活動方針

2020ー2021年度活動方針

 Ⅰ 基    調

 1. 私たちをとりまく情勢

【国外の情勢】

自国第一主義・保護主義的政策を掲げるアメリカ・トランプ政権と世界各国との対立が、経済面だけでなく、政治動向も含め激しくなっています。また、グローバリズムによる新自由主義が行き詰まりを迎えるなど、国際的な政治情勢は再出発への模索が続いています。

近隣諸国では、朝鮮半島の非核化問題、中国と周辺各国との国境をめぐる対立の激化など、今後の動きを注視する必要があります。

世界各地で大地震や記録的豪雨、洪水、森林火災などが、もはや日常的に発生しています。これらの災害に対し、世界各国が協調して対応することが、より一層強く求められています。

 

【国内の情勢】

日本国内では、人口減少と超高齢化社会の急速な進行による大幅な労働人口減少が予想され、同時に社会保障制度の危機的状況が懸念されています。

また、改元やオリンピック・パラリンピック開催による社会・経済情勢の変化が期待されている一方、長期政権による歪んだ政権運営が露呈しています。一部の国会議員や官僚によるハラスメント・LGBTへの無理解は、政治のみならず行政に対する国民の不信感をも一層強めています。さらに、各種統計における不適切調査や年金に関する報告書問題などで、政府への信頼は大きく揺らいでいます。

2019春闘で連合は、賃上げの流れを継続・定着させるとともに

①賃金の「上げ幅」のみならず「賃金水準」を追求する闘争の強化

②「サプライチェーン全体で生み出した付加価値」の適正配分

③「働くことを軸とする安心社会」

の実現を求める取り組みが進められ、多くの企業で6年連続となる賃上げを実現しました。

しかし、実質賃金はマイナス傾向のまま横ばいです。政府は「戦後最長の景気拡大」と評価し、「緩やかな景気回復基調」との判断を維持していますが、多くの国民は景気回復や生活改善の実感を持てず、むしろ、生活や将来への不安は増大しています。

労働者の約4割が非正規となった今、ダブルワークの拡大、個人請負・テレワークなども拡大しています。これらは、従来の「使用者」と「労働者」の関係を超えた「曖昧な雇用」といわれるものであり、事実上、従属的雇用関係にありながら、法の不備や空白により、従来の労使関係が適用されない雇用のことをさしています。労働関係が適用されないということは、集団的労使関係においても、個別的労使関係においても、労働者としての保護が受けられない状態であり、早急な法の整備が求められています。

2019年度政府予算における地方財政計画については、一般財源総額は過去最高水準になり、地方交付税も増額しました。しかし、基礎的財政収支の黒字化目標時期と実行計画が「骨太の方針2019」に示されたことから、今後の地方財政の総額確保は厳しくなると見られます。社会保障費などの自治体負担の増加、消費増税を含めた税収見込みや今後の税制改正などとあわせ、自治体が行う公共サービスに対して財源保障がされるのかどうかに対する不安感・不透明感が高まることが懸念されます。

2011年3月の東日本大震災以降も毎年大地震による被害が発生しています。2018年9月の「平成30年北海道胆振東部地震」では、大規模な停電が発生し、災害時におけるライフラインの重要性が浮き彫りとなりました。また、集中豪雨や台風による水害・土砂災害も頻発しており、これらの災害に対し、緊急消防援助隊もその都度派遣されています。

発生が懸念されている「南海トラフ地震」に備えるとともに、異常気象が異常といえなくなっている現在、各地域での防災・減災対策は喫緊の課題です。

 

【地方公務員・消防職場を取り巻く情勢】

集中改革プランと市町村合併を契機に、地方公務員数は大きく減少し、公共サービスの格差が生じています。また、業務のアウトソーシングにより、専門職が減少し、災害時の即時対応などの難しさが明らかになっています。賃金の伸び悩み、人員不足、長時間労働の慢性化によって、生活実感は改善せず、労働安全衛生の面からも大きな問題となっています。

消防職場を振り返ると、市町村消防の原則に基づく現在の自治体消防制度が確立してから70年が経過しました。現在の消防職場は、消防車両や個人装備品などの資器材は小型・軽量化、省力化が進み、性能も従来と比較し飛躍的に向上しました。しかし、消防職員数の大幅な増加や労働安全衛生などの職場環境は改善が進まないと同時に、いまだ非民主的な旧態依然の職場環境が多く存在しています。

また、社会構造の複雑・多様化に比例し、その業務範囲は多岐にわたり、消防・救急・救助・予防業務のみならず「住民の駆け込み寺」的な側面を有しています。消防職場の現状からあるべき姿を模索し、より良い消防職場の実現にむけて、組織の総力をあげて取り組む必要があります。

政府は、南海トラフ地震、大規模水害、NBCテロ災害などに的確に対応するため、緊急消防援助隊の登録目標隊数を、2023年度までに現在の約6,000隊(24,000人規模)から6,600隊(27,000人規模)に増強するとしています。しかし、派遣に関する待遇については派遣元自治体の条例によるため、同一災害に対する賃金・労働条件、労働安全衛生の面で不均衡な取り扱いが散見されます。派遣に際しての多くの課題を解消するとともに、国に対し平等な取り扱いとなるよう、今まで以上に働きかける必要があります。

 

2. 運動の基本方向

【団結権回復にむけたこれまでの経緯】

全消協は、1977年の結成以来、団結権回復にむけた運動を一貫して続けてきました。

一方、日本政府は消防職員の団結権禁止について、ILO(国際労働機関)は第87号条約で、「軍隊及び警察に条約が規定する保障(団結権等)を適用するかどうかは各国の国内法令で定めること」としているため、消防は警察に含まれると解されることから、同条約上問題なしとした上で1965年に批准した、としています。

これに対し、1973年、ILOは「消防職員に団結権が認められるよう適当な措置をとることを希望」するとして、日本政府に消防職員への団結権付与について勧告し、以降現在まで11回勧告されています。

そうした経緯の過程において、1995年の自治労委員長と自治大臣(当時)の会談では、消防職員の団結権問題についての当面の解決策での合意として、「消防職員委員会」が創設され、1996年から開始されました。2005年には「意見とりまとめ者」などの告示改正が行われました。

消防職員委員会は、職員個人の意見を提出・審議するものであり、消防職員の団結権に代わるものではありません。

2007年、消防職員の団結権回復の運動を国外からも進めていくため、全消協はPSI(国際公務労連)に加盟しました。

2009年9月、民主党(当時)を中心とする政権が発足し、公務員の労働基本権問題や労使関係制度の改革にむけて本格的な作業が始まり、消防職員の団結権は着実に回復への道を辿っていました。

2010年10月に発足した「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」で議論が重ねられ、「付与が妥当」とされました。2012年11月には、閣議決定を経て国会へ「地方公務員制度改革二法案」とあわせて消防職員への団結権付与について議案提出されましたが、衆議院の解散により審議未了のまま廃案となり、消防職員の団結権回復への道筋は一旦途切れました。その後、自公政権に移行し、公務員に対する締め付けはますます厳しくなっています。

2018年5月末から開催された第107回ILO総会・基準適用委員会の個別審査の議論の結果、日本の公務員の労働基本権問題について、11回目の勧告がされました。勧告は、消防職員の団結権および団体交渉権の付与についても日本政府の取り組みを強く促しています。

