賃金・労働条件は労使で決定される方向にあります。労働者にとって賃金や労働条件に関する問題は、最も基本的かつ重要なものです。全消協は、労働基本権を全面的に否定されている中にあって、自治労と連携し賃金・労働条件の改善に取り組みます。

私たちの消防職場では賃金や労働条件において、消防当局の恣意的な運用例が数多く存在しています。さらに、近年の一般職員の勤務時間短縮の動きは、交替制の消防職場にも大きな影響を与え、24時間拘束の職場実態は変わらないまま勤務時間の増減が行われ、一般職員と交替制職場である消防職員との格差は広がるばかりです。その代表例が無賃金拘束時間の問題です。

全国の消防職場の多くは24時間一昼夜交替勤務であり勤務時間は16時間、残り8時間は賃金保障や手当の支給が一切ありません。24時間出動体制に備え、かつ休憩時間の原則を適用除外された消防職場の「休憩」は、労働基準法上の定義する「元気回復のための労働からの解放」とはその意味が大きく異なるものです。近年、消防職場と類似する職種の「休憩」について労働時間性を認める判例が相次いで示されています。しかし総務省消防庁は、「消防職場においては、指令係員を配置し休憩時間の出動に備える一方、労働基準法第33条3項で定めるように民間企業とは実態が異なる」との見解を変えていません。

休憩時間の取り扱いでは、2003年消防庁消防課長206号通知「消防職員の勤務時間等の適正な管理と運用について」は、消防職場に大きな影響を与えました。とりわけ「休憩時間の繰り上げ・繰り下げ」は、災害対応を第一とする消防職場の勤務実態とはかけ離れており、労働基準法の労働条件明示義務に反する違法性の高い運用になっています。

能力・実績に基づく新たな人事評価制度が消防職場にも導入されていますが、評価システムが消防職場で適正に運用されるためには労働基本権の付与が不可欠です。制度の導入に際しては、的確な評価を行うことで仕事の能率を向上させ士気を高める制度となるよう取り組みます。

再任用制度が消防職場にも2007年4月から導入されました。しかし、この制度は消防の組織や職種、業務などの面からさまざまな問題を抱えており運用が進んでいません。退職者本人が再任用を希望し現職員の多くが採用を望んだにもかかわらず、不採用となったとの事例が複数報告されており、当局側の恣意的な運用が行われている可能性があります。再任用制度が適正に運用され、退職者が知識や経験を活かせられる消防の職種にはどのようなものがあるか、他の職種への配置転換についても関係団体と協議しながら課題の精査を行います。また、定年延長となった場合の業務内容、人事のあり方、賃金および福利厚生等について研究を行います。

全消協は、消防業務の特殊性を考慮した基本賃金のあり方、その他の労働条件に関しても、活力あふれる職場を作るための環境整備と、仕事に対する「正当な評価」を求め、加盟単協と一体となって、次の運動を進めていきます。

【賃金・労働条件の改善】

  • 1.消防職員の賃金・労働条件改善に自治労と連携して取り組みます。
  • 2.消防職員の基本賃金及び諸手当のあり方について研究を進めます。賃金・諸手当の改善事例を収集し、その情報提供に努めます。
  • 3.一般職員との賃金格差が生じないよう積極的に情報交換を行い、昇給・昇格が不利益のないような制度の整備を求めます。
  • 4.勤務時間や休日数などでの日勤者との格差、交替制勤務者間での格差が生じないよう制度の整備を求めます。勤務形態・労働時間の改善事例を収集し、その情報提供に努めます。

【無賃金拘束時間への取り組み】

  • 5.国に対し、休憩時間にかかる基本原則適用除外を定める労働基準法施行規則の見直しと深夜を含む労働の総量と深夜勤務の回数制限を設けるよう求めます。
  • 6.自治労と連携し、自治労委員長と総務大臣との勤務時間等に関する定期協議などを通じた行政対策や、協力国会議員と問題共有化をはかるなど国会対策に取り組みます。
  • 7.人事委員会・公平委員会に対する措置要求、また、訴訟等の動きがある単協の情報収集に努め、支援協力体制の確立をはかります。
  • 8.消防職員の仮眠休憩時間の出動実態調査を実施し、加盟単協と情報の共有化をはかれるよう努めます。
  • 9.単協はシフト制の導入など勤務制度の研究を行い、無賃金拘束時間を可能な限り短縮するよう求めます。

