PSI

国際シンポジウム「質の高い公共サービスと労働組合の役割」

2月24日、東京・品川THE GRAND HALLで、連合主催の国際シンポジウム「質の高い公共サービスと労働組合の役割」が開催された。連合構成組織やPSI-JC加盟組織、マスコミなど約350名が参加し、全消協から門間会長と仲野特別幹事が参加した。

シンポジウムは、古賀連合会長の主催者挨拶に続き、宮本太郎・中央大学法学部教授、横田洋三・人権教育啓発センター理事長・元ILO条約勧告適用専門家委員会委員(長)より、それぞれ「安心社会実現への公共サービス、労働組合の役割」、「国際的文脈でみた日本の公務員の労働組合権問題」と題して基調講演があった。宮本教授は、日本の格差問題、貧困率、公務員人口の低水準化などOECD加盟国と比較するデータに触れながら、安心社会を支える質の高い公共サービスを実現させるために、ディーセントワークや公契約条例・公共サービス基本条例の遵守、公務員の労働基本権が不可欠であるとした。また、ILO条約勧告適用専門委員会員(長)も務めた横田理事長は、ILO条約勧告適用専門委員会や調査報告書の内容に触れ、その中で消防職員の団結権問題の経過なども含めた、公務員の基本権制約の審査内容を解説した。

続いてパネルディスカッションへと移り、パネリストの氏家連合会長代理、カナダ公務員組合のレイノルズ氏、イギリス労働組合のダイクス氏、毎日新聞の吉田編集委員から、それぞれの国や立場から公共サービスの現状について報告があった。その後、モデレーターの宮本教授より質の高い公共サービスを実現するための労働組合の役割や労働基本権の必要性について議論を行った。

最後に、神津連合事務局長より「我が国は国際的にも特異な例として、公務員に対する労働基本権が制約されている。さらに海外に目を向けると構造改革の名の下の民営化などにより、公務セクターが縮小され、その結果公務員のディーセントワークが脅かされている事例がある中で、今回『質の高い公共サービスと労働組合の役割』というテーマを取り上げた。今回のシンポジウムでの、基調講演やパネルディスカッションの内容を踏まえて、質の高い公共サービスの実現とそのために必要不可欠な労働基本権の回復に向けて、世論を動かし取り組んでいきたい。」とシンポジウムを締めくくった。

(写真:国際シンポジウムの会場内)

○参加者の声 仲野桂太(全消協特別幹事)

全消協はPSIの「質の高い公共サービス(QPS)キャンペーン」の一環として、質の高い消防サービスの実現に向け、活動方針に掲げ取り組んでいる。

質の高い消防サービスの実現の根本的問題である、予算の確保や住民本位の消防行政の確立については、労働基本権があってはじめて議論ができることであり、今回のシンポジウムを受けて改めて質の高い消防サービスと労働基本権は密接な関係であると感じた。また、質の高い消防サービスを目指す中で、重要なのは地域住民のニーズを把握することであり、自治研活動や各単協の優れた先進的な活動を収集し、各地域社会に還元できれば、全消協が求める労働基本権に対し国民の理解を深めることができるのではと感じた。

常に地域住民と接する我々消防職員が、全消協活動の一環として質の高い消防サービスの実現に向け取り組み、地域住民に我々の活動に関心を持ってもらうことで、本質的な労働基本権の回復に近づくものであると感じた。