基準適用委員会の議論の中で、日本政府は、団結権付与に関しては今まで通り「警察と同視」との見解であり、消防職員委員会制度が定着しているとした上で

①消防職員委員会の運用方針の改正を行うこと

②新たに労働側との定期的な意見交換の場を設けること

を明言しました。

これに対し全消協は、自治労と連携し、消防職員の団結権回復を前提として掲げながら、消防職員委員会の運用方針の改正にむけ意見反映に取り組んだ結果、2018年9月「匿名での意見提出」などを盛り込んだ告示改正が行われました。

定期的な意見交換の場として、「ILO総会基準適用委員会議長集約にかかる定期協議」を2019年1月・4月・7月の3回行っています。この協議には、自治労とともに全消協も参画しており、今後も現場の意見を反映させ、団結権の回復をめざします。

また、2019年3月には、衆参あわせて115人の国会議員による「自治労消防政策議員懇談会(議員懇)」が発足しました。

消防職員の団結権回復を含むすべての公務労働者の労働基本権回復にむけて、議員懇との連携やPSI-JC(国際公務労連加盟組合日本評議会)での活動を通じ、必要な対策を行うとともに、連合および公務労協とも連携し、取り組みを強化していきます。

2019年7月の第25回参議院選挙で、自治労組織内候補「岸まきこ」(自治労本部特別執行委員)は、議席を獲得することができました。全消協は、岸まきこ参議院議員、江崎孝参議院議員との連携を密にし、消防職員の団結権の回復にむけた取り組みを進めます。

 

【組織の強化・拡大】

全消協は、第37回定期総会で会員3万人体制を目標に掲げて、組織強化・拡大を継続することを決定しました。この取り組みは自治労が組織決定し、2010年9月に策定された組織化基本計画を受け、同年12月に作成した「組織強化・拡大方針及びアクションプラン」をベースとしています。

しかし、全国約16万人の消防職員のうち、現在の会員数は10年前とほぼ同数の約1万3千人であり、大幅な増加には至っていません。そして、単協活動が停滞し、消滅のおそれがある単協も見受けられます。喫緊の課題である組織強化・拡大を進めるために、これまでの活動を検証した上で、「新たな組織強化・拡大のアクションプラン」を策定し、さらなる組織強化・拡大を進めます。

また、労働講座・研究集会・ユースStep

Upセミナーなどの機会を活用し、性別を問わず、すべての世代の人材育成と組織強化に努めます。女性連絡会・ユース部の活動を強化し、女性とユース世代が参画しやすい協議会活動を展開します。

2018年4月に「市町村の消防の広域化に関する基本指針」と「市町村の消防の連携・協力に関する基本指針」が改正され、その推進期限が2018年4月から2024年4月の6年間とされました。広域化による、賃金の抑制や不均衡、特殊勤務手当の廃止、遠距離通勤など、労働条件改悪および身分保障という問題も浮き彫りになっています。

全消協は、広域再編の動きを組織拡大の機会として捉え、自治労とともに取り組みます。

 

【賃金・労働条件の改善】

全消協は、賃金・労働条件の改善にむけて、結成以来、継続して取り組んできました。

しかし、当初からの課題である無賃金拘束時間の解消は、いまだなされていません。

2003年に総務省消防庁から出された206号通知を根拠に、休憩中の労働を事後において休憩時間を繰り下げることにより、時間外勤務を正規の勤務時間とし、処理できない時間のみ時間外勤務として扱う恣意的な運用をする職場もあります。また、2011年の広島高裁判決では、消防職員に休憩時間自由利用の原則が排除されていることから、労働時間制を否定しました。この裁判の結果も踏まえ、各消防職場の勤務時間や休憩時間等の実態を調査するとともに、無賃金拘束時間の解消にむけ、現行の法制度上の矛盾を追及する運動を展開します。

東日本大震災では、緊急消防援助隊の派遣に伴うさまざまな問題が発生しましたが、全消協として取り組んだ結果、多くの自治体で派遣手当の新設などの条例整備がされました。また、総務省消防庁は、緊急消防援助隊の活動に、出動前の車両の点検等の準備を含むとの見解を示しています。しかし、いまだ条例整備を行わない自治体が存在するなど改善に至らない消防職場が多々あります。

全消協は、条例整備にむけて支援を強化するとともに、国に対し不均衡な取り扱いが行われないよう働きかけます。

年金支給開始年齢が65歳(特定消防職員は段階的に引き上げ)となり、これに伴い 政府は、人事院の「意見の申出」に基づき、段階的な定年延長の具体的制度内容の検討を進めています。現在は多くの公務職場で再任用制度が運用されていますが、第一線で災害対応にあたる消防職員にとっては、なじまない制度となっています。しかし、再任用者が災害現場に出動しているのも事実です。

全消協は、会員が安心安全に働ける再任用制度や定年延長のあり方を研究します。

2014年の地方公務員法改正により、人事評価制度が導入され、消防職場においても本格的に運用され始めています。この制度は、賃金、昇級・昇格に直接関わるため、恣意的な評価がされないよう取り組むとともに、消防職場に適したものとなるよう調査・研究していきます。

2018年に成立された「働き方改革関連法」は、長時間労働の助長や、過労死を招く危険性を高めるなどの問題をはらんでいます。労働のあり方について、社会全体で議論されていますが、旧態依然の労働実態が見られる消防職場の働き方についての積極的な議論はなされていません。

全消協は、消防職場の働き方について、あるべき姿を提起していきます。

 

【労働安全衛生の確立】

全消協は、結成以来、継続して消防職場の労働安全衛生について取り組んできました。

消防業務は、深夜勤務を伴う交替制勤務や長時間拘束などの過重労働であり、有事の際には、危険な現場に赴くことが求められています。「非日常」が「通常業務」とされる環境下にあり、公務内外での死者や負傷者の発生する割合は、他の職務と比較して高い水準となっています。

近年は、災害が大規模・複雑多様化の傾向にあり、それに対応するための資器材や技術の高度化が進んでいます。これまで以上に災害現場や訓練時の安全管理体制の確立が求められていますが、とくに訓練時においては、災害現場活動における負傷者数と比較し、それを上回る現象が年々続いています。

あわせて、災害現場活動では常に多くの危険が潜んでおり、仲間の命が危険にさらされていることから、労働災害が起こらないよう安全管理体制の確立に取り組みます。また、業務に起因して発生したすべての死亡・傷病について、公務災害認定請求を行うよう助言します。

さらに、大規模な自然災害や多数傷病者が発生する事件・事故が多発し、活動する消防職員がメンタル不調などを訴える例が多く報告されていることから、メンタルヘルス対策の取り組みを行います。

総務省消防庁は、2017年7月「消防本部におけるハラスメント等への対応策」を示しました。この政策に全消協も参画し、現場の職員目線での意見が反映されるなどの成果を得ました。

全消協は、引き続きすべてのハラスメントを撲滅させることを重要な課題として、その「犠牲者」を出さないよう取り組みを進めます。

消防力の低下を防ぎ、より質の高い消防サービスを提供するためには、これまで以上に職場の安全衛生体制の確立と、労働安全衛生活動の強化が必要です。そのために全消協は、労働安全衛生法を活用し、安全で快適な消防職場に即した職場環境を整備する取り組みを進めます。

 

 

Ⅱ 活 動 方 針

(1) 団結権回復にむけた取り組み

全消協は、1977年の結成以来、最大目標である団結権回復にむけた運動を一貫して続けてきました。2009年9月には民主党(当時)を中心とする政権が発足し、「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」での議論を経て、2012年11月に議案が提出されたものの、衆議院解散により審議未了のまま廃案となりました。その後の政権交代から今日まで国政で議論されることのない状態が続いています。このような厳しい状況下においても、全消協は団結権回復にむけた運動を、今後も継続していきます。