【勤務時間制度の改善】

  • 10.変形労働時間制の期間は、「1ヵ月以内」を原則とし、使用者による恣意的な週休の振替運用については是正を求めます。
  • 11.労働時間配分の明確化をはかり、休憩時間内の労働(出動など)に対して時間外勤務手当の支払いを求めます。
  • 12.時間外勤務の縮減を求めるとともに、恒常的なサービス残業を廃止するよう求めます。
  • 13.勤務時間外における恒常的・定期的な業務命令(予防査察・救命講習・訓練など)を撤廃し、これらの業務が、適正な人員配置のもと通常勤務のなかで円滑に遂行できる体制を求めます。

【人事評価制度への取り組み】

  • 14.新たな人事評価制度の導入にあたっては、会員自らが制度設計段階から関与・参画し、納得できるシステムづくりを求めます。

【再任用制度への取り組み】

  • 15.すべての消防本部に再任用制度が導入されるよう取り組みます。
  • 16.すでに再任用制度が運用されている消防職場の実態の収集と情報の共有化をはかります。
  • 17.希望者全員の採用に向けて関係団体と協議しながら職場の確保をはかります。
  • 18.現職時における再任用に向けた研修制度の充実について研究を行います。
  • 19.再任用職員が長年培った知識、技術、経験を有効に発揮できる職種や業務について研究を行います。また現職員にとって、再任用職員との職種や業務の分担について要望などがあるか調査します。
  • 20.定年延長となった場合の業務内容、人事のあり方、賃金および福利厚生等について研究を行います。

(4) 労働安全衛生の確立

基本的人権の保障された社会とは「健康」で「安心」して「安全」に暮らせることであり、人間の命と尊厳を中心とし笑顔が咲き誇る暮らしのありかたです。労働者の健康と安全を守り、働きがいのある仕事・職場にしていくことは、労働者の尊厳ある労働(ディーセントワーク)のための最も基礎的な要件です。労働安全衛生活動は、団結権の無い消防職場においても合法的にできる活動であり、労働安全衛生法を最大限に活用した取り組みを進めます。

消防業務は長時間拘束や交代制勤務、深夜勤務を伴い、常に相手の状況に合わせて働くケア労働です。この労働条件下で質の高い公共サービスを提供するためには、労働安全衛生委員会の活動を強化し安全で快適な職場環境を整備することが必要です。

消防職員の公務中における死者や負傷者の発生する割合は、その職務の特殊性から他の行政職員と比較しても高い水準となっています。訓練時において、災害時の負傷者数を上回る現象がここ数年続いています。また災害現場活動で多くの仲間の命が危険にさらされています。労働災害が起こらないよう安全管理体制の確立に取り組むとともに業務に起因して発生した死傷病については、公務災害の認定を求めます。

厚生労働省の調査によれば、働く者の6割が仕事でストレスを感じ、4割以上が健康ではないと感じています。とりわけストレスや過重労働に起因するストレス性疾患が増えています。全消協の2008年度労働条件等調査結果によると、前回調査よりも改善はみられるものの職場ストレスが増えていると回答した単協が54%と半数を占め、メンタルヘルス対策を実施している単協は44%と実施していないと答えた49%を下回っています。メンタルヘルスの必要性について行われたアンケート調査においても、職員と当局では、その必要性の認識が大きくかけ離れていることから、全消協としてストレス対策のさらなる研究と普及啓発活動に取り組みます。

