活動方針

2014-2015年度活動方針

の充足率を高める必要があります。

全消協は、消防救急の抱える問題点を明確化し、救急救命士制度の効果的な運用と救急隊員の質的向上を目指すため、地域住民、地域医療を担う労働者、消防救急が一体となり消防救急の充実にむけ関係省庁に対して働きかけます。

【改正消防法への対応】

1. 国に対し次のことを求めます。

① 都道府県協議会の運営状況を把握するとともに、十分機能するよう指導および支援を行うこと。

② 厚生労働省は国民が平等に医療を受けられ、また搬送時間が長時間にならないよう、適正な病院の配置と医師・看護師の確保をすること。

③ 制度改正にともない、都道府県や市町村に人員確保に必要な財政措置を行うこと。

2. 都道府県に対し次のことを求めます。

① 協議会に現場で活動している消防職員の意見を反映させること。

② 都道府県は協議会を設置するにあたって各地域MCと連携し、医療機関と消防機関との合意をはかること。

【救急業務の充実】

3. 消防救急の充実、救急隊員の労働安全の確立をはかるため、適正な職員配置を求めます。

4. コールトリアージ、フィールドトリアージのあり方の研究を進めます。

5. MC体制の地域間格差を解消するよう国に求めます。

6. NBC災害や新型インフルエンザ等の特異的事象に対応するための情報の提供や装備の充実をはかるよう求めます。

【地域医療との関わり】

7. 地域の救急医療の拡充のため、自治労衛生医療評議会との連携を強めます。

(8) 消防の広域化への対応

 2012年9月の広域化に関する中間答申を受け、2013年4月「市町村の消防の広域化に関する基本指針(通知)」で、消防広域化に伴う各自治体に対する財政支援強化策が告示されました。これは消防広域に伴う消防庁舎の建設、高機能通信指令室の整備及び車両の購入など地方交付税の措置率を一律70%まで引き上げるといった内容が含まれ、広域化推進期間については5年延長となりました。

広域化は地域の実情や実態、職員の労働条件の統一化など諸課題が山積しており、安易にハード面での支援策のみで実施できるものではありません。全消協としては1990年5月のILO「消防職員の雇用及び労働条件に関する合同会議」の結論に基づき、総務省消防庁に対して、①広域再編を進めるにあたっては不必要な広域化は進めるべきではない、②住民サービスを現状より低下させない、③職員の削減や労働条件の悪化を伴わない、の3項目について自治労を通じ申し入れを行ってきました。しかし今回の発表で各自治体が財政的メリットのみを追求し、住民サービスを低下させる恐れがあります。

また、これまで消防広域化と消防・救急無線のデジタル化は別だと国は主張してきました。しかし、今回の告示にもあるように、やはり広域化と消防・救急無線のデジタル化をリンクさせ推進していく方向性がはっきり出てきました。

我々は公共緊急サービスである消防行政を担う消防職員として、社会的使命を再確認したうえで、地域実情に即した消防サービスのあり方を求める必要があります。自治労・関係議員・各種団体との連携を通じ、各都道府県が定める広域消防運営計画策定に積極的に関与し、広域化が地域住民サービス向上に繋がる有効手段となるよう提言し、対応していく必要があります。

【国に対する取り組み】

1. 広域化の推進にあたっては、地域実情に即した広域化であるよう提言します。

【自治体に対する取り組み】

2. 広域化の推進にあたっては、管轄人口規模や財政効率化のみを主とした判断基準ではなく、地域実情を踏まえ住民サービス向上を主とした計画を進めるよう提言していきます。

3. 地域住民と現場職員の情報を開示し、意見反映を図ることを求めます。

4. 消防職員の雇用、賃金、労働条件など処遇が不利益とならないよう求めます。

【広域化対策委員会の取り組み】

5. 都道府県が定める広域推進計画及び広域化対象市町村が定める広域消防運営計画への対応については、県消協及び広域化該当単協に対策委員会を設置し、次の通り取り組みます。

① 県消協及び単協と、広域化に関する情報の収集・提供を行います。

② 地域住民・各種団体・未組織消防に対し、広域化に関する情報の収集・提供を行います。

③ 広域消防運営計画策定に際し、自治労各県本部・単組・組織内議員・協力議員と連携して各自治体当局に意見反映を行います。

④ 自治労県本部、単組と連携し、広域化を契機に未組織消防への組織拡大を図るよう取り組みます。また広域化により単協が多数派の未組織職場に埋没することがないよう取り組みます。

(9) 質の高い消防サービスの実現

 全消協は、PSIの「質の高い公共サービス(QPSキャンペーン)」の一環として質の高い消防サービスの実現に向け消防力の地域格差の解消に自治労や民主党消防政策議員懇談会と連携し取り組んできました。PSIは、「質の高い公共サービスとは、質の高い労働条件下で働く質の高い労働者が提供するものであり、人間として尊厳を保つことのできる社会をつくり出すための必須要件に他ならない」と定義し、「質の高いサービスは人権である。さらに質の高いサービスは、質の高い労働者(良く教育され、公共部門の倫理観を備えた)が質の高い労働条件の下で、そしてサービス利用者が常に質の高さを望めるような財源を伴ってこそ初めて提供が可能になる」ことをゆるぎない信念としています。これは全消協の方針と同質であり、全消協活動を推進することが、質の高い消防サービスに繋がります。