2017年11月に開催されたPSI第30回世界大会で、「日本の公務員と韓国消防職員の労働基本権」と「公共サービスと公共サービス労働者の拡充で災害に強い社会づくり」の決議案を提出し、可決・承認されました。また、パネルセッションに村上会長が参加し、「日本の消防職員の労働基本権問題」を提起し、ガイ・ライダーILO事務局長から全消協の活動に支援の言葉があり、会場から連帯の拍手を受けました。

2018年5月末から開催された第107回ILO総会で、基準適用委員会の個別審査報告および結社の自由委員会第386次報告が出されました。第386次報告では日本政府に対して11度目の勧告を行い、消防職員の団結権および団体交渉権の付与について関係者と協議を行い、勧告実施のための行動計画の策定・報告を行うことを要請しています。その結果、日本政府は団結権付与に関しては今まで通り「警察と同視」との見解であり、消防職員委員会制度が定着しているとした上で、①消防職員委員会の運用方針の改正を行うこと、②新たに労働者側との定期的な意見交換の場を設けること、を明言しました。これを受け全消協は自治労と連携し、消防職員の団結権回復を前提として掲げながら、消防職員委員会の運用方針の改正にむけ意見反映に取り組み、2018年9月に「匿名での意見提出」などを盛り込んだ告示改正が行われました。また、定期的な意見交換の場として、ILO総会基準適用委員会議長集約にかかる定期協議を2019年1月・4月・7月に行っており、この場には自治労とともに全消協も参画し、今後も現場の意見を反映させ、団結権の回復をめざします。

また、2019年3月には、衆参あわせて115人の国会議員による「自治労消防政策議員懇談会」が発足しました。全消協は消防職員の団結権回復を含むすべての公務労働者の労働基本権回復にむけて、自治労消防政策議員懇談会との連携やPSI-JCでの活動を通じ、連合・公務労協とも連携し取り組みを継続していきます。

【労働基本権回復のための政治的活動の強化】

1. 消防職員の団結権回復を含む公務員の労働基本権の回復にむけ、自治労をはじめ公務労協・連合との連携をより一層密にし、自治労消防政策議員懇談会に支援と協力を求め、政府・総務省消防庁などへの問題提起など、団結権回復にむけた働きかけを行います。

【労働基本権回復にむけた国際連帯の強化】

2. ILO87号条約批准国であるにもかかわらず、消防職員への団結権付与にむけ、国内法令の整備等、積極的な行動を起こさない日本政府に対して、PSI-JCでの活動を通じ、国際的な機運が高まるよう取り組みます。

3. PSIに加盟する消防・救急労働者等との情報交換を行うとともに、PSI-JCの活動を通じ、他産別との交流を深め、消防職場の現状を発信します。

 

(2) 組織強化・拡大の取り組み

全消協は、第37回定期総会で会員3万人体制を目標に掲げて組織強化・拡大を継続することを決定しました。この取り組みは自治労が組織決定し、2010年9月に策定された組織化基本計画を受け、同年12月に作成した「組織強化・拡大方針及びアクションプラン」をベースとしています。

しかし、全国約16万人の消防職員のうち、現在の会員数は10年前とほぼ同数の約1万3千人であり、大幅な増加には至っていません。そして、単協活動が停滞し、消滅のおそれのある単協も見受けられます。喫緊の課題である組織強化・拡大を進めるために、これまでの活動を検証した上で、「新たな組織強化・拡大のアクションプラン」を策定し、さらなる組織強化・拡大を進めます。

また、労働講座・研究集会・ユースStep Upセミナーなどの機会を活用し、性別を問わず、すべての世代の人材育成と組織強化に努めます。女性連絡会・ユース部の活動を強化し、女性とユース世代が参画しやすい協議会活動を展開します。

2018年4月に「市町村の消防の広域化に関する基本指針」と「市町村の消防の連携・協力に関する基本指針」が改正され、その推進期限は2018年4月から2024年4月の6年間とされています。

全消協は、広域再編の動きを組織拡大の機会として捉え、自治労とともに取り組みます。

 

【組織強化・拡大方針について】

1. 2010年に作成した従来のアクションプランで実施した組織強化・拡大の活動を引き続き検証し、新たなプランに基づく取り組み進めます。

2. 組織強化・拡大の新たなアクションプランを活用し、多くの意見を集約するとともに、組織強化・拡大事例を共有し、単協・県消協・各ブロックと連携した組織強化・拡大活動に取り組みます。

3. 全消協幹事が中心となり、ブロック内でより積極的な組織強化・拡大活動を行います。

4. 大都市消防相互の情報共有をはかり、自治労大都市共闘との連携を深め、組織強化・拡大に取り組みます。

 

【自治労本部との連携】

5.自治労第5次組織強化計画と連携し、自治労本部とともに、既存単協の組織強化や未組織消防職場への組織拡大のオルグ活動の環境を整備します。

6. 自治労消防政策議員懇談会と連携し、組織強化・拡大を推進します。

 

【自治労県本部・単組との連携】

7.自治労県本部・単組と県消協・単協は、組織強化・拡大にむけて連携を深め、取り組みを進めます。

① 消防職場の実態や問題点などを共有し、現状の打開策を協議します。

② 自治労各県本部に「消防組織化対策委員会」の継続を働きかけ、組織強化・拡大を推し進めます。

【協議会活動を担う人材の育成】

8.単協における個々の会員の積極的な活動参加を促します。また、未組織の消防職場への働きかけを行うため、オルガナイザーの育成・配置に努めます。

9. 次世代の協議会活動を担う人材育成を目的に、問題の所在と課題、あるべき姿の提示から解決の方向性を提起できる能力の開発をめざし、労働講座やユースStep Upセミナーを開催します。

  1. 女性・ユース世代が各ブロック等で学習会を開催するなど、自主的な活動を後押しし、協議会活動を担う人材育成に努めます。

【全消協PR活動について】

11.全消協ホームページおよび各種SNSの活用のほか、全消協ニュース・パンフレットを作成します。これら各種媒体を活用し、会員ならびに未組織消防職員へ全消協活動全般を広く情報発信し、組織強化・拡大につなげます。

 

(3) これからの組織のあり方

2014年4月「国家公務員法等の一部を改正する法律」が成立しました。自律的労使関係制度については、自公民生活の4党による合意に基づき「職員団体と意見交換を行いつつ、合意形成に努める」旨が盛り込まれた附帯決議にとどまりました。この法律は、民主党政権時の制度改革とは全く異なる内容となっています。

2018年5月末に開催された第107回ILO総会において、日本の公務員の労働基本権問題について、11回目となる勧告が出されました。この中で、消防職員の団結権および団体交渉権の付与について関係者と協議を行い、勧告実施のための行動計画の策定・報告を行うことを日本政府に要請しています。これを受け全消協は、自治労と連携し、意見交換の場に参画しています。この連携をもとに、自治労との関係をより強固なものにしなければなりません。

全消協は2009年の第33回定期総会で、団結権回復後の組織のあり方を「自治労に合流することを前提とし、課題整理していく」ことを決定し、自治労と定期的に組織合流後の組織のあり方について検討を重ねてきました。

これからも今までと同様に自治労との協議を重ね、地域公共サービス分野で働く同じ労働者として、共通した問題意識を持ちながら、ともにたたかう体制づくりを構築します。

 