これらの活動を自治労や自治体安全衛生研究会とともに推進します。

【労働安全衛生法の活用】

  • 1.厚生労働省に対し、消防業務を労働安全衛生法施行令の中で明確に位置づけるため、第3条(安全管理者を選任すべき事業所)、第8条(安全委員会を設けるべき事業所)の改正を求めます。
  • 2.安衛法の趣旨を活かし、民主的で職員一人ひとりが積極的に参画できる労働安全衛生活動を推進します。
  • 3.消防職場の労働安全衛生については、その職場で働く職員の意見や経験を尊重するとともに、医師、有識者、自治労関係者など、広範囲な専門家の参画により基準の見直しを行うよう求めます。
  • 4.私たちが従事する現場活動には、あらゆる危険性が潜在しています。現場活動時の安全管理はもとより、訓練中の安全管理にも細心の注意を払うとともに、健康で働きやすい職場の環境整備をはかるため、必要な情報の提供・安全衛生教育の徹底・資器材の整備充実を、消防当局に求めます。また、開発された機械・器具が早期に消防職場に導入されるよう求めます。
  • 5.深夜業務に従事する職員の健康診断については、安衛法に基づいた適正な健康診断を行わせるとともに、その実施についても業務の一環として受診させるよう活動を進めます。
  • 6.労働安全衛生委員会への女性の参画を促進し、「男女がともに担う安全衛生活動」を確立します。
  • 7.消防職員が24時間職場に拘束されるなかで、福利厚生の充実は必要不可欠であるとの認識に立ち、食堂やリラックスできる休養室の整備、個人のプライバシーが守られる仮眠室の個室化などを求めます。

【労働災害・公務災害対策】

  • 8.労働災害が発生しないよう職場の安全管理体制を確立します。
  • 9.職員が療養する必要が生じた場合、安心して治療に専念できる体制づくりを求めます。また、職場復帰時からフルタイムで働くことが困難な場合、就業場所や業務内容の変更、規則の制定による段階的な職場復帰が出来るよう、健康に配慮した体制づくりを研究します。
  • 10.業務中や業務に起因して発生したと思われる傷病などについては、すべて公務災害認定請求を行うよう活動を進めます。

【メンタルヘルス対策】

  • 11.メンタルヘルス対策として次のとおり取り組みます。
    • .一次予防(職場の民主化・活性化、参加型安全衛生活動によるストレス・過労対策・快適職場づくり、厚生施設の整備・充実やサークル支援など福利厚生活動の充実、地域社会活動の推進と支援)
    • .二次予防(早期対策・早期治療のための利用しやすい相談体制の工夫・改善、リスナー・カウンセリングマインド研修等実践的な研修の実施)
    • .三次予防(リハビリ勤務、慣らし勤務等による復帰のための猶予期間の保障、カウンセリング体制の継続など職場復帰・再発防止対策)
  • 12.メンタルヘルス問題を職場内で気軽に話し合える環境づくりを進めます。人権の尊重・プライバシーの保護を基本として、人事管理とは完全に切り離したカウンセリング体制の充実を求めます。
  • 13.本人や家族が惨事ストレスについて理解し、心身の変化を察知し、研修・担当職員の養成などに努めます。
  • 14.メンタルヘルス専門家を活用できるよう関係機関などと協力関係を築きます。

【自治体安全衛生研究会との連携】

  • 15.消防職場で労働安全衛生活動を推進するため自治体労働安全衛生研究会の活動に積極的に参加し、単協での活動に活かせるように取り組みます。
  • 16.各地で発生した公務災害について、その実態を明らかにするよう取り組みます。また、その情報を全国に発信し共有化をはかるとともに、その防止策について研究します。

(5) 男女平等参画社会実現の取り組み

2005年12月の男女共同参画第2次計画策定、2007年4月における改正男女雇用機会均等法の施行、パート労働法の改正(2008年4月施行)など、国の制度における男女平等参画の取り組みは課題を持ちつつも着実に前進しており、少子・高齢社会を迎えるなか、「仕事と生活の調和」において男性の働き方の見直しを含むさまざまな議論が進んでいます。しかし、消防職場における女性の採用状況は、総務省消防庁の調査によれば、女性の消防職員は2007年4月1日現在で、消防職員3,134人(2.0%)、消防吏員2,387人(1.5%)にすぎません。女性消防吏員の配置についても予防、救急が多いなど偏りが見られます。このような状況にあるにも関わらず、今後の女性消防吏員の採用拡大の取り組みについての質問への回答は「積極的に実施していく」が40本部(5.0%)、「実施する予定はない」が174本部(21.6%)という実態にあります。消防職場への女性の採用を推進すること、施設や資機材など女性の働くことができる職場環境を整え、職員への男女平等の啓発やセクシュアル・ハラスメント防止などの教育を実施し、「男職場」であった消防職場を改革することが求められています。

男女平等参画は組織の活性化の要であり、経済・社会の持続可能性の基盤であることを基本に、男女平等参画は女性のみの課題ではなく、「仕事と生活の調和」の観点からも男性や基本組織の課題であることを認識する必要があります。職場や地域、協議会活動において男女がともに生き生きと活躍できる場の実現にむけ、全力で取り組みを進めます。

