消防職員の自律的労使関係制度確立に関する法律の廃案に対する見解
全消協全般
2012年11月30日
消防職員の自律的労使関係制度確立に関する法律の廃案に対する見解
全消協事務局長 門間孝一
1.全消協は、1977年の結成以来一貫して消防職員の労働基本権回復をめざし、自治労及び関係団体とも連携しながら取り組みをすすめてきました。2006年には国際公務労連(PSI)に加盟し、翌2007年、5年に1度開催される総会の場で日本の消防職員の現状と労働基本権の必要性について訴え、この事項が決議として採択され、全力で取り組むことが確認されました。また、国内においても関係団体に対し活発な活動を行い、連合も重要課題として取り組みを強化してきました。
2009年「消防職員の団結権のあり方に関する検討会(以下、検討会)」には、全消協迫会長が委員として参画し、他の有識者委員に対し消防職場の劣悪な労働環境などの現状を強く訴えてきました。
2.2012年5月11日、総務省は、消防職員の団結権・協約締結権も含めた「地方公務員制度改革について(素案)」を示しました。消防職員に団結権及び協約締結権を付与する内容となっていました。
3.2012年11月15日、地方三団体および全国消防長会、日本消防協会などに配慮した形で、閣議決定された法案は、協約締結権の付与は見送られることとなりましたが、消防職員に団結権を付与し当局との交渉を認めることを盛り込んだ、「地方公務員法等改正案」及び「地方公務員の労働関係に関する法律案」となりました。しかし、翌16日、内閣が国会に提出するも衆議院解散のため審議未了となり廃案となりました。
4.私たち消防職員が求める団結権がいまだ回復せず、衆議院の解散で廃案となってしまったことは、誠に遺憾ではありますが、民主党政権前の政府が与えない理由としてきた「国民のコンセンサスを得てから」は、この間の経過から、「国民のコンセンサスを得た」と解釈でき、さらに消防職員の団結権問題に対する歴史的な法案が提出されたことは全消協結成以来の大きな評価に値すると受け止めたいです。
5.2008年6月6日に成立し同月13日に公布された「国家公務員制度改革基本法案」に基づき2008年7月11日に国家公務員制度改革推進本部が内閣に設置されました。基本法に掲げられた基本方針には、国家公務員の基本的労働条件の付与が示され基本法の施行後5年以内を目途に必要な措置を講ずることとなっています。基本法の条文には、「政府は、地方公務員の労働基本権の在り方について、第十二条に規定する国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する」となっています。また、ILOから7回にわたり勧告を受けていることからも、公務員の自律的労使関係法規を整備することは国として急務であり現状のままでは憲法98条の2に対する違反であります。
全消協は、今回の廃案を団結権回復への大きな一歩であるととらえ消防職員の労働基本権回復に向けて今後も、組織強化拡大を行うとともに、自治労その他関係諸団体と連携し、強力に取り組んでいくこととします。