【自治労への合流】

1. 全消協は、引き続き団結権回復を見据え、自治労に組織合流することを前提に具体的協議を重ね、これからの組織のあり方について共通認識を深めます。

 

(4) 賃金・労働条件改善への取り組み

住民の安心安全を守るためには、消防職員の勤務労働条件の向上は欠かせません。

しかし、現在の消防職場においても、全消協結成当初からの課題である無賃金拘束時間の解消が、いまだになされていません。

一度出場となれば、過酷な現場活動にもかかわらず、2003年に総務省消防庁より出された206号通知を根拠に、休憩中の労働を事後において休憩時間を繰り下げることにより、時間外勤務を正規の勤務時間とし、処理できない時間のみ時間外勤務として扱う恣意的な運用をする本部もあります。また、2011年の広島高裁判決では、消防職員に休憩時間自由利用の原則が排除されていることから、労働時間制を否定しました。この裁判の結果も踏まえ、各消防職場の勤務時間や休憩時間等の実態を調査するとともに、無賃金拘束時間の解消にむけ、現行の法制度上の矛盾を追及する運動を展開します。

また、緊急消防援助隊派遣にかかる諸手当については、自治体の条例に基づき支給することとなっているため、同じ活動に従事している職員間で、不均衡な取り扱いとなっています。地方交付税で特殊勤務手当が算定されているにもかかわらず、自治体の条例に手当の支給が規定されていない本部もあります。

さらに、広域化が推し進められ、再編後の給料表や手当が統一されていない本部が散見されます。このような取り扱いでの消防活動は、モチベーション低下と業務ストレスの増大につながるおそれがあります。

これらの問題に対し、平等な取り扱いとなるよう、引き続き総務省消防庁等へ働きかけます。

雇用と年金の接続を確実にするため、消防職場においても再任用制度が運用されていますが、同一労働同一賃金の原則と乖離している実態があります。加齢に伴う体力の低下などもあり、現場活動での安全確保をはかる上でも、職員が安心安全に働ける再任用制度をめざすための体制づくりについて検討します。また、段階的な定年延長については、人事院の意見の申し出を踏まえ、消防職場における雇用形態と職域の拡大などについて調査・研究します。

2016年度から人事評価制度が消防職場にも導入され、本格的に運用されはじめています。この制度は、賃金、昇級・昇格に直接関わることから、消防職場に適した恣意的な評価とならない取り組みを進めていきます。

【賃金・労働条件の改善】

1. 勤務体制や賃金・手当等、ほかの公務労働との均衡性を含め、消防職員の労働のあり方・労働に対する評価のあり方等について調査・研究し、改善にむけた施策を検討します。

2. 改善にむけた施策を検討するにあたり、幅広く意見を聴き、解決方策等を検討する機会を設けます。

3. 各単協の現状を把握するため、引き続き労働条件等調査を実施します。

4. 各種手当は、地域により不均衡な取り扱いとなっています。また、広域再編後の給料表・手当が統一されていないことは、モチベーションの低下につながるため、格差是正にむけて取り組みます。

 

【無賃金拘束時間の解消とワーク・ライフ・バランスの推進】

5. 結成当初から課題となっている無賃金拘束時間は、休憩時間と称しておけば、何時間でも無賃金で職場に拘束するものです。とくに、消防職員にかかる労働時間についての例外のあり方の見直し・再検討を求めます。現行法の休憩時間に関する取り扱いの是正をめざし、公務労協・連合との連携を強化しながら、自治労・自治労消防政策議員懇談会を通じて取り組みます。

6. 単協・県消協において、人事委員会・公平委員会に対する措置要求、または訴訟などの動きについて情報収集に努め、支援・協力のあり方を検討します。

7. 単協・県消協は、無賃金拘束時間を可能な限り短縮するよう、勤務体制を研究します。

8. 厚生労働省が推進するワーク・ライフ・バランスに鑑み、妊娠・出産・育児期や家族の介護のため、離職することなく働き、仕事と家庭生活が両立できるよう就業環境の改善にむけて取り組みます。

 

【現行の勤務制度上における改善】

9. 地方公務員法第58条の規定により、消防職員には労働基準法第32条の2で規定される「一箇月単位の変形労働時間制」しか適用になりません。単協は、消防当局に対して、労働基準法等の遵守および勤務時間条例等との整合性のとれた運用を求めるとともに、それぞれの消防職場において、次の点について改善を求めます。

① 変形期間の始期と終期を明確にした勤務割を行うこと

② 各職員の各日の勤務について、正規の勤務時間および休憩時間位置を明確にすること

③ 非番・週休日における常態化した業務命令を見直し、通常勤務の中で業務遂行できるよう、体制の整備をはかること

④ 非番・週休日の業務従事に際して、時間外勤務手当の支給対象を明確にした上で勤務命令を出すこと

⑤ 週休日の労働に対して、安易に週休日の振替等の運用を行わないこと

⑥ 条例等で定める休暇・休業が取得しやすくなるよう、必要な措置を講ずること

⑦ 勤務時間配分の明確化をはかり、休憩時間内の労働(出動など)に対して、時間外勤務手当の支払いを求めること

⑧ 常態化した時間外勤務を撤廃し、適正な人員配置のもと、時間外勤務の縮減とサービス残業を廃止するよう求めること

 

【災害派遣にあたっての取り組み】

10. 総務省消防庁に対して、次のことを求めます。

① 緊急消防援助隊の派遣に関する処遇について、各市町村の給与条例等に依拠することなく、国の責任としてリーダーシップをはかること

② 派遣された隊員の処遇のあり方・内容について例示するとともに、派遣時の職員の身分、勤務の態様、特殊勤務手当の支給対象となる活動およびその額等について例示し、各自治体を指導すること

11. 単協は、各市町村の給与条例等に基づいて、災害派遣にかかる手当等が支給されるよう取り組みます。

12. 災害派遣における処遇について、調査・研究します。

 

【再任用制度と定年延長への取り組み】

13. 単協は、再任用にあたって、職員定数の枠内ではなく、定数外職員として任用することが可能な制度に改めるよう取り組みます。

14. 単協は、任命権者に対して、本人の意向を踏まえた再任用制度の運用を求めます。

15. 段階的な定年延長の引き上げが検討されており、消防職場に即した雇用形態と職域の拡大など、再任用職員の勤務・労働条件等も含めて調査・研究します。

 

【消防職場の人事評価制度の取り組み】

16. 消防職員の賃金、昇給・昇格に大きな影響を与える人事評価制度の運用にあっては、恣意的な評価がされないよう取り組みます。

また、この制度が消防職場に適したものとなるよう調査・研究します。

 

(5) 労働安全衛生の確立

労働安全衛生法は、「労働災害の防止のための危害防止基準の確立」「責任体制の明確化」「自主的活動の促進」などの総合的、計画的な対策を推進することにより、「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する」ことを目的とする法律です。

同法は、最低基準を確保するだけでなく、より進んだ職場環境、安心安全を実現することをめざしています。このことは、過去の尊い命の犠牲をもとに、二度と労働災害の犠牲者を出さない信念が込められています。

消防業務は、深夜勤務を伴う交替制勤務や長時間拘束などの過重労働であり、有事の際には、危険な現場に赴くことが求められるなど、「非日常」が「通常業務」とされる環境下にあります。消防職員の公務内外における死者や負傷者の発生する割合は、その職務の特殊性からほかの行政職員と比較しても高い水準となっています。また、公務員の定年延長を見据え、行政職と消防職との職場環境の相違点を精査し、消防職員が安心して定年まで働き続けられる職種や働き方の検討が必要です。