【雇用における男女平等の推進】

  • 1.男女共同参画社会基本法を踏まえ、あらゆる社会制度・慣行をジェンダー中立のものにするため、男女平等政策および職場における雇用平等推進にむけ、自治体・消防本部に要求を行います。
  • 2.女性職員の採用を求め、女性の勤務が可能となるよう、施設や資機材の改善など環境整備を求めます。採用・登用・配置をはじめとする男女間の処遇上の格差を是正し、雇用の全ステージにおける男女平等の職場づくりを推進します。
  • 3.人事院の「育児を行う職員の仕事と育児の両立支援制度の活用に関する指針」等を参考に、育児・介護を行う職員の早出遅出勤務制度を活用します。
  • 4.育児・介護を行う職員の超過勤務の制限を徹底します。また、育児のための短時間勤務制度について、条例化を進めるとともに実効性を高める取り組みを進めます。さらに、介護を行う職員のための短時間勤務制度の実現に取り組みます。
  • 5.地方公務員共済制度・事業について、性とライフスタイルに中立な制度設計を前提として、両立支援策や福祉事業などを充実するよう対策を進めます。具体的には、介護休暇全期間に関わる掛金の免除、育児休業・介護休暇に関わる休業給付金の支給水準・期間の改善、出産費・出産手当金の増額などを求めます。
  • 6.安全衛生委員会への女性の参画を促進し、男女がともに担う安全衛生活動を確立します。
  • 7.セクシュアル・ハラスメントをはじめモラル・ハラスメントやいじめ対策など、使用者責任を明確にしつつ、情報提供や予防対策、被害者救済対策に取り組みます。

【男女がともに担う全消協づくり】

  • 8.全消協の活動のすべての領域で女性の参加を促進し、男女がともに活動を担う運動作風をつくります。労働講座、研究集会には女性枠を設け参加を保障します。
  • 9.全消協の主催する会議・集会等でセクシュアル・ハラスメントの起こることのないよう、「セクシュアル・ハラスメント一掃宣言」に取り組みます。

【国際的な活動における男女平等の推進】

  • 10.ワークルールの改善、男女平等、均等待遇の推進などILO条約等国際条約の批准および遵守の取り組みを強めます。
  • 11.PSI規約に基づき、あらゆるレベルでの男女平等参画(ジェンダー・メーンストリーミング)をめざします。女性の協議会活動への積極的な参画、雇用における男女間格差の解消にむけて、同一価値労働・同一賃金と均等待遇実現運動に取り組みます。

(6)救急医療体制の確立

めまぐるしい社会変化の中で救急需要が増大し、傷病者を受け入れる医療機関の負担も大きくなり、特に夜間は医療機関も受入れ体制には限界があります。また、厚生労働省の医療改革に起因する慢性的な医師・看護師不足で病院のベッド数削減を余儀なくされ、救急隊の医療機関への連絡に長時間を要し、専門医のいる遠方の医療機関まで搬送せざるを得なくなっています。こうした背景の中、2009年4月24日に消防法及び消防組織法改正がされました。改正消防法では、都道府県単位に協議会を設置し、救急業務の実施基準を定め、傷病者の搬送および受入れの迅速かつ適切な実施が図れるよう消防機関と医療機関が合意しておくこととしています。

救急医療の現場では、救急隊員・医師・看護師の負担が増大しています。救急隊員は人命の救護・応急処置・病院搬送の任務を遂行する重責を担っており、出場件数の増加は救急隊員の身体的負担を招き、蓄積した疲労は予期せぬ事故を引き起こすことにもなりかねません。また近年、凄惨・悲惨を極める事件や事故が多発しています。PTSDやCISなど身体的症状を訴える救急隊員も少なくありません。メンタルヘルスに対応できる職場環境が必要です。

救急救命士の処置拡大に伴う専門教育・研修が長期にわたり、職場では人員不足が常態化しています。高度な知識・手技を取得した救急隊員を効果的に運用することが必要不可欠ですが、確立された業務の遂行を図るためには人員の充足率を高める必要があります。救命士は、医師の具体的指示下での特定行為を行っていますが、地域によって対応できる病院が限られるなど問題が発生しています。救急隊員が行う応急処置の質を保証するためにも各都道府県、医療圏そして地域におけるMC体制の充実・強化が必要です。

