PSI第31回世界大会
2023年10月15日(木)から同年10月18日(水)までスイス・ジュネーブのPalexpoにて、第31回世界大会が開催された。なお、本来は5年に1度の開催となるが、新型コロナウイルス感染症感染拡大を受けて、開催が1年延期となり、6年ぶりの開催となった。
PSI-JC日本団として自治労をはじめ各産別から総勢43人が参加し、全消協からは須藤洋典会長、川北研人事務局長、長谷川亜純事務局次長、岡大祐事務局次長の4人が参加した。
大会に先立ち、10月12日(木)から10月14日(土)には事前セッションとして、若年労働者会議や女性コーカスなどが開催されたほか、世界大会開催期間中は毎日ランチミーティングが開催され、気候変動・ケア・先住民・障がい労働者など、多岐に渡るミーティングに出席した。
第4号決議案:性と生殖に関する権利と女性の保護
事務局次長 長谷川 亜純
(前略)
日本では、差別待遇に関するILO第111号の批准にむけた政府の政策により、女性消防士も採用されるよう環境整備が進められてきました。それにより女性の割合は3.4%まで増加しました。しかし一方で、離職者が後を絶たず、昨年1年間で27%もの女性消防士が離職しています。
女性は、結婚したら妊娠をする可能性があるという理由で希望しない部署に配属されたり、妊娠を控えるように言われることが平然と行われています。
住民の命を守りたいとの憧れと強い使命感から消防士になったのに、女性であることを理由に、SRHR(リプロダクティブヘルスアンドライツ)が守られず、プライベートな生殖に関する考えについて、他者から制限を受けるなど人権が侵害されることは許されません。
女性消防士が増えることで、女性も配慮された消防救急サービスを受けられるようになります。女性が当たり前に働き続けられる職場の環境整備、いかなる職業であったとしても、「性と生殖に関する権利と女性の保護」が守られるべきと考えます。
最後になりますが、今回の世界大会に、日本から4人の消防士が参加しています。様々な職種の皆さんと仲良くなりたいです。ぜひお声を掛けてください。
心からの連帯をこめて、私の発言といたします。
最後に「ともに、がんばろう!」、”Let’s fight in solidarity!” と言いますので、一緒に言ってください。
「ともに、がんばろう!」
第22号決議案:日本の公務員の労働基本権、消防職員の団結権・団体交渉権を求める
会長 須藤洋典
(前略)
ILOは、これまでの間、11回にわたり、公務員に労働基本権を付与するよう日本政府に勧告してきました。日本の公務員は、いまだに労働基本権が付与されておらず、消防職員にいたっては、団結権すら与えられていない状況が続いています。
2017年のPSIの世界大会において、私たちPSI-JCと韓国の消防発展協議会(FFDC)が共同で、「日本の公務員と韓国の消防職員の労働基本権」を求める決議案を提出いたしました。
その後、韓国においては文在寅(ムン・ジェイン)政権下において、ILO第87号条約および第98号条約が批准され、韓国の消防職員に労働基本権が付与されました。
韓国の消防公務員の仲間たちは、労働組合を組織し、労働条件や勤務環境整備にとどまらず、現場の声を消防政策への拡充につなげ、住民に対してより良いサービスを提供するために日々取り組んでいると聞いています。
私たち消防職員は、住民の命とくらしを守るため、人命救助のプロフェッショナルとして、日々高い志をもって仕事をしています。パンデミック下では感染リスクを負いながら、また大災害や火災の現場では、危険な状況下での活動を強いられます。それだからこそ、消防職員も労働者として安全に、安心して働くことができる労働・勤務環境が必要です。消防職員が労働組合をつくり、現場の声を集め、消防や救急業務の改善を求め、政策に活かしていくことがとても大切だと考えています。
消防も含めた公務職場においては、健全な労使関係を確立することで、質の高い公共サービスが提供できると確信しています。そのためにも、公務員への労働基本権の付与や消防職員の団結権を認めさせることが重要です。
私たちJCのメンバーは、公務員の労働基本権および消防職員の団結権獲得に向け、再度立ち上がり闘うこととしています。次の世界大会において、労働基本権獲得の報告ができるように頑張る決意を申し上げ、世界各国のみなさんの連帯と協力をお願いし、第22号決議案の提起とさせていただきます。
最後になりますが、私の後ろの席にいらした方々の母国ウクライナ、そして世界中の紛争地域が1日も早く平和になる事を願っています。
心からの連帯をこめて、私の発言といたします。ともにがんばろう!
PSI世界大会に対する声明:ジョージアの救急隊員を復職させよ!労働組合員への攻撃をやめよ!
事務局次長 岡 大祐
(前略)
日本の消防職員は、団結権が付与されておらず、組合活動は認められていません。しかし、日本の自治労や関係組合と共に、日々地域住民の安心・安全を守りながら、団結権の獲得を目ざしています。
日本では消防職員が救急業務もおこなっており、同じエッセンシャルワーカーです。
このような不当な解雇は断じて容認することはできず、平和的な集会、抗議活動に対する脅迫です。
私達「全消協」は、同じエッセンシャルワーカーの立場からも、ジョージアの救急隊員の復職要求を支持します。
最後に「ともに、がんばろう!」、”Let’s fight in solidarity!” と言いますので、一緒に言ってください。
「ともに、がんばろう!」
北欧(スウェーデン・フィンランド)消防労働組合との意見交換
第4号決議案「性と生殖に関する権利と女性保護」への長谷川の発言にあった日本の女性消防職員が産休関係の休暇が取れないとの内容から、まったく休暇が取れずに解雇されていると受け取り、衝撃を受け、意見交換をお願いしたとのことである。
冒頭にキムさんから産休関係が取得できないなど信じられないと話があり、まったく取れないというわけでなく、人員の関係で取得しにくい事実はあると、長谷川から説明を行った。
次にムスカンダさんからは、YouTubeなどで日本の消防士の動画などを見ており、日本の消防士に敬意を表する。北欧とは文化が違うかもしれないが、やはり女性の出産育児に関する休暇や労働環境は重要視されるべきである。フィンランドでは、女性が出産で休暇となれば、配置換えや人員の増員を行う。やはりこれらの休暇は、お互い様な部分であるので、国で法律は違うかもしれないが、よい方向になってほしいとのことであった。
(中略)
最後に、イボンヌさんから、北欧で女性消防士のネットワークがあるので、ぜひ紹介したいとのことで、今後も連絡をとっていく。
さいごに
我々が、長年訴え続けてきた消防職員の団結権回復は今日まで叶っておりません。このような厳しい状況下においても、発足以来の最大目標である団結権回復をめざす運動を、全消協は今後も強力に継続していきます。
そして、一人でも多くの仲間を結集し、国民の命を守るはずの消防職員が、自らの命を絶つということを絶対に阻止し、明るく働き甲斐のある職場づくりをめざし、ひいては国民が安全に安心して生活ができる環境になることを信じています。
最後になりますが、日本の消防職場は、職員が労働組合をつくる権利さえも剥奪されており、民主的な職場環境とは言えない状況にあります。団結権を含む労働基本権が早急に回復されるよう今後も取り組んでいきます。
PSIに加盟する仲間と団結するとともに、引き続きの支援をお願いしたいと思っております。
Let’s fight in solidarity! ともに、がんばろう!