PSI

PSIアジア太平洋地域消防ネットワークフォーラムin マニラ

2015年9月8日・9日の二日間、フィリピン・マニラ市にてPSIアジア太平洋地域消防ネットワークフォーラムが開催され、全消協から井戸副会長と仲野特別幹事が参加した。

このフォーラムは今年4月にタイ・バンコクにて開催されたアジア太平洋地域執行委員会(APREC)で開催が決定され、2016年10月に福岡にて開催されるアジア太平洋地域大会(APRECON)に向け、消防部門の提言を具体的に協議することを目的として開催された。

フォーラムに参加した国々は、アジア太平洋地域(以下、AP地域)から、日本、韓国、インド、パキスタン、フィリピン、オーストラリア、そして欧州を代表し、PSI本部の消防担当であるダニーロ・ズリアーニ氏(イタリア)が参加した。

冒頭、AP地域消防ネットワークコーディネーターを務める仲野特別幹事から開催の挨拶がおこなわれ、ラクシュミAP書記長より消防ネットワークフォーラムの開催についての趣旨説明がおこなわれた。

写真:開催の挨拶をする仲野特別幹事】

続いて、ILO地域担当の和田茂氏より、ILOの取り組みについての報告を受け、その後、参加各国の地域活動および現状についての報告があった。日本の現状について、全消協を代表し、井戸副会長が団結権問題やこれまでの活動経緯について説明をおこない、それに続き、韓国、オーストラリア、インド、パキスタン、フィリピンと各国の現状についての報告をおこなった。

また、PSI本部の消防部門の取り組みや欧州地域の現状について、ダニーロ・ズリアーニ氏から報告があった。各国の報告を受け、主要課題と取り組みに関する質疑討論をおこない、一日目が終了した。

【写真:ILOの取り組みについて報告する和田茂氏】

【写真:全消協を代表し日本の現状について報告する井戸副会長】

【写真:韓国FFDCのヤン・スンファン氏】

【写真:オーストラリアFUBUのジム・ケイシー氏】

【写真:欧州地域の現状について報告するダニーロ・ズリアーニ氏】

 

二日目は、一日目に出された各国の主要課題の整理作業をPSIオセアニア小地域担当のマイケル氏の進行でおこなわれた。その後、ラクシュミAP書記長より緊急事態および災害に関わるPSIの対応についての報告がおこなわれ、AP消防ネットワークの活用とPSI本部の取り組みとの連携について、参加者全員で協議した。

今回のフォーラムで協議した内容を踏まえて、APRECONに向けた提案がまとめられることが確認され、二日間の消防フォーラムが終了した。

【写真:参加者での記念写真】

 

○参加者の声 井戸章夫(全消協副会長)

PSI-AP消防ネットワークフォーラムの一日目にて、各国地域の取り組み報告の中で全消協としての取り組みおよび現状報告を行う予定であったが、通訳者との事前調整を図ったところ、法律関係および消防等の専門用語を通訳することが出来ない現状であったため、日本における全消協の活動経過および課題については参加者に配布している英訳済みの資料を後で読んでもらうこととし、私自身の消防人生を主軸とした協議会との出会い~日本の消防の閉鎖的環境および上意下達による協議会への理解不足~ILO87号条約および98号条約を批准しているにもかかわらず労働組合権が回復されていない現状~今日までの活動を発表した。

日本の全消協については、ILO87号条約および98号条約に批准しているにもかかわらず、労働組合権が回復されていない現状を解決することが第一の取り組みであることを訴え、解決策について各国参加者およびPSI関係者から「全消協としてこれまでの活動を継続することは良いことであるが、目線を変えた取り組みも必要ではないのか?」という意見があった。

また、オーストラリアの消防労組は、スト権が無いのにも関わらずストライキを決行し成功に至ったのは市民もストライキに参加してくれたことである旨の報告があった。日本の消防も市民と密接にかかわり、市民と協同した活動をすれば政治も動かせることへの近道ではないのかとの意見があった。

全消協として、このような意見を日本に持ち帰り、これからの活動に活かせていく旨を伝えフォーラムを終えた。

 

○参加者の声 仲野桂太(全消協特別幹事)

今回、PSI-APの消防ネットワークフォーラムにコーディネーターとして参加した。PSI-AP地域の部門別会議で、消防をクローズアップした会議は今回が初めてである。このことについては、2012年PSI世界大会で採択された緊急決議案により、アジア諸国における消防職員の問題に取り組むPSIの行動計画がひとつの形となったものである。

初めての取り組みの中で、通訳者の問題や準備段階で参加者への情報共有ができないままの開催となったため、プログラムどおりには進まない会議となったが、参加各国の消防の現状を知ることができ、また新たな組織との繋がりもできた収穫のある会議となった。

最後に、これまで全消協が担ってきたAP消防ネットワークのコーディネーターが今回の会議をもって一定の役割を終え、実質的なコーディネートをPSIスタッフが担うことになった。このことについては、今回の会議で議論された内容ではないが、ラクシュミPSI-AP書記長の提案でPSIスタッフが関わることにより、更なるネットワークの強化が期待でき、消防職員の労働組合権問題について、AP総体として積極的に取り組む姿勢の表れであると感じている。

また、ローザ書記長をはじめPSI本部の中で注目されるEDWG(緊急作業部会)と消防ネットワークの連携強化も検討されており、来年のAPRECON事前会議で「消防」が取り上げられることが確認されていることから、2008年のAP消防ネットワーク設立以来、関わってきた全消協の役割は今後も大きいものであると感じた。