また、救急救命処置を有効に機能させるためには、消防救急が地域医療機関と連携し、相互理解を深めるためにも“顔の見える”関係を構築する必要があります。全消協は、消防救急の抱える問題点を明確化し、救急救命士制度の効果的な運用と救急隊員の質的向上をめざし、地域住民、地域医療を担う労働者、消防救急が一体となり、消防救急の充実に向け関係各省庁に対して働きかけます。

【改正消防法への対応】

  • 1.国に対し次のことを求めます。
    • ①.都道府県に対するガイドラインは消防職員の現場の声を尊重し、作成すること。
    • ②.医療機関が対等に検証するシステムを作ること。
    • ③.都道府県協議会の運営状況を把握するとともに、十分機能するよう指導および支援を行うこと。
    • ④.厚生労働省は国民が平等に医療を受けられ、また搬送時間が長時間とならないよう、適正な病院の配置と医師・看護師の確保をすること。
    • ⑤.制度改正に伴い国は都道府県や市町村に必要な財政措置を行うこと。
  • 2.都道府県に対し次のことを求めます。
    • ①.協議会に現場で活動している消防職員の意見を反映させること。
    • ②.都道府県は協議会を設置するに当たって各地域MCと連携し、医療機関と消防機関との合意をはかること。
  • .協議会に現場で活動している消防職員の意見を反映させること。
  • .都道府県は協議会を設置するに当たって各地域MCと連携し、医療機関と消防機関との合意をはかること。
  • 【救急業務の充実】

    • 3.消防救急の充実、救急隊員の労働安全の確立を図るため職員の増員を求めます。
    • 4.コールトリアージ、フィールドトリアージのあり方の研究を進めます。
    • 5.MC体制の地域格差を解消するために関係機関に求めます。
    • 6.NBC災害や新型インフルエンザ等の特異的事象に対応するための情報の提供や装備の充実を図るよう求めます。

    【地域医療とのかかわり】

    • 7.地域医療機関の開催する勉強会や症例検討会には積極的に参加するとともに、医師・看護師とのコミュニケーションを図ります。

      また地域活動への参加にあたっては、業務なのか任意なのかを明確にさせ、業務である場合は時間外手当や交通費などの支給を求めます。

    • 8.地域の救急医療の拡充のため、自治労衛生医療評議会との連携を強めます。

    (7) 消防の広域化への対応

    行政の広域化の是非は、住民の人口動向・生活圏・地形・交通などの事情による広域化の必要性の有無が明らかにされ、住民の自主的な意思に基づいて判断される必要があります。国は「管轄人口30万人規模」を一律的な基準とし、消防力の地域間格差の是正を名目に広域再編を進めていますが、小規模消防の対応力を強化するには、安易な広域化では根本的解決にはなりません。

    全消協では、1990年5月のILO「消防職員の雇用および労働条件に関する合同会議」の結論に基づき総務省消防庁に対して、①広域再編を進めるにあたっては不必要な広域化は進めるべきではない、②住民サービスを現状より低下させない、③職員の削減や労働条件の悪化を伴わない、の3項目について自治労を通じ申し入れを行ってきました。国は消防の広域化に際し、「署所・人員の削減はしない」としていますが、地方自治体の逼迫した財政状況から広域化後の大幅な人員削減が懸念されます。それは、住民サービスの大幅な低下を招くことを意味しています。

    消防・救急無線のデジタル化は、莫大な費用を要することから財政難にあえぐ地方自治体では単独での整備は困難であり、結果として消防の広域化を強いるものとなっています。国はデジタル化のための新たな財源を地方の起債に求めていますが、国、都道府県、市町村相互が対等の立場で財政負担を行うべきです。

    行財政運営の効率化のみに主眼が置かれた消防の広域化に対し、公共緊急サービスである消防行政を担う消防職員として、その社会的使命を再確認したうえで、地域実情に即した消防サービスのあり方を求めていかなければなりません。「広域化ありき」ではなく、自治労・関係議員・各種団体との連携を通じ、都道府県が定める推進計画、広域化対象市町村が定める広域消防運営計画策定に関与し、広域化が地域の防災力を高める有効な手段となるよう提言し、消防の広域化に対し主体的に対応していく必要があります。

    【国に対する取り組み】

    • 1.広域化の推進にあたっては、自治体への財政支援を行うよう求めます。
    • 2.消防・救急無線のデジタル化については、導入にともなう費用を国が応分の負担をするよう求めます。