近年は災害が大規模・複雑多様化の傾向にあり、それに対応するための資器材や技術の高度化が進んでいます。しかし、訓練時の負傷者数が災害現場活動における負傷者数を上回る現象が毎年続いており、これまで以上に災害現場や訓練時の安全管理体制の確立が求められています。

あわせて、災害現場活動では常に多くの危険が潜んでおり、殉職者が後を絶ちません。常に自分自身や仲間の命が危険にさらされていることから、労働災害が起こらないよう安全管理体制の確立に取り組み、公務に起因して発生したすべての死亡・傷病については、公務災害の認定請求を行うよう助言します。

さらに、大規模な自然災害や多数傷病者が発生する事件・事故が多発し、活動する消防職員がメンタル不調などを訴える例が多く報告されていることから、メンタルヘルス対策の取り組みを行います。

全消協は、2012年の労働講座から「すべてのハラスメント一掃宣言」を展開しています。しかしながら、職場環境に目をむければ、いまだに非民主的な上意下達の職場環境が多く存在しています。ハラスメントは相手の尊厳や人格を侵害する行為であり、職員の士気低下や職場環境の悪化につながります。総務省消防庁では、消防職場における残酷なパワハラ事案が相次いで発生していることを重く受け止め、2017年7月、「消防本部におけるハラスメント等への対応策」を示しました。これを受けて、各消防本部では「消防長の宣言等による意思の明確な表明」が出されました。この政策の検討にあたっては、全消協も参画し、現場の職員目線での意見が反映されるなどの成果を得ました。

質の高い消防サービスを提供するためには、これまで以上に労働安全衛生活動を強化し、職場の安全衛生体制の確立し、安全で快適な職場環境を整備することが必要です。全消協は、引き続きメンタルヘルス対策とすべてのハラスメントの撲滅を重要な課題として、その「犠牲者」を出さないよう取り組みを進めます。

【危険職種指定をはじめ法令改正に対する取り組み】

1. 労働安全衛生法では、消防職場は安全委員会の設置・安全管理者等の選任義務がないことから、危険職種指定をはじめとする一連の法令改正について、総務省消防庁を通じ、厚生労働省に対し求めます。

 

【労働安全衛生法に基づいた取り組み】

2. 労働安全衛生法の趣旨を活かし、民主的で職員一人ひとりが積極的に参画できる労働安全衛生活動を推進するため、次のことに取り組みます。

① 「職場の改善対策事例:消防職場」を活用し、消火・救急・救助活動などの現場活動を含めた職場点検活動を行うこと

② 消防職員委員会・衛生委員会等の委員の選出や会議において、民主的な運営を求めること

③ 職場点検活動で得た問題点は、消防職員委員会・衛生委員会等で改善策を検討し、消防長等に改善策を求めること

④ 訓練中の安全管理はもとより、消防の現場活動ではあらゆる危険性が存在しています。これらの想定しうる災害発生に対処する消防活動に必要な情報の提供・安全衛生教育の徹底・装備すべき資器材の整備充実を求めること

⑤ 深夜業務や潜水業務に従事する職員の健康診断については、労働安全衛生法に基づいた適正な健康診断を行わせるとともに、その実施についても業務の一環として受診させ、その結果分析と事後措置などの改善対応を求めること

⑥ 衛生委員会等への女性の参画を推進し、「男女がともに担う安全衛生活動」の確立を求めること

⑦ 消防職員の勤務実態において、労務環境の充実は必要不可欠であるとの認識に立ち、食堂や休養室、個人のプライバシーが守られる仮眠室の個室化などの整備を求めること

⑧ 消防職場に関する労働安全衛生法の改正点について研究すること

 

【定年延長に関する対策】

3.年金支給開始年齢の引き上げに伴い、現在、政府は公務員の定年延長について検討しています。過重労働である消防職場も例外ではないため、職員が定年まで安心安全に働き続けることができる雇用形態や職域について研究・提言します。

 

【公務災害対策】

4. 公務災害が発生しないようすべての消防本部で安全管理マニュアルを策定し、職場の安全管理体制を確立します。

5. 公務災害補償制度は自己申告制となっていることから、職員側が申告しなければ公務災害認定を受けることはできません。このことから、単協・県消協は、公務遂行中や公務に起因して発生したと思われる死亡・傷病などについては、自治労県本部・単組と連携をはかりながら、すべて公務災害認定請求を行うよう取り組みます。

6. 認定基準の改善を求めるとともに、被災者立証制度の抜本的見直しにむけて取り組みます。

7. 職員が療養する必要が生じた場合、安心して治療に専念できる体制づくりを求めます。また、職場復帰をする前には、慣らし出勤や就業場所・業務内容の変更、規則の制定による段階的な職場復帰ができるよう、健康に配慮した体制づくりを研究します。

 

【メンタルヘルス対策】

8. 単協・県消協は、メンタルヘルス対策として、次のことに取り組みます。

① メンタルヘルスの基礎教育(セルフケア)と消防本部による相談・カウンセリング体制の充実や慣らし出勤等の職場復帰に関する体制整備(ラインケア)の充実を求めます

② メンタルヘルス問題を職場内で気軽に話し合える環境づくりを進めます。人権の尊重・プライバシーの保護を基本として、人事管理とは完全に切り離したカウンセリング体制の充実を求めます

③ 本人や家族または職員同士で惨事ストレスについて理解し、心身の変化を早期に察知できるよう、研修・担当職員の養成を求めます。また、メンタルヘルスの専門家を活用できるよう関係機関等と協力関係を築きます

9. 2015年12月1日から、従業員50人以上の事業所に対して、医師・保健師等によるストレスチェックが義務化されました。衛生委員会等で職場環境の改善について協議を進め、ストレスチェックが適正に実施されているかを調査します。

 

【ハラスメント対策】

10. 全消協は、消防職場におけるハラスメントの撲滅を目的に、次のことに取り組みます。

① 総務省消防庁が2017年7月4日に発出した「消防本部におけるハラスメント等への対応策」が確実に実施されるよう注視します

② 全国の消防職員と消防本部に対して実施したアンケートは、現場の状況を十分反映した結果が出ていることから、今後の比較対象として、同様のアンケートを継続して実施することを総務省消防庁に求めます

11. 単協・県消協は、ハラスメント対策として、次のことに取り組みます。

① 総務省消防庁から2017年7月4日に「消防本部におけるハラスメント等を撲滅するための、消防長の宣言等による意志の明確な表明について」が発出されたことから、職場においてその宣言が確実に履行されるよう、消防長に対して求めること

② 会員相互の連帯を深め、職場内におけるすべてのハラスメント防止にむけて取り組むこと

 

【自治労との連携】

11. 消防職場で労働安全衛生活動を推進するため、自治労主催の安全衛生集会等へ積極的に参加し、単協での活動に活かせるように取り組みます。

12. 自治労作成の「公務災害認定への取り組みマニュアル(2015年)」を活用するなど、公務災害認定に積極的に関与し、取り組みを強化します。

13. 公務災害認定にむけて、学習・研鑽と情報の共有化をはかることを目的に、「地方公務員災害補償基金支部労働側参与会議」に積極的に参加します。

 

(6) 男女平等参画社会実現の取り組み

男女共同参画社会基本法の制定から20年が経ち、さまざまな領域で女性が活躍する場面が増えるなど、政府は男女平等参画社会の実現にむけて取り組みを進めてきました。また、防災分野の取り組みの中で、女性目線による復興および防災対策の重要性が改めて認識され、男女平等参画社会の実現が災害に強い社会づくりであるともいわれています。