質の高い消防サービスの基礎となるのは消防力であり、その基本となるのが人材育成です。人員が充足され、平等に高い教育を受ける機会を持つこと、その力が遺憾なく発揮できる車両や資機材、システムおよび組織体制、消防予算が必要です。しかし、各自治体消防が整備すべき基準値は、「消防力の基準」から「消防力の整備指針」と改正され、「最低基準」から「整備すべき目標」となりました。地方財政悪化の影響により、十分な消防予算が担保されず、条例定数の削減や最低人員の切り下げが平然と行われています。全消協は、根本的問題である消防予算の確保、住民本位の消防行政の確立をめざし「質の高い消防サービス」の実現への取り組みを推進します。

【質の高い消防サービスの実現への取り組み】

1. 県消協・単協は、住民ニーズの把握に努め地域住民と協働した活動を推進します。

2. 県消協・単協は、積極的に地域住民との交流の機会を設け、消防行政について検証・評価し、課題を共有します。

3. 県消協・単協は、大規模災害時における自助・共助の重要性について協議を行い、地域における防災コミュニティーづくりに取り組みます。

4. 県消協・単協は、医療、福祉、保健、教育機関などと連携・協力し質の高い消防サービス実現に取り組みます。

【消防力の整備指針への取り組み】

5. 単協は、消防当局および各自治体首長に現在の消防力および整備すべき目標について住民に対し十分に情報公開することを求めます。

6. 県消協は、県内すべての消防本部の消防力の整備状況を把握し、消防力の地域間格差が拡大しないよう各自治体および消防長会に要望します。

7. 全消協は、総務省消防庁に対し、自治労や民主党消防政策議員懇談会と連携し、全国的な消防力に関する課題提起を行います。消防力整備における国の責任を明確にさせるとともに、相応の予算措置を求めます。

【自治研活動への参画】

8. 県消協・単協は、自治労単組や県本部と連携し、自治研活動に積極的に参画します。

9. 全消協は、先進的事例を収集し、分析・検討を行うとともに、研究集会において政策提起します。また、自治労の主催する自治研集会に積極的に参画し連携・共有をはかります。

10. 全消協は、会員をはじめ各方面から幅広く、消防行政の将来的展望について意見の提供を求めます。

(10) 国際連帯活動の推進

 全消協は日本の消防職員の団結権回復など目標達成には至っていないことから2012年11月第29回PSI世界大会において、消防職員の団結権を含む地方公務員制度改革二法案が審議未了のまま廃案となったことについて、法案成立を図る緊急決議案を提出し賛成多数で可決されました。国際社会のなかで共通の課題や諸問題解決のために連帯し、世界から日本に対して訴えていくことは全消協の目標達成には必要不可欠で、幅の広い活動となります。全消協はPSIの活動を通して、消防職員の団結権回復や世界の公共部門労働者との連携をはかり、権利獲得や労働問題解決への取り組みの一翼を担います。

PSIは基礎的公共サービスが人間らしい生活を営む上で必要であり、貧困の解決と社会格差の解消に有効であることを再評価し、「質の高い公共サービス」グローバル・キャンペーンを展開しています。全消協も市民の安心・安全を保障する消防行政の実現をはかるための取り組みを、権利獲得と労働条件改善の取り組みと一体のものとして推進します。また、PSIが重視しているジェンダー平等の取り組みや若年層の参画を、全消協の活動のあらゆる領域に適用するとともに、男女平等の働きやすい消防職場づくりを推進します。

全消協は、世界およびアジア諸国から注目されているとともに大きな期待が寄せられています。これらの期待に応えるため全消協は団結権回復をめざし、その活動が各国に波及していくよう国際連帯の活性化をはかります。

【国際公務公共サービス労働運動の発展・強化の取り組み】

1. 日本の消防職員の団結権問題について、PSIの諸活動の場において訴え、国際労働運動の注目と国際世論の喚起に努めます。

2. PSI-JCの活動を積極的に担い、日本におけるPSI加盟組合の拡大など組織強化に寄与します。

3. 連合が重点とする、ILO94号条約(公契約)、105号条約(強制労働廃止)、111号条約(差別待遇禁止)、149号条約(看護労働)、183号条約(母性保護)など未批准条約の批准促進にむけ、連合、自治労とともに取り組みます。

【「質の高い公共サービス」実現の取り組み】

4. 「PSI2013-2017行動プログラム」が示され、平等で公正な社会の基礎となる質の高い公共サービスの実現を目標に、社会格差の解消、貧困撲滅、公共サービス労働者の労働基本権確立、公共サービスの市場化反対、男女平等や若年層の参画など運動の活性化をはかります。