    【自治体に対する取り組み】

    • 3.広域化の推進にあたっては、管轄人口規模や財政の効率化のみを主な判断基準とするのではなく、住民サービスの低下を招かぬよう住民の生活圏・消防需要の動向・住民の意思などを総合的に踏まえることを求めます。
    • 4.地域住民と現場の消防職員に情報を開示し、意見反映をはかることを求めます。
    • 5.消防職員の雇用、賃金・労働条件など処遇が不利益とならないようにすることを求めます。

    【広域化対策委員会の取り組み】

    • 6.都道府県および広域化対象市町村が定める広域消防運営計画への対応については、県消協および広域化該当単協に「広域化対策委員会」を設置し、次のとおり取り組みます。
      • .県消協および各単協と、広域化に関する情報の収集・提供を行います。
      • .地域住民・各種団体・未組織消防に対し、広域化に関する情報の収集・提供を行います。
      • .広域消防運営計画策定に際し、自治労各県本部・単組・組織内議員・協力議員と連携して各自治体当局に意見反映を行います。
      • .自治労県本部・単組と連携し、広域化を契機に未組織消防への組織拡大を図るよう取り組みます。また広域化により単協が多数派の未組織職場に埋没することがないよう取り組みます。

    (8) 質の高い消防サービスの実現

    全消協は、よりよい消防サービスを確立するために、1994年度全国懇談会(現研究集会)において「地域安心・安全センター構想」を提起し、その確立に取り組んできました。

    「地域安心・安全センター構想」は、現行の消防力をフルに活用することのみにとどまらず、24時間開庁職場であることや消防の特性を生かすとともに、社会的対話を実現し、地域の行政機関や福祉・保健・医療機関などと連携し、総合的に情報やサービスを提供できる行政機関をめざそうという発想に基づいて提案されたものです。役所窓口が閉庁した後の住民票の交付や地域住民のよりどころとなるコミュニティー機能を備えた庁舎の提案、ボランティア活動を活用した防災コミュニティーづくりを推進するとともに住民ニーズの把握・反映に取り組んできました。

    今後、この構想への取り組みをさらに具体化させ、PSIの「質の高い公共サービス(QPSキャンペーン)」の一環として質の高い消防サービスの実現に取り組みます。PSIは、「質の高い公共サービスは人権」であり、「質の高い公共サービスは、質の高い労働者が、質の高い条件の下でサービス利用者が常に質の高さを望めるような財源を伴ってこそ提供が可能になる」ことをゆるぎない信念としています。これは全消協の方針と同質であり、全消協活動を推進することが、質の高い消防サービスに繋がります。

    質の高い消防サービスの基礎となるのは消防力であり、その基本となるのが人員です。人員が充足され、平等に高い教育を受ける機会を持つこと、そして、その力がスムーズに発揮できる車両や資機材、システムおよび組織体制、消防予算が必要です。しかし、各自治体消防が整備すべき基準値は、「消防力の基準」から「消防力の整備指針」と改正され、「最低基準」から「整備すべき目標」となりました。さらに地方財政悪化の影響により、十分な消防予算が担保されず、条例定数の削減や最低人員の切り下げが平然と行われています。また、広域化の推進により、消防組織は効率化をめざし地域に根付いた住民本位の消防行政を崩壊させる危険性があります。

    全消協は、根本的問題である消防予算の確保、住民本位の消防行政の確立をめざし「質の高い消防サービス」の実現への取り組みを推進します。

    【質の高い消防サービスの実現への取り組み】

    • 1.単協・県消協は、地域住民にアンケートを実施し、住民ニーズの把握に努めます。
    • 2.単協・県消協は、積極的に地域住民との交流の機会を設け、消防行政について検証・評価し、課題を共有します。
    • 3.単協・県消協は、住民アンケートで抽出された課題について、地域住民と協働した活動を推進します。
    • 4.単協・県消協は、大規模災害時における自助・共助の重要性について協議を行い、地域における防災コミュニティーづくりに取り組みます。
    • 5.単協・県消協は、医療、福祉、保健、教育機関などと連携・協力し質の高い消防サービス実現に取り組みます。