一方「世界経済フォーラム(WEF)」がまとめた男女格差報告(ジェンダーギャップ指数2018)の調査によると、調査対象国149ヵ国中、日本は110位であり、国際社会の中で依然として男女格差が大きく、女性にとって働きやすい社会であるとはいえない状況です。

消防職場においても、2015年7月に消防庁次長通知を各都道府県知事あてに発出するなど、女性消防吏員の活躍推進のため積極的な取り組みを要請していますが、女性消防吏員は4,475人(2018年4月1日総務省消防庁調べ)で、消防職員全体の約2.7%にすぎません。消防職場への女性消防吏員の採用や職域の拡大を推進すること、施設や資機材など女性が働くことのできる職場環境を整え、職場への男女平等の啓発やすべてのハラスメントの防止にむけた教育を実施し、今も続く「男職場」を改革することが求められています。また、全消協としても、組織のさらなる活性化をはかるため、グローバルな視点から、すべての人があらゆる分野で活躍できる組織づくりを推進していきます。

男女平等参画は、組織の活性化の要であり、女性のみの課題ではありません。ワーク・ライフ・バランスの観点から男性の課題でもあることを認識し、意識を改革する必要があります。職場や地域、協議会活動において、性別を問わずすべての人が消防職員としてその能力を十分に発揮し、生き生きと活躍できるよう全力で取り組みます。

【男女平等の推進】

1. 男女共同参画社会基本法を踏まえ、あらゆる社会制度・慣行をジェンダー中立のものとするため、職場における男女平等の推進にむけて取り組みます。

2. さらなる女性吏員の積極的な採用と職域の拡大等を推進するため、施設や資機材の改善など、環境整備を求めます。また、男女間の処遇上の格差を是正し、男女平等の職場づくりを推進します。

3. 人事院の「仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針」を参考に、育児・介護を行う職員の両立支援制度を研究・活用します。

4. 性別を問わず、育児・介護を行う職員の超過勤務の制限および育児休業・介護休暇制度の活用にむけた取り組みを進めます。とくに、男性職員の積極的な育児参加を推奨します。

5. 地方公務員共済制度・事業について、性とライフスタイルに中立な制度設計を前提として、両立支援策や福祉事業などを充実するよう、自治労と連携し対策を進めます。

6. 職場において、男女がともに担う安全衛生活動をめざすため、衛生委員会等への女性の参画を推進します。

7. すべてのハラスメントに対し、使用者責任を明確にしつつ、情報提供や予防対策、被害者救済対策に取り組みます。

8. 2016年6月、総務省消防庁長官を本部長とする「消防女性活躍推進本部」が設置されました。全国の女性消防吏員を2026年度当初までに2.4%から5%に引き上げることを目標にしており、全消協はこの政策の動向を注視します。

 

【男女がともに担う全消協づくり】

9. 全消協活動のすべての領域で、女性参画を促進します。

10. 全消協が主催する各種行事に女性枠を設けます。また、育児を行うすべての会員の参加を促すため、託児所を設置します。

 

【国際的な活動における男女平等の推進】

11. ワークルールの改善、男女平等、均等待遇の推進など、ILO条約等国際条約の批准および遵守の取り組みを強めます。

12. PSI規約に基づき、あらゆる活動での男女平等参画をめざします。

 

(7) 消防職場の課題改善にむけた取り組み

市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生してから70年が経過しました。この間、消防制度や施策、消防防災施設等の充実強化がはかられ、火災予防・消火、救急、救助・自然災害への対応や国民保護まで広範囲にわたり、国民の安心と安全の確保に大きな役割を果たしてきました。

近年、災害の態様も大規模・複雑多様化しており、今後発生が危惧される南海トラフ地震や首都直下型地震、風水害等の大規模災害をはじめ、危険物火災等の特殊災害、国際的なテロ災害の発生などが予想されます。

このような災害等から国民の生命、身体および財産を守るという消防の責務はますます大きくなっています。そのため、消防職場では業務量が増える一方、慢性的な人員不足により、職員個々の負担が増大し、さまざまな弊害が出てきています。

全消協は、さらなる消防防災体制の充実にむけ、消防職場が抱える課題を明確化し、効果的に消防業務を遂行できるよう、関係省庁などに対して問題を提起し働きかけます。

【消防職場の課題の抽出】

1. 警防関係についての課題

① 大規模・複雑多様化する災害に対応するための消防力の不足

② 消防救助技術大会にむけた訓練など訓練全般における受傷事故の頻発

③ 救急出動件数の増加、医療の進歩、救急救命士の処置範囲拡大など、精神的・肉体的な負担の増大

2. 予防関係についての課題

① 立入検査と違反是正に対応する業務量増加による負担

② 消防設備違反に対する公表制度の開始など、新たな業務量の増加による負担

③ 危険物施設等が減少しているにもかかわらず、減らない事故に対応する業務負担

3. 消防業務全般についての課題

① 増大するさまざまな業務に伴い、超過勤務が常態化している現状

② 世代交代に伴う専門的知識の継承・教育体制が確立されていない現状

③ 業務に関する資格・研修を自費取得、受講している現状

④ 施設・庁舎等の計画的な整備が遅れている現状

 

【消防職場の課題改善にむけた取り組み】

4. 全消協は、総務省消防庁に対して、次のことを求めます。

① 消防力の整備指針に示す必要な人員、車両および装備等に見合う財源を確保すること

② 時代に即した施設・庁舎等の整備のあり方を示すこと

③ 適切な労務管理が行われるよう指導・助言を行うこと

5. 全消協は、課題解決のため調査・研究を行い、改善にむけて取り組みます。

6. 単協・県消協は、消防当局および各自治体首長に対して、次のことを求めます。

① 人員不足が常態化していることから、人員の確保にむけ、必要な対策を講じること

② 施設・庁舎等の計画的な整備を行うこと

③ 心身の疲労回復、パフォーマンス低下、事故防止の観点から、適切な労務管理が実行できる体制づくりを強化すること

④ 災害対応能力、専門的知識を習得・伝達・継承できる教育体制を確立すること

⑤ 業務に関する資格・研修は、公費で取得・受講できるようにすること

⑥ 増大する各種業務に対し、職員の負担が減るよう業務の効率化を行うこと

 

(8) 消防の広域化への対応

国は小規模消防本部を減らすことを目的として、2006年に消防の広域化を消防組織法に位置付けて推進してきましたが、実態にそぐわない広域化が進められている地域も見られます。

また、2018年4月に「市町村の消防の広域化に関する基本指針」と「市町村の消防の連携・協力に関する基本指針」が改正されました。推進期限は、2018年4月から2024年4月の6年間とされ、消防の広域化は、さらに推し進められている現状にあります。

基本指針において、「消防広域化重点地域については、これまで以上に積極的に指定」することとし、あわせて「消防の連携・協力についても推進していくもの」としています。この内容については、具体例が示されていますが、「効果的・効率的」との記述があることから、より良い消防行政を実現できるか注視していく必要があります。

今後、人口減少や高齢化の進展に加え、災害の大規模・複雑多様化により、消防力の維持に困難をきたすことから、さらなる体制強化が重要となります。しかし、現在推進されている消防広域化では、地域の実情や実態、職員の労働条件の統一化などをはじめとする課題が山積しており、簡単に実現できるものではありません。