【アジア・太平洋地域を中心とする国際連帯の取り組み】

5. 2008年10月に設立されたPSIアジア太平洋地域「消防・救急労働者ネットワーク」に参加します。全消協からコーディネーターを選任し積極的に活動を担います。

6. 毎年、韓国で開催される「日韓労働組合交流会」に参加し、問題解決にむけともに活動します。

7. PSIアジア太平洋地域の消防職員との情報や意見交換をはかり、「消防・救急労働者ネットワーク」を拡大します。

8. 全消協は、質の高い消防サービスの優れた事例についてPSIに情報発信し、国際的なネットワークづくり・国際連帯を推進します。

9. PSI「質の高い公共サービス・グローバル・キャンペーン」と連携し消防職場のQPS活動を展開します。

(11) 女性連絡会の取り組み

 全国の女性消防職員は3,952人で、全消防職員の2.5%とまだまだ少数であり、残念ながら女性の進出が遅れている職場だと言わざるをえません。

少数であるが故に女性が声をあげることが難しく、消防当局や全消協執行部に意見が届きにくいという状況であったため、全消協では2007年第31回定期総会において全消協女性連絡会を創設し、女性の意見を積極的に求める体制づくりをスタートさせました。

男性が多数を占める職場で、女性職員が周囲の理解の不十分さや施設面での未整備、職域の壁、セクシュアル・ハラスメントや人間関係の難しさに直面しており、また、結婚・出産・育児など、将来への不安を抱えながら働いている現状があります。

これらの課題は女性職員にのみ該当するのではなく、男女がともに共有するべき課題だと考え、解決していくためには、女性会員も協議会活動に積極的に参加し、対等に発言していくことが不可欠です。女性連絡会では、男女問わず会員から広く意見を募り、継続的に女性職員の勤務状況の把握に努め、協力しつつ、協議会の枠にとらわれずに未組織の女性職員のサポートはもちろん、これから採用される職員のためにも、今まで以上に女性の意見に耳を傾け、それを反映していくことができる組織づくりを進めていき、男女がともに特性を発揮しながら働ける職場づくりをめざします。

【活動強化】

1. 男女がともに協議会活動を担う体制を確立し、男女平等の職場と社会を創造するため、女性連絡会の活動を強めます。

2. 女性同士の情報交換・ネットワーク作りのため、各ブロックの女性連絡会を強化します。また、全消協総会にあわせて、女性連絡会総会を開催し、全国の女性会員の意思統一を図ります。

【掲示板の活用】

3. 全消協HPにある女性連絡会の掲示板を活用し、女性を取り巻く環境の実態把握に努めます。

4. 女性連絡会の活動報告、学習会などの情報を発信します。

5. 会員からの意見・要望について、女性連絡会で検討し、全消協幹事会に対し問題提起を行います。

【職場改善】

6. 仮眠室や浴室、更衣室等の施設や被服等の個人装備及び各ハラスメントについてアンケートを用いた実態調査を行い、問題と課題を共有化し、男女がともに働きやすい職場環境をめざします。

【国際連帯活動の取り組み】

7. PSI-JC女性委員会およびユースネットワークの交流活動に参加します。

8. PSI規約に基づく、あらゆる活動での男女平等参画をめざし、女性の協議会活動への積極的な参画に取り組みます。

(12) ユース世代活動の推進

 全消協ユース部は、次世代への協議会活動の継承を基本とし、リーダー育成等を目的に2011年に設置されました。設置後においては、研究集会や労働講座に対して積極的な参加を推進し、基礎的な事項を中心に学習してきました。また、労働講座においてユース部枠を設け、ユース世代における協議会活動に対する考え方やリーダーとは何かを議論する活動を行うとともにユース世代の協議会活動に対する意識の現状を把握するため、アンケートを実施しました。

設置から2年が経過し、ユース部の認知度が上がるとともに、各種学習会等においても、ユース世代の参加率増加が認められ、次世代のリーダー育成を念頭に置いた活動を行うことがますます重要になっています。

このことから、ユース世代の意識改革をはかることが今後の協議会活動における原動力となっていくことは明確であり、全消協ユース部としては実施したアンケート結果を精査及び活用し、先達の築き上げてきた協議会活動を継承、また発展するようユース世代における活動の強化に取り組みます。

【ユース部活動の推進】

1. 全消協ニュース、ホームページ等を活用し情報発信の強化に取り組みます。

2. ユース世代が積極的に地域活動(ボランティア等)へ参加し全消協の知名度向上に努めます。

3. PSI-JCに設置されているユースネットワークに参加し、東アジア地域における消防組織を中心にPSI加盟諸国のユース世代との連携の強化を図ります。

4. 次世代のリーダー育成を念頭に置いた活動として、ユース世代の各種学習会への参加率向上を目的とし、ユース枠の新設等を検討します。

5. 各種学習会においてユース部主体の講座等を担い、ユース世代の意識向上及び改革に努めます。

6. アンケート結果から出た課題を分析し改善を図ります。

7. 各単協にユース世代の窓口を設け連絡体制を確立します。

8. ユース世代の活動の場を広めるため県消協や各単協にユース部設置を推奨するとともに、ユース世代のさらなる連携強化のため意見交換、交流を推奨します。

9. ユース世代の活動の現状を把握するため実態の調査を継続的に実施します。