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PSIがアジア太平洋地域に「消防・救急ネットワーク」を設立


2日目に消防職場を訪問。韓国でも消防への電話は119番
2008年10月2日~3日、韓国・ソウル市で「PSIアジア太平洋地域消防・救急労働者ネットワーク」の設立会議が開かれ、全消協からは迫大助会長、吉川大介東海幹事、中島有紀女性連絡会代表、永島加奈子同副代表が出席した。
会議ではピーター・ウォルドフPSI書記長が基調報告を行い、「アジア太平洋地域の消防職員は長年にわたり労働基本権がない状態が続いてきた。労働基本権の確立に向け、2000万人の大きな力を背後に活動していく」と述べた。
韓国の参加者からは全国3万人の消防・救急労働者のうち約8000人が2年前に消防発展協議会(FDS)を結成し権利獲得・労働環境の改善などを進めていることが報告された。
その後、ネットワーク設立宣言が採択され、コーディネーターを全消協・吉川大介幹事が引き受けることが確認された。

■参加者の声

●消防職員に国境はない/会長 迫大助
我々と同じ課題を持ち、悩んでいる韓国の仲間の姿に思いを同じくしました。対照的にオーストラリアから参加した消防職員は、日常的に当局交渉をしている労働組合の幹部そのものであり、風格さえ感じました。 国際連帯によって基本的権利獲得のためともにスクラムを組む時がやってきたのです。

●より多くの女性の参加に期待/女性連絡会代表 中島有紀
どの国の消防職員も消防という仕事が好きだから厳しい労働条件の中でも頑張っている。よりよい市民サービスを提供するためにも、労働者としての権利を獲得し、労働条件を改善しようと、改めて思いました。このネットワークにもっと多くの国の消防職員、特に女性が参加する事を期待しています。

●団結権獲得のため消防をひとつに/東海ブロック幹事 吉川大介
韓国消防職員は日本より弾圧がひどく、この会議に参加した韓国消防職員は国・消防当局から圧力がかかる危険性があるにもかかわらず、20人ほど参加しました。グローバル化が進む今、消防がひとつとなり、団結権の獲得を世界に訴えていく活動は日本にとっても必ずプラスになると確信します。

●日本の消防の「遅れ」痛感/女性連絡会副代表 永島加奈子
私が最も印象に残っているのは韓国の方が言われた、「日本の消防職員に団結権がないのに韓国が消防職員に団結権は与えられないと言われた」という言葉です。訪問したヨンサン消防署では女性消防職員の方の話を聞き、韓国では女性の消防職員が全体の5%もいるということに驚きました。

消防・救急労働者 ネットワーク設立宣言

火災や自然災害、急病患者などが出たとき、真っ先に現場に駆けつけ緊急の対応をしているのが消防・救急労働者である。消防・救急労働者は世界中どこでも過酷な労働条件の下で働いている。常に危険と背中合わせで緊張しながら、緊急出動、長時間の交代勤務を行っている。職場環境も閉鎖的で非民主的なところが多く、精神的負担が重なって自殺者を出すという例すらある。
このような状況は一日も早く改善していかなければならない。それには労働者と使用者の対等な交渉が不可欠である。ところが多くの国で消防・救急労働者はその交渉をするために必要な権利が奪われたり、著しく制約されている。
したがって私たちに必要なことは、人間として当たり前の、労働者としての権利を手にすることである。私たちは全ての労働者が組合を結成し、団体交渉を行い、ストライキを行う権利を含めた結社の自由が、基本的かつ普遍的な人権であり、民主主義と社会の発展の基礎であることを主張する。
1944年のILO第26回総会で採択された、ILOの目的に関する宣言(フィラデルフィア宣言)は、ILOの基礎となっている根本原則として、「労働は商品ではない。表現および結社の自由は不断の進歩のために欠くことができない。」と述べている。また、1948年に採択された国連世界人権宣言の第20 条は「全ての人は平和的集会および結社の自由に対する権利を有する」と述べている。
本日、私たちは、「PSIアジア太平洋地域消防・救急労働者ネットワーク」を発足させるための会議を開催するために、韓国のソウルに結集した。私たちは各国の消防・救急労働者が極めて厳しい労働条件の下で働いていること、労働者としての当たり前の権利が著しく侵害されたり奪われていることを確認した。そして、このような状況を改善できるのは私たち自身であり、世界中の同じ仲間との連帯がその力を何倍にも大きくすることができることを確認した。
この確認にもとづき、私たちは、「PSIアジア太平洋地域消防・救急労働者ネットワーク」の設立をここに宣言する。

2008年10月2日
PSIアジア太平洋地域消防・救急労働者
ネットワーク発足会議参加者一同