全消協は、1990年5月のILO「消防職員の雇用及び労働条件に関する合同会議」の結論に基づき、総務省消防庁に対して、①広域再編を進めるにあたっては不必要な広域化は進めるべきではない、②住民サービスを現状より低下させない、③職員の削減や労働条件の悪化を伴わない、の3項目について自治労を通じて申し入れを行っています。

今後も、広域化推進を考察するにあたり、消防本部の規模にかかわらず、地域の実情にあわせたものとなるよう、先進事例や留意事項の情報収集および関係機関等との連携を通じ、継続して提言していきます。

【総務省消防庁に対する取り組み】

1. 消防広域化の推進にあたっては、自治労と連携し、自治労消防政策議員懇談会を通じて、地域の実情に即した広域化となるよう求めます。

 

【広域再編自治体に対する取り組み】

2. 消防組織の広域再編を検討する自治体に対して、次のことを提起します。

① 再編された消防組織の財源を確保するため、構成市町村の負担(拠出)額が、地方交付税基準財政需要額の消防費額を下回らないこと

② 新たな特別地方公共団体を設立する段階での規約に、一人の職員を欠くことなく「雇用を継続する」旨の文言を盛り込むとともに、給与など労働条件の悪化を伴わないよう措置すること

③ 地域住民や現場の消防職員に対して積極的に情報を提供・開示し、意見を聴取する機会を設けること

 

【広域再編の対象となった単協・県消協の取り組み】

3. 広域再編の対象となっている消防組織の単協・県消協は、「消防組織広域再編対策委員会(仮称)」などを設置し、次のことを提起します。

① 広域化に関する情報の収集・提供を行うこと

② 地域住民、各種団体、未組織消防に対し、広域化に関する情報の提供などの活動を行うこと

③ 広域再編にあたって、自治労県本部・単組・組織内議員・協力議員と連携して、各自治体当局に消防職員の意見を聴取する機会の確保を求めること

④ 自治労県本部・単組と連携し、広域再編を契機に、組織の強化・拡大につながるよう取り組むこと

 

(9) 質の高い消防サービスの実現にむけて

全消協は、PSIの「質の高い公共サービス(QPSキャンペーン)」の一環として、質の高い消防サービスの実現にむけ、自治労や国会議員等と連携し、消防力の地域間格差の解消に取り組んできました。

PSIは、「質の高い公共サービスとは、質の高い労働条件下で働く質の高い労働者が提供するものであり、人間として尊厳を保つことのできる社会をつくり出すための必須要件に他ならない」と定義し、「質の高いサービスは人権である。さらに質の高いサービスは、質の高い労働者(良く教育され、公共部門の倫理観を備えた)が質の高い労働条件の下で、そしてサービス利用者が常に質の高さを望めるような財源を伴ってこそ初めて提供が可能になる」ことをゆるぎない信念としています。これは、全消協がめざす目標と同質であり、全消協の活動を推進することが、質の高い消防サービスにつながります。

質の高い消防サービスの基礎となるのは消防力であり、その力の原点は消防職員であることはいうまでもありません。人員が充足され、平等に高い教育を受ける機会を与えられ継続して育成すること、その上で力が遺憾なく発揮できる車両や装備資機材、および組織の体制と消防予算が必要です。しかし、自治体消防が整備すべき基準値は「消防力の基準」から「消防力の整備指針」へと改正され、その内容は「最低の整備する基準」から「整備すべき目標」に変わりました。

地方財政悪化の影響により、十分な消防予算が担保されず、条例定数の削減や最低人員の切り下げが平然と行われている自治体も見受けられ、住民に対して十分な消防サービスを提供できるものか疑問を抱く状況です。住民本位の消防行政のあるべき姿を実現するために、十分な消防力を有し、その担保となる消防予算の充実を強く求めることが重要です。

全消協は、賃金・労働条件の改善に取り組む活動だけではなく、住民からの信頼に応え、やりがいのある仕事を達成したいと考えます。その思いを職場の仲間、住民とともに共有できる自治研活動への参画等を通じて、「質の高い消防サービス」の実現にむけて取り組みます。

【質の高い消防サービスの実現にむけた取り組み】

1. 全消協は、PSIの「質の高い公共サービス(QPSキャンペーン)」の趣旨を尊重し、単協・県消協の取り組みを集約し、質の高い消防サービスの実現にむけ課題を提起します。

2. 単協・県消協は、次のことに取り組みます。

① 住民ニーズの把握に努め、地域住民と協働した活動を推進すること

② 積極的に住民との交流機会を設け、消防行政についての課題を共有すること

③ 災害時における自助・共助の重要性について協議を行い、地域との連携をはかること

④ 地域の医療、福祉、保健、教育機関などと連携・協力し、質の高い消防サービスの実現をめざすこと

 

【消防力の整備指針の取り組み】

3. 全消協は、総務省消防庁に対し、次のことに取り組みます。

① 自治労や自治労消防政策議員懇談会と連携し、全国的な消防力に関する課題提起を行います。

② 「消防力の整備指針」が市街地の常備消防を配置の対象としている一方、「地方交付税算定基礎」はナショナルミニマム(国民生活環境最低水準)としての算定となっており、基本となる考え方に乖離があることから是正を求めます。

  1. 単協・県消協は、当局に対して、現在の消防力および整備すべき目標について、住民への十分な情報公開を求めます。

 

【自治研活動への参画】

5. 全消協は、消防行政や消防サービスのあり方等について議論を重ね、消防の将来を展望する活動を推進します。

6. 単協・県消協に対し、地方自治研究全国集会への参加を促すとともに、集会で得たもののほか、取り組みの参考となる情報を提供します。

7. 単協・県消協は、自治労各県本部・単組と連携し、自治研活動へ積極的に参画します。

 

(10) 国際連帯活動の推進

全消協は、2017年11月に開催されたPSI第30回世界大会で、「日本の公務員と韓国消防職員の労働基本権」および「公共サービスと公共サービス労働者の拡充で災害に強い社会づくり」の2つの決議案を提出しました。この決議案は、PSI-JCおよびFFDC(韓国消防発展協議会)とともに協議を重ね、統合決議案として提出し、世界各国から多くの賛成を得て可決されました。国際社会の中で、共通の課題や諸問題を解決するために連帯し、世界から日本政府に対して訴え続けることは、全消協の悲願である団結権回復には必要不可欠であると考えます。

PSIは、基礎的公共サービスが人間らしい生活を営む上で必要であり、貧困の解決と社会格差の解消に有効であることを再評価し、「質の高い公共サービス・グローバルキャンペーン」を展開しています。全消協も、住民の安心・安全を保障する「質の高い消防サービス」の実現にむけた取り組みを、私たちの権利獲得と労働条件改善の取り組みと一体のものとして推進します。

全消協は、PSI-JCに結集する産別組織とPSI東アジア小地域でともに活動する日韓消防職員で連携しながら、「権利なき労働者」からの脱却をめざします。

あわせて、PSIが重視しているジェンダー平等の取り組みやユースの参画を、全消協の活動のすべての領域に適用するとともに、すべての人が働きやすい消防職場づくりを推進します。

全消協の活動は、世界の公共部門労働者から注目され、労働者の権利が脆弱なアジア諸国からも大きな期待が寄せられています。これらの期待に応えるべく、全消協はアジア諸国の先頭に立って団結権回復をめざし、私たちの活動が各国にも波及していくよう国際連帯を深めます。

【PSI活動を通じての国際連帯の取り組み】

1. 団結権問題について、PSI活動の場を通じて強く訴えることにより、ILOなどの国際機関から日本政府に対して強力なメッセージが送られることを求めます。この取り組みにより、国際労働運動の注目と国際世論の喚起に努めます。

