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PSI-AP労働組合権セミナーin ソウル

2014年10月30・31日の両日、韓国・ソウル市においてアジア太平洋地域・労働組合権セミナーが開催された。PSI-JCとして自治労をはじめ各産別から総勢13名が参加し、全消協からは中村達也事務局長、仲野桂太特別幹事、迎香奈江女性連絡会代表、川上近畿幹事の4名が参加した。


↑セミナー会場の様子


↑全消協からの参加者

韓国・ソウル市にてアジア太平洋地域・労働組合権セミナーの開催に至った背景は、2012年PSI世界大会で日本からの緊急決議案も含めた労働組合権に関わる決議について、アジア太平洋地域も大きく捉えており、このセミナーの結果を踏まえてアジア太平洋地域執行委員会(APREC)に助言する目的で今回のセミナーが開催された。

また、開催地を韓国に選んだ理由として、今回のテーマである労働組合権が公共部門の労働者において最悪なレベルであり、特に消防職員については結社の自由すら剥奪されている現状を踏まえて開催に至った。

今回のセミナーには、PSI本部からローザ書記長も参加し、セミナーの冒頭「アジア太平洋地域、とりわけアジア地域の労働組合権の侵害は深刻な状況である。PSI本部としてアジア太平洋地域の仲間と共に、公平・公正な公共サービスを守るため行動プログラムを構築し、解決に向け進んでいきたい」と強い決意を述べた。

セミナーでは、セッションごとにアジア太平洋地域の労働組合権の状況を各国から報告を受けた。全消協は消防のセッションの中で、仲野特別幹事から日本の消防職員における団結権問題について報告をおこなった。その後、韓国消防発展協議会(FFDC)のコ・ジヨン会長より韓国消防の現状について報告があり、アジア地域の両国の労働組合権の現状についてPSI本部の権利問題担当者も報告を重く受け止めた。


↑消防のセッションで報告する仲野特別幹事

セミナーの最後に小地域ごとの課題を取りまとめ、その中に消防職員の労働組合権回復に向けた取り組みの強化も盛り込まれ、アジア太平洋地域執行委員会へと報告されることとなった。

セミナーの翌日には消防発展協議会(FFDC)の計らいで、ソウル市内の龍山消防署へ招かれ、韓国の消防職員との意見交換や交流を深めることができ、全消協を代表し中村事務局長から「欧米に比べアジア地域の消防職員の労働条件は改善されないまま今日に至っている。改善に向けて国内活動は勿論のことではあるがアジアの中でも韓国の消防発展協議会と消防制度のグローバルスタンダードを構築していく運動が必要である。また、国際消防ネットワークと今後、密接に連携し世界の舞台で発言していくことが重要である。」と述べ、今後の全消協と消防発展協議会(FFDC)との協力関係を約束した。


↑龍山消防署前にて記念撮影


↑協力関係を約束した中村事務局長とFFDCのコ・ジヨン会長

全消協は2008年からはじまったアジア太平洋地域消防救急ネットワークの強化も視野に入れ、PSIのもと消防発展協議会(FFDC)と共に労働組合権回復に向けた取り組みを進める。

○参加者の声

女性連絡会代表:迎香奈江さん

韓国の消防署で働かれているチョン署長(女性)とお話をする機会がありました。韓国政府は、企業等に全体の1割以上女性を正規雇用することと方針を掲げられているそうです。消防においても、女性消防士の人数は国全体で約2,000名いらっしゃるそうで、全体の1割以上に達するそうです。また、その中で管理職をされている方は50名程度とのことでした。韓国の消防士は、年間に約4割以上の方がうつ病を患うそうですが、メンタルヘルスなどの対策は実施されず、消防を辞めて転職する方は年間約2割以上いらっしゃるそうです。こういった劣悪な環境を変えようと、チョン署長は管理職でありながらも、防火帽・防火衣を身にまとい、国会前にて一人でハンガーストライキを実施されています。

活動が認められ、念願の権利獲得が実現した時、韓国の全ての消防士に平等に権利が与えられます。命を張って活動をされている方も、そうでなく願うだけの傍観者も、同じ恩恵を受けることとなります。来るべき時が来た時に、胸を張って恩恵を受け入れられるよう、やはり願うだけでなく、たとえ微力でも一人ひとりが活動に加勢し、全体で一歩を踏み出すことが重要だと感じました。今回、女性連絡会の代表として参加させて頂き、非常に貴重な経験をさせて頂くことが出来ました。この衝撃を参加できなかった会員へ伝えていこうと思います。

全消協近畿幹事:川上修司さん

他国では組合活動をしているだけで、殺害されたり逮捕されたりすることがあることを聞き胸が苦しくなる思いをしました。また、世界の災害の犠牲者の90%がアジア人だという事を知りとても驚かされました。韓国消防発展協議会との懇親会では、結成にいたるまでの経緯や消防に対する思いなどが全消協と類似していることを知り、今後の全消協は国内に留まらず、韓国消防発展協議会との連帯も必要不可欠の活動にして行きたいと感じました。消防の組織自体が日本と韓国ほとんど同じで、全消協の発展が韓国消防発展協議会の発展にも繋がると確信しています。最後に、コ・ジヨン会長の「消防は一つ」という言葉を胸にこの経験を今後の全消協活動に生かせて行けるようこれからも頑張って行きたいと思います。今回のこのような貴重な経験をさせて頂いたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。