    【消防力の整備指針への取り組み】

    • 6.単協は、消防当局および各自治体首長に現在の消防力および整備すべき目標について市民に対し十分に情報公開することを求めます。
    • 7.県消協は、県内すべての消防本部の消防力の整備状況を把握し、消防力の地域間格差が拡大しないよう各自治体および消防長会に要望します。
    • 8.全消協は、総務省消防庁に対し、自治労や民主党消防政策議員懇談会と連携し、全国的な消防力に関する課題提起を行います。消防力整備における国の責任を明確にさせるとともに、相応の予算措置を求めます。

    【自治研活動への参画】

    • 9.単協・県消協は、自治労単組や県本部と連携し、自治研活動に積極的に参画します。
    • 10.全消協は、先進的事例を収集し、分析・検討を行うとともに、研究集会において政策提起します。また、自治労の主催する自治研集会に積極的に参画し、連携・共有を図ります。
    • 11.全消協は、会員をはじめ各方面から幅広く、消防行政の将来的展望について意見の提供を求めます。

    【国際連帯活動の推進】

    • 12.全消協は、質の高い消防サービスの優れた事例についてPSIに情報発信し、国際的なネットワークづくり・国際連帯を推進します。

    (9)国際連帯活動の推進

    全消協は日本の消防職員の団結権獲得など目標を掲げ、ILO(国際労働機構)に訴える活動においてPSI(国際公務労連)の支援を受けてきましたが、いまだ目標達成に至っていません。国際社会の中で共通の課題や諸問題解決のために連帯し、世界から日本に対して訴えていくことは全消協の目標達成には必要不可欠で、幅の広い活動となります。全消協はPSIの活動を通して、国際ステージでより積極的に自らの問題について発言し、日本での消防職員の団結権獲得や世界の公共部門労働者との連携を図り、権利獲得や労働問題解決への取り組みの一翼を担います。

    PSIは基礎的公共サービスが人間らしい生活を営む上で必要であり、貧困の解決と社会格差の解消に有効であることを再評価し、「質の高い公共サービス」グローバル・キャンペーンを展開しています。全消協も市民の安心・安全を保障する消防行政の実現を図るための取り組みを、権利獲得と労働条件改善の取り組みと一体のものとして推進します。また、PSIが重視しているジェンダー平等の取り組みを、全消協の活動のあらゆる領域に適用するとともに、男女平等の働きやすい消防職場づくりを推進します。

    自治労が設立に協力した国際協力事業のNPO「エファジャパン」の、子どもの権利を実現するための活動を支援し、会員のボランティア活動への参画と国際連帯の活性化を図ります。

    【国際公務公共サービス労働運動の発展・強化の取り組み】

    • 1.日本の消防職員の団結権問題について、PSIの諸活動の場において訴え、国際労働運動の注目と国際世論の喚起に努めます。
    • 2.PSI-JC(PSI日本加盟組合協議会)の活動を積極的に担い、日本におけるPSI加盟組合の拡大など組織強化に寄与します。
    • 3.連合が重点とする、ILO94号条約(公契約)、105号条約(強制労働廃止)、111号条約(差別待遇禁止)、149号条約(看護労働)、183号条約(母性保護)など未批准条約の批准促進にむけ、自治労、連合とともに取り組みます。

    【「質の高い公共サービス」実現の取り組み】

    • 4.「PSIグローバル政策と戦略目標2008-2012」に基づいて、質の高い公共サービスを守り発展させることを目標に、社会格差の解消、貧困撲滅、公共サービス労働者の労働基本権確立、公共サービスの市場化反対、男女平等参画などの運動の活性化をはかります。

    【青年・女性の活動強化】

    • 5.PSI-JC女性委員会の活動に、女性連絡会を中心に参加します。またPSI-JCが設置を進めているユース(若年男女)の交流活動に参加します。

    【アジア・太平洋地域を中心とする国際連帯の取り組み】

    • 6.2008年10月に設立されたPSIアジア太平洋地域「消防・救急労働者ネットワーク」に参加します。全消協からコーディネーターに吉川大介幹事を選任し積極的に活動を担います。
    • 7.毎年、韓国で開催される「日韓労働組合交流会」に参加します。
    • 8.PSIアジア太平洋地域の消防職員との情報や意見交換を図り、「消防・救急労働者ネットワーク」を拡大します。

    【国際協力・連帯の強化】

    • 9.エファジャパンの活動を支援し、全消協の会員、単協の参加を呼びかけます。

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