2. PSI-JCの活動を積極的に担い、日本におけるPSI加盟組合の組織強化・拡大の取り組みに連携します。

3. ILOの中核的労働基準の遵守と、ILO94号条約(公契約)、105号条約(強制労働廃止)、111号条約(差別待遇禁止)、149号条約(看護労働)、183号条約(母性保護)、190号条約(暴力・ハラスメント禁止)など未批准条約の批准促進にむけ、連合・公務労協・自治労とともに取り組みます。

また、PSI-JCの活動を通し、超党派の国会議員で構成するILO活動推進議員連盟と意見交換を行い、情報発信と共有をはかります。

4. 第30回PSI世界大会において、「2018-2022行動プログラム(PoA)」が示されました。

「利益よりも人々を優先」というタイトルに基づき、平等で公正な社会の基礎となる質の高い公共サービスの実現を目標に、社会格差の解消、貧困撲滅、公共サービス労働者の労働基本権確立、公共サービスの市場化反対、男女平等やすべての人に対する尊重と尊厳、ユースの参画など全消協活動に反映します。

 

【アジア太平洋地域を中心とする国際連帯の取り組み】

5. PSI東アジア小地域でともに活動するFFDCと、PSIアジア太平洋地域の諸活動へ積極的に参加し、両組織の問題解決にむけて取り組みます。

6. 2018年4月、PSI本部において、消防職員をはじめとする緊急事態従事者で構成されたファーストレスポンダーネットワークが創設されました。全消協もこのネットワークと連携し、世界の消防・救急労働者の諸問題について、さまざまな国際組織への情報発信と共有をし国際連帯の推進をはかります。

 

(11) 女性連絡会の取り組み

全国の女性消防吏員は2018年4月1日現在4,475人で、1969年に初めて採用されて以来、増加傾向にあります。2015年7月に総務省消防庁より「消防本部における女性職員の更なる活躍に向けた検討会報告書」公表後、関連通知の発出や消防大学校で「女性活躍推進コース」が開催されています。

しかし、総務省消防庁が女性消防吏員の活躍を推進しているにもかかわらず、いまだ全国の約36%の消防本部では女性を採用していません。さらに、消防職員全体に占める女性消防吏員の割合は約2.7%にとどまっており、残念ながら女性の進出が遅れている職場であるといわざるをえません。

女性連絡会がこれまでに実施したアンケートの調査結果や、2018年より開催している女性交流会などから、性差についての理解不足や施設の未整備、ハラスメント、恣意的な職域の制限がいまだに多く存在することがわかりました。また、結婚・妊娠・出産・育児・介護や、長期休業・休暇後の復職に大きな不安を抱えながら働いています。しかしながら、これら諸課題は女性職員だけで解決できるものではなく、性別問わず課題を共有・協力し取り組む課題であると考えます。

2018年3月に女性連絡会と総務省消防庁との意見交換会を実施し、女性消防職員の取り巻く現状について報告・要望を行いました。さらに、2019年6月に全国の女性消防職員を対象にWebアンケートを実施しました。このアンケート結果をもとに会員や関係機関へ課題を提起し、今後も継続的に女性職員の勤務実態の把握に努めます。また、性別や会員に限らず広く意見を募り、女性職員に関する諸課題の解決に貢献できるよう活動を展開します。

今後も女性職員に関する意見に耳を傾け、マスメディア・SNSなどを活用した積極的な情報の発信を行い、すべての消防職員がともに能力を発揮しながら働き続けられる職場環境づくりに取り組みます。

【女性連絡会の取り組み】

1. 男女がともに協議会活動を担う体制を確立し、男女平等の職場環境の構築をめざし、女性連絡会の活動を強化します。

2. 広く意見や要望などを集約・検討し、女性を取り巻く環境の実態把握に努めます。

3. 年1回の開催を目標に、女性交流会を開催します。

 

【女性会員との連携・未組織女性職員との交流】

4. 女性同士のネットワークを強化し、女性連絡会の活動報告、学習会や関係機関の通知・通達などの情報を発信し共有します。

5. 全消協ホームページやFacebookページなどのSNSを活用し、女性会員との連携はもとより、未組織女性職員に対しても活動をPRします。

 

【職場環境の改善への取り組み】

6. 女性専用の仮眠室や浴室等の施設、個人の被服・装備品、職域およびハラスメントについてのアンケート調査結果や、女性交流会等での意見など現場実態をとりまとめ、総務省消防庁などの関係機関へ課題を提起していきます。

 

【連帯活動の取り組み】

7. PSI-JC女性委員会およびユースネットワークの交流活動に参画します。

8. PSI規約に基づく、あらゆる活動での男女平等参画をめざし、女性の協議会活動への積極的な参画に取り組みます。

9. 自治労・他産別の交流活動に参加します。

 

(12) ユース部の取り組み

ユース部は、次世代への協議会活動の継承をめざし、リーダーの育成等を目的に2011年に設置されました。設置後は、ユース世代を対象としたアンケート調査を実施し、ユース世代が協議会に何を思い、何を求めているのかについての現状を把握し精査しました。

2014年からLGBTについて、継続的に取り組みを行い、PSI-JC主催のセミナーや連合主催の学習会、LGBT当事者の方々が運営するラジオ出演など、多方面でユース部の活動を報告し、他産別との交流、知識の共有をはかってきました。また、男性の育児参加に関する「イクボス」についても情報発信してきました。

2018年度からは「全消協ユースStep Up セミナー」を開催し、次世代のリーダーを育成する目的に沿った学習の機会として、ユース世代間での情報の共有化をはかりました。

これらの取り組みは、ユース世代のさらなる意識の向上につながり、組織強化や今後の協議会活動の原動力となっていくことは明確です。

ユース部は、先達の築き上げてきた協議会活動の歴史を学び、全国のユース世代の仲間が、協議会活動の必要性を認識し、自主性をもって活動に参画できるよう、「全消協ユースStep Up セミナー」を継続して開催します。それをベースにし、さらにはユース世代の「問題」を「課題」として提起し、ともに活動できるユース世代の育成および情報発信に取り組みます。

【ユース部の取り組み】

1. 次世代のリーダー育成を目的とした活動を推進し、各種学習会への参加を促し、ユース世代が今後の組織の一翼を担えるよう活動します。

2. ユースStep Upセミナーや各ブロックで開催する各種学習会において、ユース部が主体的に担うことで、ユース世代のさらなる意識の向上に努めます。

3. ユース世代を対象としたアンケート調査を実施します。その結果を分析し、活動へ反映するとともに、全国のユース世代と情報の共有をはかります。

4. ユース部の活動を、マスメディア・SNS等を活用し、情報を発信します。

5. LGBTや男性の育児参加について、各種学習会の講座として取り組むことで、参加者への情報提供を行います。

 

【単協・県消協の取り組み】

6. 単協・県消協は、次のことに取り組みます。

① 単協・県消協の組織形態に応じて、ユース部会の設置、ユース世代の役員や委員の選出を積極的に行います。

② ユース世代の会員に対して、協議会活動の積極的な参画を促します。

③ ユース部の各ブロック幹事と、ユース世代の会員が意見交換、交流を行う機会を設けます。

 

【連帯活動の取り組み】

7. PSI-JCに設置されているユースネットワークに参画し、PSI加盟諸国のユース世代との連携・強化をはかります。

8. 自治労・他産別の交流活動に参加します。